平成26年9月世田谷区議会定例会 09月16日 (民主党代表質問) | 世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

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世田谷区議会議員・ケアマネジャー中塚さちよの活動報告、議会報告、ケアマネのお仕事、日常など

中塚さちよ  議員 世田谷民主党、代表質問を始めます。


 保坂区長、そして我々区議会議員の任期も残すところ半年余りとなり、いただいた任期に託された責務の総仕上げを行う時期に来ております。
 国では、安倍内閣の改造人事が行われ、成長戦略の一つに掲げた女性の活躍推進をアピールすべく、女性の入閣が過去最多とのことです。しかし、区民の視点から見るとどうでしょうか。保育や介護といったサービスの充実なくして、女性が社会で活躍することは極めて難しいのが現実です。特に一億総介護時代、これから介護と仕事の両立はますます深刻な課題となります。育児にかかわりたいという若い男性はふえていますが、四十代、五十代、立場のある中高年男性が仕事をセーブし、介護にかかわることは難しく、介護は娘、嫁といった女性ばかりが担わされております。

 病院、老健は三カ月で出され、特養ホームの待機者は減ることがありません。さらに、来春の介護保険法の改正では、在宅高齢者にも厳しい給付抑制が進められています。結局、安倍政権の女性活躍推進は、一般市民の暮らしのレベルで見れば羊頭狗肉ではないでしょうか。
 区政においては、まさに子育て、介護のサービス整備に責任ある基礎自治体として、縁の下で女性の活躍をしっかり後押しできる施策を進めていただきたく冒頭に申し上げまして、世田谷民主党を代表し、順次質問してまいります。
 実施計画の進捗を踏まえた平成二十七年度予算編成についてお聞きします。


 このたび、保坂区長就任後の平成二十五年から二十六年の二年間の実施計画・行政経営改革計画の実施結果がまとまりました。前実施計画を踏まえる一方で、区長就任直前に起こった東日本大震災の影響により、特に防災対策の課題解決を強化した計画となっています。ハード面では耐震促進、狭隘道路の解消など、ソフト面では地域防災力の強化などの取り組みが掲げられておりますが、この二年間の進捗を区長はどう評価しているのでしょうか。
 次年度予算は、保坂区長の今期最後の予算編成となります。区長は就任直後から経費削減などの行政改革にも力を入れて取り組まれており、区においては、平成二十五年度は税収増とこうした努力により、黒字幅が前年度を上回ったとのことです。


 しかし、今後の見通しとしてはどうでしょうか。新聞等でも書かれておりますが、ことし四月の消費税率引き上げ後の落ち込みから、外食、百貨店、自動車などの個人消費の回復は鈍く、前年度を下回っているのが現状です。雨などの天候不順も一因と考えられてはいますが、消費増税分をカバーするだけの賃上げが達成できていない中小企業等も多いのではないでしょうか。
 デフレ脱却の一方で、実質賃金が低下し、ますます厳しい暮らしを強いられている区民も少なくないと考えられます。今後も景気がいつ、どこまで持ち直すか先行き不透明な中、区におかれては、いっときの税収増に安心することなく、引き続き、行革を進めるのが最優先と考えます。
 保坂区長が就任以来重点的に取り組んできた防災の観点からは、庁舎対策もいよいよ急務となっております。さらに、待ったなしの少子・高齢社会の課題解決に応える経費を捻出することも求められています。
 こうした状況を鑑みた上で、次年度予算案では、どのあたりに力点を置いた予算編成としていくのか、答弁を求めます。


 次に、世田谷版マッチングによる新しい政策の創造とは何かということで質問いたします。
 多様化する区民ニーズへの対応や課題解決のため、さまざまな社会資源を活用すべく、マッチングによる政策の推進に向けた検討が行われています。マッチングにより新たな政策を創造し、組織のあり方や職員意識を変革すると書かれていますが、このマッチングというのは、従来から区民が求めてきた縦割り解消、所管の連携とどう違うのでしょうか。


 新しい政策のモデル候補として挙げられている事業を見てみますと、地域の防災対策や地域包括ケアシステムといった従来から区で進めてきた政策ばかりで、目新しさはありません。結局のところ、縦割り解消や連携協働ができていなかったというのが実態だったのではないでしょうか。言葉だけ新しくマッチングといったところで、これまでさんざん言ってきてできていなかったことが、果たしてそれでできるのか非常に疑問であります。


 マッチングを進めるための組織改正も考えているようですが、新しい課ができたところで、何十年と区の体質の中で仕事を続けてきた方々がやることは、役人としては優秀かもしれませんが、その分、従来の枠組みにとらわれやすく、新たな政策の発想を期待しても難しいのではないかと考えます。マッチングを進めるに当たり、区民参加の仕組みもあるようですが、結局役人の発想で出てきたものを追認するだけの形にとどまってしまうことも懸念されます。
 世田谷版マッチングで本気で新しい政策を生み出したいのであれば、マッチング課長は役人ではなく、民間から公募するくらいのことを検討してはいかがでしょうか。世田谷版マッチングでどうやって新しい政策ができるのかの道筋を具体的にお示しください。
 また、モデル事業には、NPOとの協働、市民活動の支援といったことも挙げられていますが、これも以前から言ってきたことであり、マッチングで従来と何が違うのでしょうか。どのような形でNPOや民間との新たな協働を進める予定なのかもあわせてお聞かせください。
 次に、区民生活の向上に役立つ公契約条例について質問させていただきます。


 厳しい社会経済情勢の中で、低価格受注やダンピングによる公共事業の品質低下と下請労働者へのしわ寄せ、技能労働者不足による入札不調や公共工事のおくれが生じてきている中、公共事業のクオリティーを保つため、公契約条例の制定が求められていました。区としても検討を重ね、昨年十一月には企画総務常任委員会で素案が公表されましたが、議会や事業者団体から条例の効果が発揮されるか不十分な内容と多くの指摘があり、修正を加えてきたところです。
 さて、今回提出された条例では、区長のもとに事業者団体や労働者団体の代表が入った労働報酬専門部会が置かれたことは評価でき、設計労務単価の改定を踏まえた技能労働者への適切な賃金の支払いが担保されることを期待しております。


 一方で、条例の実効性を確保するため、金額により適用範囲を絞るとのことですが、他自治体の公契約条例の例を見ると、例えば工事請負契約について、野田市では五千万円以上、足立区では一億八千万円以上、相模原市では三億円以上となっているのに対し、世田谷区の公契約条例はそれより対象が広くなるようにも聞いております。
 契約事業者には、労働環境確認シートを提出させるとのことですが、これは自己申告してもらうだけなので、書かれていることが本当なのかは調べてみないとわかりません。多くの事業が対象になれば、全てを調べることは、マンパワー上、不可能と思いますが、少なくとも抽出調査などを行ってチェックしていく必要があると考えます。労働環境がしっかり守られているか、管理、指導する体制はどうなっているのでしょうか。


 また、条例では、違反した事業者への罰則規定がない中で、働く区民の労働環境の改善を守らせていくためには、事業者へのインセンティブも必要との声も上がっています。区では、これまでも建設事業者などが入札に参加する際、総合評価入札制度の中で、金額面だけではなく、災害時に地域でいち早く救援活動を行うなどの取り組みを行ってくれる区内事業者には、災害協定を締結し、加点をするなどして、区民の安全安心や福祉の増進に努めていますが、区内事業者は中小事業者が多く、大企業と違い、大きな設備がないなどの理由で協定を結べていない事業者もあるように聞いています。
 地域の防災力向上のためにも、大きな設備投資をしなくても取り組める内容も含めて、区内建設事業者との災害協定締結を推進していただきたいと考えますが、区の取り組み状況を伺います。
 次に、全ての命が輝く共生社会実現に向けた障害者福祉の整備についてお尋ねします。


 区議会では、各会派が毎年この九月の定例会を前に、区民、団体の方々から、次年度予算編成に向けての要望をいただくヒアリングを行っております。その中でも、毎年同じ話を伺いながら、毎年何とかならないものかと悩まされるのが、身体、知的最重度の障害を持つお子さんの御家族の方々からの要望でございます。
 この子らを世の光に、これは障害者福祉を学んだ者なら誰でも耳にしたことがある言葉です。知的障害者福祉の父と呼ばれる障害学級の教師、糸賀一雄先生の言葉ですが、気の毒だからこの子らに光を当ててやろうという哀れみの施策ではなく、この子らはみずから輝く素材そのものだから、さらに磨きをかけて輝かそう、この考え方は、障害者政策を考える上の原点として大事にすべきものと思っております。
 本区においても、特に近年は保坂区長が人権尊重は区の重要施策として掲げている中で、最重度の障害児者が地域生活の中でその人らしい生活が実現できる体制の構築こそ、区が注力すべき政策と考えます。
 現在、グループホームやショートステイの整備が烏山、成城で進行中ですが、最重度の障害児者の生活には、たんの吸引などの医療的ケアが不可欠です。事業者選定の公募では、看護師常駐など、医療的ケアの確保が提案されていた事業者もあったと聞いていますが、看護師常駐は国の基準で必置ではないことから、必ず担保されるのか不明瞭な部分もあったように聞いています。選定は区が行うのですから、そのプロセスも踏まえ、医療的ケアが二十四時間安全に実施されるよう、責任を持った対応を今後も求めますが、区の見解を伺います。
 加えて、知的障害の方々の余暇活動について、区の支援を評価しますが、学齢期の放課後デイサービスでは、重度の障害の方の受け入れに加算がないということでした。今、介護現場では、人手不足が深刻であり、外食産業や土木、建築の分野とも競合し、労働者、アルバイトの奪い合いの状況です。そういった中で、最重度の方のケアをするスタッフの確保はますます困難を極めています。
 区は、最重度の障害の子たちが地域で輝ける場所づくりに一層尽力すべきと考えます。区の見解を伺います。
 また、先ほどマッチングの件について述べたことの繰り返しになりますが、障害者団体の方々からお話を伺う中で、従来からの縦割り解消、連携協働ができていないということが福祉分野においても課題と指摘されています。高次脳機能障害などまだまだ理解が進んでいない障害分野の講座を行う際には、実際の患者、当事者家族とともに行うなどの取り組みをさらに進めるべきと考えます。区の見解を伺います。
 続いて、区の実情に見合った地域包括ケアと総合事業の展開についてお尋ねします。
 区では、砧地域において、地域包括ケアのモデル事業を行っています。モデル事業では、これまで高齢者、介護関係の身近な相談場所として法律上設置され、定着してきたあんしんすこやかセンターで、今度は子育て家庭の相談についても受けられるようにしたいということです。
 しかし、あんしんすこやかセンターは、かねてより質、量ともにマンパワー不足が、利用する地域の介護事業者や区民から指摘されていることに加え、必置職種は主任介護支援専門員、社会福祉士、保健師など、高齢者の支援に経験はあっても、子育て家庭の支援経験は乏しい方が多いのが実情ではないでしょうか。特に区内のあんしんすこやかセンターの受託法人は、子どもの分野でノウハウのある法人は余りなく、急に子ども家庭の相談を受けろと言われても、体制が整わないと思われます。利用する区民の側からも、子育ての悩みについては、これまで児童館などに行く流れができている中で、まちづくりセンターやあんしんすこやかセンターに子育ての相談に行くということは考えにくいのではないでしょうか。
 区の考える地域包括ケアは、理念はよいけれども、絵に描いた餅に終わる可能性が高いと感じています。世田谷にふさわしい実現性のある地域包括ケアの仕組みづくりをどう考えているのか答弁を求めます。
 来年には介護保険法改正が予定されています。特に今回の改定では、要支援の方に対するサービスがどうなるかが大きな変更点となっています。要支援高齢者に対する総合事業は、地域の実情を踏まえつつも、従来の介護保険の予防給付を抑える形で自治体が独自に料金を設定するよう国から要請されています。要支援高齢者へのサービスを提供する民間事業者は、結局安く区から委託される形になるのではと懸念しており、中には、要支援者へのサービス提供を見合わせたり、倒産する事業者も出てくるといった声も聞かれています。利用者へのサービスを確保するためにも、適切な委託料を設定することが重要と考えます。
 区は現在の予防給付の報酬と比べてどの程度の水準、どういった形での委託料を見込んでいるのか見解を伺います。
 また、総合事業による新しいサービスですが、利用者の自己負担は介護保険の予防給付より高くなるようなことがあれば、利用につながらない可能性があります。どの程度の利用料が適切と考えているか、あわせて区の考えを伺います。
 次に、迷惑空き家対策についてお尋ねします。
 区では、地域の安全安心の観点から、迷惑空き家等管理不全な建物への対応を強化するため、条例制定の検討を進めています。このたび出された条例の骨子では、区民生活の安全安心、環境保全のため、最終的には、行政が費用を立てかえてでも迷惑空き家を解体することができる行政代執行が検討されている点は評価いたしますが、他自治体の例を見ると、行政が立てかえた費用を持ち主から回収できない。また、それに伴い住民訴訟が起こるといった課題の発生も指摘されているところです。
 なかなか改善されない迷惑空き家物件については、区はこれまで以上に積極的に所有者を徹底的に調査し、改善の働きかけを行っていく必要があります。条例制定と同時に、区のそういった強い姿勢をアピールするとともに、最終的には代執行もあり得るという条例制定の趣旨は、地域の安全安心のためであり、区民にとって損失ではないということをしっかり普及させることも必要と考えます。
 区は、今後、条例制定に向けてどのような条例の周知、普及の取り組みを行っていくつもりか答弁を求めます。
 最後に、魅力ある図書館づくりについてお尋ねします。
 区立図書館は、年齢やライフステージを問わず、誰もが気軽に利用できる身近な公共サービスとして親しまれてきたところです。しかし、最近は、時代が変わり、本はアマゾンなどで安く手軽に入手できるようになりました。また、町なかで本をゆっくり座って無料で読める椅子やスペースを用意した民間の書店や飲食もしながら絶景の夜景を見ながら勉強もできる有料の会員制図書館等の取り組みも好評な中で、行政がやる図書館の存在意義が問われています。
 行政も財政難の中で武雄市や海老名市などが、図書館をツタヤを展開する民間法人カルチュア・コンビニエンス・クラブに民間委託した例などは大変話題となっており、賛否両論あるようですが、来場者が急増したことは事実です。確かに区内でも馬事公苑にあるツタヤの本が無料で読めるカフェは深夜までいつもにぎわっていることを思えば、この試みがヒットするのは容易に想像ができます。
 そういった中で、最近、おしゃれな外観やカフェの併設で注目を集めている北区の図書館について、地域の大学生たちとともに調査したところ、北区中央図書館のすばらしさは、そうした目につく取り組みだけにとどまらず、高齢者、障害者への配慮や乳幼児向けサービスなど、きめ細かい点について、世田谷区の中央図書館とでは段違いのレベルと感じました。
 まず第一に、北区中央図書館は館内が非常に明るいということでした。採光にすぐれたつくりもありますが、書架の高さが低く、高齢者や子どもでも本が大変手にとりやすく、明るさも確保できるようです。視覚障害の方でもわかるほどの明るさの中で対面朗読も行われ、とてもよい雰囲気で読書が楽しめるようです。また、区民参画による図書館づくりも進んでいるようです。区民のボランティア団体と協働し、図書館運営やイベント企画などを行っているとのことです。
 他自治体を見ましても、町田市など、地域住民に図書館運営に積極的にかかわってもらう仕組みとして、図書館運営協議会を設けて、市民による図書館評価を行っている自治体などもございます。本区でも、図書館改革に区民の声を取り入れるため、図書館運営協議会等を設置してはどうかと考えますが、区の見解を伺います。
 また、世田谷区では、二子玉川ライズのすばらしい立地に図書館ターミナルと地域交流スペースを併設するということでしたが、結局のところ、カウンターのみの尻すぼみに終わったことは記憶に新しいところです。
 本区では、これまでにも大学生による子どもへの読み聞かせや視覚障害の方向けの音読ボランティア活動があると聞いていますが、スキルを持った地域の方々が区内のどの図書館でも柔軟に活動できるようにして、図書館にボランティアの活用をさらに推進すべきと考えます。
 さらに、六本木ヒルズの会員制図書館、六本木ライブラリーを見ますと、会員同士の交流が盛んで、勉強やディスカッションをしたり、英会話を学ぶ自主サークルが活発に行われています。区では、外国語の図書もたくさん配置しており、ここだけは北区の図書館よりも評価できる点ですが、もう一歩進めて、地域人材の参画による六本木ライブラリーのようなグローバルな自主活動の場づくり、地域や大学との連携の場としての図書館づくりを目指し、ビジョンに打ち出してはどうかと考えます。区の見解を伺います。
 以上で壇上よりの質問を終わります。(拍手)
   〔保坂区長登壇〕

◎保坂 区長 中塚議員にお答えをいたします。
 就任から二年間の実施計画について、その進捗状況をどのように評価しているかとのお尋ねでございます。
 二十四年度、二十五年度の二カ年の実施計画は、二十三年五月に区長就任後にまとめました区政運営方針のもとで、新たな基本構想を受けた基本計画への橋渡しとして策定をした最初の実施計画であります。
 この計画では、議員御指摘のように、二〇一一年三月十一日の東日本大震災を受けて、ハード、ソフト両面での防災対策に力を入れたほか、待機児童対策、高齢社会に向けた福祉の対策、さらには環境対策など、区を取り巻く大変大きく変動する社会状況に対応するために、緊急かつ重点的に取り組む必要のある二十本の実施計画事業で構成をいたしました。
 二年間で各年度別の計画の目標や成果指標を改めて見ますと、それも八割以上が達成をできて、当初の計画をおおむね達成できたものと考えています。
 昨年秋に、新たな区のビジョンである基本構想が策定をされました。新しい土台のもと、今年度から始まった新たな基本計画とこれに伴う新実施計画で掲げた政策を着実に実現していくために、全力で取り組んでいく所存であります。お話しの庁舎整備についても、公共施設整備の中で計画的に進めてまいります。
 招集挨拶でも触れたように、空き教室の利用とプレハブ校舎をつくらない手法、また、本体の躯体を活用いたしまして、例えば強度を補強し、内装を丁寧に仕上げていくというリノベーションによって、今後、総額二十億を超える効果額が想定をされているところです。事業手法の骨格的見直しによって生まれた貴重な財源を、さらなる行政需要に使っていく、また、財政構造の好転に資していくとともに、今後、大変多くの老朽化した施設を抱える区有施設のいわば事業にも効果的に採用していきたいと考えております。
 以上です。
   〔板垣副区長登壇〕

◎板垣 副区長 二十七年度予算編成につきまして、次年度予算ではどのあたりに力点を置いた予算案となるかにつきましてお答えさせていただきます。
 平成二十七年度予算編成に向けました予算フレームでは、景気の緩やかな回復基調が持続することを前提にしまして、特別区税の増額を見込んでおりますが、一方では、区内の事業者、勤労者の景況感は引き続き厳しい状況にあると認識しております。さらには、先日公表されましたことし四月から六月期のGDPでは、マイナス七・一%と下方修正されるなど、今後の消費税率一〇%への引き上げや税制改正の動向による影響など、予断を許さない状況が見込まれております。
 このように、区の収入の根幹でございます特別区民税や特別区交付金は、景気動向に左右されやすいことから、歳出構造の転換を図るなど、引き続き行財政改革に取り組みますとともに、将来のさまざまな財政需要に備えるため、一層の基金残高の確保を目指した財政運営を行っていく必要があると考えております。
 平成二十七年度の予算編成に当たりましては、新たな計画に基づきます重点施策に優先的に財源配分を行いますとともに、充実と改革を一体として取り組み、お話にありましたように、今後の大規模需要等への対応に向けまして、持続可能な財政基盤の構築に取り組んでまいります。
 以上です。
   〔秋山副区長登壇〕

◎秋山 副区長 あんしんすこやかセンターの相談拡充について、絵に描いた餅にならないように仕組みづくりをとの御質問をいただきました。
 地域包括ケアの地区展開は、出張所・まちづくりセンターとあんしんすこやかセンター、社会福祉協議会が一体となって、区民の身近な相談に対応することで、地域のさまざまな課題の解決を図っていくものです。この取り組みを進めていくためには、三者が持つそれぞれの機能を生かしながら、地域づくりのノウハウ、地域資源等を共有するなど、互いに連携し、対応する必要があります。
 あんしんすこやかセンターでは、これまで取り組んできた高齢者に関する相談だけではなく、今後は、高齢者と複合する障害や子育ての相談についても、これまで培ってきた、介護、福祉等の相談支援に関する知識やノウハウを生かし、相談に来られた方のお話を傾聴し、整理しながら対応してまいります。
 また、総合支所では、保健福祉課による巡回指導を初め、子育てに関する相談は健康づくり課や生活支援課がバックアップ体制を整えて実施いたします。既に地域においては、地域障害者相談支援センターや児童館など、専門的な知識や子育てに関するノウハウを蓄積してきた相談支援の機関もございますが、出張所・まちづくりセンターにおいても、地区でさまざまな相談を受けていくことができるよう、三者が連携し、解決に向けて経験を積み重ね、区民から信頼されるように努めてまいります。
 以上でございます。

◎板谷 政策経営部長 私からは、マッチングを新しい政策の創造にどのようにつなげるのかとのお尋ねにお答えをいたします。
 区は、これまでもさまざまな施策や事業に取り組む中で、関係所管の連携はもとより、多くの区民参加や協働に取り組んできました。しかし、社会環境が激しく変化する中で、多種多様化する区民ニーズに的確に対応できる最善の方法で課題解決を図ることが求められております。そのためには、常に工夫と見直しを行い、連携協力を高めるとともに、職員一人一人の意識を向上させ、区民参加、協働の取り組みを一層加速、向上させていく必要がございます。そこで、庁内での検討を進め、改めてこれまでの成果と課題をまとめ、マッチングの意義と定義をまず整理いたしました。
 今後は、モデルとしての取り組みを実践し、事業のすき間を埋めることで、当初気づかなかった取り組みを見出したり、異なる関係者が合流することによって生み出される新たな効果などをマッチングレポートとして取りまとめ、発信、更新を続けることで、政策の創造や組織、職員意識の変革に取り組んでまいります。
 以上でございます。

◎齋藤 生活文化部長 NPOや民間団体等との協働の推進についてでございます。
 区は、これまでも多様化、複雑化する区民ニーズに対応していくため、NPOなど、市民活動団体との連携協働に努めてまいりました。この結果、平成二十五年度における各所管の協働件数の実績は三百件以上に上り、NPO等との協働が着実に進展しているものと考えております。
 また、行政とNPO等とのマッチングをさらに推進するため、提案型協働事業を実施し、お互いのノウハウや専門性などを共有しながら事業展開を行うことで、より質の高いサービスの提供と地域課題の解決を図ってまいりました。
 一方で、区の施策とNPO等との視点が一致しない場合やNPOなどの団体の活動基盤の脆弱性、相互理解が十分でないなどの課題もあるものと認識しております。しかしながら、NPO等との活動の裾野は広がってきており、行政との協働を進めることにより、団体の持つ専門性などをしっかりと公共サービスに生かせるよう、今後とも協働のあり方について柔軟に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◎寺林 財務部長 私からは、公契約条例について二点お答えいたします。
 まず、労働環境の管理、指導体制についてでございます。
 具体の労働環境の確認体制ですが、御指摘の労働環境確認シートを基本的な契約締結手続に組み込み、契約書を取り交わす際に提出を求める予定で、契約書類とともに内容確認を徹底して行い、不備等があれば、その都度、事業者に再確認や補正等を求めます。その際、もし労働環境の適正性に疑義がある場合は、さらに詳しい事情聴取や資料の提出等を事業者に求め、必要に応じて改善を指示するなどの是正措置を働きかけてまいります。
 また、受理した労働環境確認シートは、契約担当課の窓口で、労働者や区民の皆さんにもごらんいただけるよう検討しております。これによって、公契約の透明性と事業者に対する抑止効果を担保したいと考えております。
 以上のように、労働環境確認シートを効率的、効果的に活用することにより、条例の実効性を確保してまいりたいと考えております。
 二点目でございます。区内建設事業者との災害協定締結を推進せよという御質問についてお答えします。
 御指摘のように、御提案中の条例には罰則規定はございませんが、区といたしましては、広く条例の趣旨を御理解いただけるような広報活動に努めるとともに、条例を遵守している事業者に対してインセンティブが与えられるような入札制度の仕組みとあわせて実施することにより、実効性を担保できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 また、現在、区では、地域において信頼性、社会性等を有する事業者を評価する観点から、総合評価競争入札において、区と災害時協力協定等を締結している事業者に地域貢献評価点を付与している点は御指摘のとおりでございます。区内にはさまざまな業種の建設業者が存在し、災害時に協力いただける業務も数多くあります。今後も災害時協力協定を締結した場合は事業者に利点があることを周知し、関連所管と連携しながら、協定の締結をさらに進めてまいります。
 以上でございます。

◎小堀 障害福祉担当部長 私からは、障害者福祉の整備についての御質問につきまして四点お答えいたします。
 まず、重度障害児者のグループホームやショートステイにおける医療的ケアについてでございます。
 障害者のグループホームは、共同生活を行う住居で日常生活の援助を行う施設として区内で二十六施設、ショートステイは、介護する家族が病気の場合などに、短期間、入浴や食事などの介護を行う施設で、現在区内に十五施設ございます。今後、新たに北烏山に平成二十六年十二月開設予定のここから、成城に平成二十七年四月開設予定のイタール成城の二施設の整備を進めてございます。
 イタール成城につきましては、障害者総合支援法に基づき、生活介護との併用であるため、看護師が配置される予定でございます。しかしながら、グループホーム及びショートステイは看護師の配置は必須ではなく喀たん吸引や経管栄養など、医療的ケアが必要な利用者の受け入れについては、運営事業者の裁量になってございます。
 区では、事業者公募の提案なども踏まえまして、この間、利用者、家族のニーズに応じて可能な限り医療的ケアにも対応できるよう協議を進めてまいっております。区といたしましては、医療的ケアなど多様なニーズに応じたサービスが提供できるよう、引き続き運営事業者に働きかけ、誰もが安心して地域生活を続けるための基盤整備に取り組んでまいります。
 次に、重度障害の受け入れの加算についてでございます。
 区では、障害者の各ライフステージに応じた日中活動の場の拡大が重要であると認識してございます。活動場所といたしましては、幼児期の児童発達支援及び学齢期の放課後等デイサービス並びに成人期の日中ショートステイなどがございます。
 重度の障害のある方の居場所の確保が重要であることから、区では、児童発達支援や日中ショートステイに重度加算の補助を行うことで、人材の確保などを支援し、利用者サービスを確保しているところでございます。しかしながら、お話にありましたように、放課後等デイサービスにつきましては、重度加算の仕組みがないため、運営事業者からは、重度の利用者の受け入れが難しいとの声も伺ってございます。
 区では、重度の障害のある方が各ライフステージに応じ、途切れることなく居場所が確保できるよう、他自治体の事例も調査いたしますとともに、運営事業者と懇談の機会を設けるなど、利用者支援のあり方について、さまざまな視点から検討を進めてまいります。
 次に、講座等の関係所管の連携についてでございます。
 区では、高齢者や障害者それぞれの分野における専門性を高めるための講座や研修を各所管課が企画、実施してございます。今後は、高齢の障害者への対応など、必要に応じて、高齢、障害などの分野を超えた講座や研修を関係所管課が連携して企画、実施してまいりたいと考えております。
 最後に、障害当事者と協働した講座等の展開についてでございます。
 総合福祉センターでは、高次脳機能障害の特性を理解し、本人の可能性を引き出して外出の手助けをする高次脳機能障害者ガイドヘルパーの養成講座を実施してございます。この講座では、当事者と御家族を講師としてお招きし、それぞれの立場から体験を話していただいたり、障害者と町を歩く外出体験実習を実施してございます。また、視覚障害者の支援者を養成する同行援護従事者養成研修や手話講習会などにおいても当事者に御協力いただきまして、講師を務めていただいたり、企画、運営を担っていただいております。
 当事者や御家族の実体験を知ることは、区民の障害理解を促進するとともに、障害者福祉の基盤整備を進めていく上でも大切なことであると考えております。今後ともさまざまな障害理解の講座等につきましても、可能な限り、当事者や御家族と連携協働し、取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。

◎田中 高齢福祉部長 私からは、新たな介護保険制度の総合事業について、二点に御答弁いたします。
 初めに、民間事業者への委託料の見込みについてでございます。
 第六期の介護保険事業計画における新しい介護予防日常生活支援総合事業は、従来予防給付として提供されていた全国一律の介護予防訪問介護と介護予防通所介護を区市町村で実施する地域支援事業に移行し、現行の介護事業者によるサービスに加えて、NPOやボランティア等の多様な担い手によるサービスを総合的に提供する仕組みとするものでございます。
 本年七月に国が示したガイドライン案によりますと、介護事業者で実施する訪問型サービスや通所型サービスは、厚生労働省令で定める額を上限として、これを下回る額で定めることとされております。
 区といたしましては、国のガイドラインに基づきまして、要支援の方の自立支援にどういったサービスが必要なのかを十分検討し、事業者の意向なども聞きながら、総合事業の単価等を設定するとともに、事業の実施手法についても検討してまいりたいと考えております。
 次に、総合事業における利用料の考え方についてでございます。
 国のガイドライン案によりますと、介護予防の訪問介護と通所介護の利用者が新しい総合事業として利用するサービスとしては、現行の運営基準による相当サービス、その基準を緩和したサービス、住民主体による支援などに区分されており、基本的には予防給付の利用料を下回る額で利用料を定めることとしております。
 区といたしましては、要支援の方が可能な限り住みなれた地域でその有する能力に応じて、自立した日常生活を営むために、どういったサービスが必要で、地域の中でどのように提供していくのか、御負担いただく利用料はどの程度が適切であるかということについて、サービスのメニューや内容、提供の主体等、幅広い観点から検討してまいります。
 以上でございます。

◎松本 環境総合対策室長 私からは、迷惑空き家対策につきまして、条例の趣旨、区の姿勢を区民にしっかりアピールすべきとの御質問にお答えをさせていただきます。
 良好な生活環境の保全などに向け、迷惑空き家や老朽危険家屋などの管理不全な建物を解消していくため、今般、この間の検討状況として、対応の考え方と根拠となる条例の骨子について議会へ御報告申し上げたところです。
 条例の骨子では、繰り返し所有者等へ改善の要請をしても実効が上がらない場合には、行政代執行を含めた行政上の措置を講じていくことを盛り込んでおりますが、同時に、建物所有者等の責務として、建物などの適正管理についても盛り込む方向としております。
 このように、条例では、区民の責務や区の役割、権限などについて規定してまいりますので、条例整備後には、区民の皆様にその内容を十分に理解していただくことは大変重要なことと考えております。あわせまして、今後、条例の素案をまとめてまいりますが、条例素案については、広く区民にも御案内し、御意見をいただいてまいりますので、まずはそうした過程で条例整備の趣旨や区民の責務などをお伝えしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◎伊佐 教育政策部長 図書館に関しまして三点お答えいたします。
 まず、区民の声を取り入れるために図書館運営協議会等を設置してはどうかについてでございます。
 教育委員会では、現在、第二次図書館ビジョンの検討を進めており、素案に対する区民意見募集を今月十五日から十月六日まで行っているところでございます。お話にございました図書館運営協議会は、図書館法に図書館の運営に関し、館長の諮問に応ずるとともに、図書館の行う図書館奉仕、サービスについて、館長に意見を述べる機関として設置できると規定されております。
 図書館では、日ごろから意見募集や図書館についてのアンケート調査を実施するなど、区立図書館の利用状況やニーズの把握に努めているところでございます。また、第二次図書館ビジョンにおきましても、区民参加の視点も取り入れた事業方針を推進していくこととしておりまして、お話にございました図書館運営協議会については、世田谷区の状況に合った仕組みなどについて研究させていただきたいというふうに考えているところでございます。
 次に、グローバルな学びの場としての図書館をビジョンに打ち出してはどうかについてでございます。
 教育委員会といたしましては、昨今のグローバル化の進展などを勘案いたしますと、今後、公共図書館の取り組む施策や事業なども変化していく、あるいは変化させていく必要があると認識しているところでございます。
 現在策定中の第二次図書館ビジョンでは、子どもたちへの学びの事業などを充実させていく予定でございますけれども、御提案の地域の人材の参画や大学との連携などについても、グローバルな観点、そういったところも視野に入れ、検討を進めてまいります。
 次に、大学生やスキルを持った方々の図書館でのボランティアの活用をさらに推進すべきとの御質問にお答えいたします。
 現在、教育委員会では、区内大学との連携を進めており、大学図書館の利用につきましても、十二大学と覚書を締結しております。また、図書館各館が開催しております子ども向けの読み聞かせには多くのボランティアの方に御参加いただいております。
 先般お示しいたしました第二次図書館ビジョンの事業方針におきましては、大人の学びを豊かにする図書館を目指しており、学生の方々も含めたボランティアなど、図書館を活用した地域人材の育成に努めてまいります。また、視力障害の方に対する音訳や朗読サービスの実施に当たっては、ボランティアの方々に御協力をいただいておりますけれども、ボランティア活動の活性化に向けて、組織化等の課題に取り組むとともに、今後は音訳のための講座の開催なども検討してまいりたいと考えております。
 教育委員会といたしましては、今後とも公共施設としての図書館の役割を踏まえながら、第二次図書館ビジョンを推進する中で、多くの方々に御参加いただける施策を展開し、魅力ある図書館づくりに努めてまいります。
 以上です。

中塚さちよ  議員 では、再質問を一点させていただきます。
 公契約条例なんですけれども、労働環境確認シートを契約の手続のときに、その書類をちゃんとチェックするというような御答弁をいただきましたけれども、書類が出ているか出ていないかとか、書類に何が書いてあるかをチェックするということではなく、実態がどうなっているのかということをチェックしないとどうしようもないんじゃないかと思うんですね。
 これが介護保険事業だったらば、毎年当然書類を出すものは出さなきゃいけないけれども、それだけではなくて、書類を出すものは出しても、定期の監査がありますし、ちょっとでも何か周囲からこのサービスについて、人員規定が法律とちょっと違うんじゃないかだとか、サービスの提供内容がどうもプランと違うんじゃないかとなりましたら、もう区とか都からすごい監査の人がいっぱい来まして、なおかつ、それで違法性とかが認められたらば、事業者は指定廃止になり、福祉保健常任委員会にもこの事業者は廃止になりました。下手したら新聞にも出て、そういう本当に非常に厳しい中で仕事をしているんですね。
 この今の話でしたらば、公共事業を請け負っているところが、この書類だけ出せば、どうなっているのか、ちゃんと実態のほうをどのようにチェックするのかということについて答弁をいただきたかったんですけれども、そのあたりはどうなんでしょうか。

◎寺林 財務部長 再質問に御答弁申し上げます。
 労働環境確認シートの中の記載、現在検討中でございますが、例えば参考に現在予定しております先行自治体の例を申し上げれば、一つの項目の中では、これは具体の例ですが、かなり細かく記載されているわけですね。ちょっと申し上げますと、例えば従業員の採用時に、賃金、労働時間など、労働条件について必要な事項を記載した書面を交付しているとか、こういった項目が十数項目にわたってかなり細かく書いている自治体もございます。
 こういうのも踏まえまして、この中で、あっさりした書き方でやる方法もあれば、かなり細かく書いてやる方法もあると思いますので、その辺を、今議員がおっしゃったような御懸念のないような範囲で、かつ事業者に負担にならないような形で実効性が担保されるような形で検討してまいりたいと思っております。
 以上でございます。


中塚さちよ  議員 ですから、書類の細かさを言っているんじゃなくて、実態がどうなのかということをどうするのかという質問なんですけれども、だから、先ほど最初の質問のところで抽出調査をするとか、そういったことを具体的に提案させていただいたんですが、また続きは、わかりませんけれども――では、どうですか。具体的にサンプル調査みたいなのを、実態をちゃんと足で、目で見てくるといったことは考えているんでしょうか。

◎寺林 財務部長 再々質問にお答えします。
 現在のところ、そこまでは予定しておりませんが、あくまでこの公契約条例をスタートするに当たって、何と申しますか、性善説というのもとっておりまして、やはりこちらである程度、条例の精神がそういうものを想定しておりまして、そのあたりで、もし悪質な事例等がこちらのほうにとどきましたら、先ほど御答弁申し上げたような形で指導してまいりたいと思っております。
 以上でございます。


○山口ひろひさ 議長 以上で中塚さちよ議員の質問は終わりました