授人以魚 不如授人以漁
(魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ)
親元から大学に通う20歳の女子大生。
昼間は私立大学に通い、夕方からは週3,4回大学近くの居酒屋で調理補助のバイトをしながら順調に大学生活を送っていた。
居酒屋でのバイトのおかげで知らなかった料理もたくさん覚えたという。
そんなある日、父親が勤めていた会社をリストラされた。
専業主婦だった母親もパートで働き始めたが、やがて家計は火の車となった。
娘は奨学金を利用しても、今の居酒屋のバイト代だけでは家計を充分に助けることができない。しかし、父は娘に大学を卒業までさせたいと言う。
娘は悩んだ末、インターネットで見つけた歓楽街にある性風俗店で週末のみ風俗嬢として、居酒屋のバイトと掛け持ちで働こうと考え、その風俗店の求人に応募。
面接でも、大学生とは言わず、以前していた近所のスーパーでアルバイトをしているフリーターと答え、事前に言われていた通り、年齢確認(身元確認)の為に住民票を提出、写真付きの身分証として提示したマイナンバーカードはコピーをとられたが、その場で採用となり、とりあえず3日間で20万円の体験入店をすることが決まった。
その後、お店のホームページで、新人嬢紹介のプロフィールに載せる為として、3サイズから趣味や過去の性体験まで、お店が用意した所定の用紙に記入させられた。
源氏名(お店で使う名前)も決まり、お店の制服を着た姿での写真撮影も終え、新人嬢の紹介として、顔写真の一部にはモザイクが入り、3サイズや年齢、趣味、過去の性体験などの情報が、顧客向けのメルマガでも配信された。
翌日、面接をしたお店の男性店長から気に入られたのか、その男性との実技講習があるとなって、迷いが生じ、信頼している同じ大学出身の先輩の男性に相談。
その先輩から「親がその写真を見たらどれだけショックを受けるか!」
「1日に何人もの人と性的関係を持つだけに、性病を移される危険だってある。間違って妊娠でもしたら大変だ。金銭感覚がおかしくなって、結婚してからも旦那さんに内緒で、また始めたりする人もいるほどだ」
「将来、結婚するときに相手の親が、婚約者の交友関係、債務状況、交際歴などの経歴を調べる為に身辺調査をすることがある。そうなれば、いくらアリバイ会社を使い、実在する会社の給与明細書から、社会保険加入、源泉徴収票から確定申告までしても、いつ頃、どこの風俗店で働いていたなど、簡単にバレる。
「辞めた後だって、バレないか一生、怯えて暮らすことになる」
「インターネットの風俗専門の掲示板に○○ちゃんは、どこの大学と書き込みをされて中退した人もいる、そうなったら親にも迷惑かけるから、学生のうちはやめたほうがいい!」と反対され、
「それなら、コンビニ店で売っているアルバイト情報誌にも掲載されている夜の接客、ホステスのバイトがある。客層のいい高級店の飲み屋なら、居酒屋でのバイトより高時給で稼げる。学校が終わって、夕方からの勤務で1日1万円以上もらえるから、それを週4,5回の勤務にしてバイトはその1本に絞り、そのバイトの求人広告を親や彼氏にも見せて、「ここでこういうバイトをするから」と正直に話してから始めれば、心にやましいものを抱えることもない。何かあっても堂々と相談できる。
「ホステスのバイトと言って、親も彼氏もあまりいい顔をしないかもしれないけれど、高級店だけに、礼儀作法などについても学べるものがある。普段会う機会のない企業の重役と話をするのもいい社会勉強になる。それに飲食店従業員。
内緒で売春まがいの仕事をするよりはずっといい」と対案を出されて、それに従った。
<メモ>
① 顔にボカシの入った写真でも知っている人が見たら「これ、あの人だ」とわかる。
② 風俗店の制服を着て撮影した画像が退店後も、そこのお店や風俗店の紹介サイトで、ダミーで使われるケースもある。
保存された画像が、10年後に出てきて「この人知ってる〜」ということも。
マイナンバーカードなどの身元情報をお店に提出した後に、お店の男性から受ける、いわゆる男子講習(実技講習)は、セクハラ講習という批判もある。
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