お金をとられても、とる側になるよりずっといい。
お金をとられても、とる側になるよりずっといい。「酒宴も佳境に入ったころ、すでにかなり酒のまわっていたTさんが、それまで一度も見せたこともないような凄まじい怒りの形相をして、私の真正面にどっかと座り、自分の身の上話をはじめたのだ。「人間なんて、しょせん信じられないもんなんですよね」ではじまったその話の内容とは、つぎのようなものだ。 彼には学生時代からつき合ってきた無二の親友がいるが、その友人が半年ばかり前に独立して、不動産業をはじめたのだそうだ。その資金調達のために、Tさんにお金を無心したのである。 Tさんは、せっかくの親友の頼みだからと、渋る奥さんを説得して、なけなしの貯金三百万円ほどを彼に貸した。ところが、それ以後、友人は一切連絡を寄こさなくなってしまったというのだ。 二度、三度、Tさんのほうから電話をかけたこともあるが、いつも居留守を決め込んで電話口に出ようともしないという。「もう、あんな奴とは絶交だ。私は貸したお金が返ってこないことより、親友と信じていた人間に裏切られたことが許せないんだ。今度会ったら殺してやる!」あのおとなしいTさんとはとても思えないような物騒な言葉を吐いて、彼はしきりに私に同意を求めたのである。 しかし私は、そんなTさんに決して同調せず、こう答えた。「そんなふうに考えたら、お金を貸したという、あんたのせっかくの好意が台無しになる。いま、その友人を許してあげないと、今度はあんたが人間を裏切る番になるよ」霊界から見た あなたの人生(著者 丹波哲郎) 99ページ~100ページを引用 霊界から見たあなたの人生Amazon(アマゾン)