平成23年9月 世田谷区定例会 09月21日 行革(外郭団体改革) | 世田谷区議会議員 中塚さちよオフィシャルブログ「世田谷の介護・福祉関係で交流!」Powered by Ameba

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世田谷区議会議員・ケアマネジャー中塚さちよの活動報告、議会報告、ケアマネのお仕事、日常など

 それでは、世田谷民主党を代表して質問してまいります。


 平成二十四年度予算編成に向けた区長の予算削減方針についてお伺いします。


 厳しい財政状況が続く中での区政運営に、今般、大震災に係る被災者支援、節電の取り組みなど新たな課題が加わりました。必要な予算を捻出するために、まずは議会、行政が率先して無駄や特権を徹底的になくす姿勢を示していくことが重要です。今年度の予算編成に当たっては、行政経営改革が進められ五十五億円の削減を行ったところです。区長がかわられて、これまでの行政経営改革計画を踏襲し、引き続き取り組んでいくものもあれば、新たな視点での見直しもあるかと思います。


 少し前に流行した言葉で、断捨離というのがあります。断、入ってくる要らない物を断つ、捨、家にずっとある要らない物を捨てる、離、物への執着から離れるという引き算の解決方法によって、身近な暮らしを整理する考え方です。区政においても、国や都から補助金が出るからといって、身の丈に合わない公共事業はやめる、不要な事業や漫然と続けているような支出を見直すなど、ぜひ断捨離を敢行していただきたいと思います。区長は、このたびはどういった方針で見直し項目を決定し、どれくらいの金額、規模の削減を目指しているのかお答えください。


 次に、以下、我が会派として予算削減に向けて特に重点的に取り組むべきと考える項目について、順次質問と提案をしてまいります。


 まず最初に、外郭団体のさらなる仕分けと改善についてです。
 本区の外郭団体改善に関する資料は、もっと明瞭簡潔に記載するよう改善すべきと考えます。例えばさいたま市では、平成二十年度から五年間で、公益法人を約三割削減、十七団体のうち五団体の削減を目指すなど、明確な削減目標を掲げた計画を策定しています。


 一方、本区の外郭団体改善方針などは、資料ばかり多いですが、中身は外郭団体の活用、存続ありきで見直しする視点が弱いと感じます。区長には手ぬるい改善ではなく、外郭団体のさらなる統廃合を含めた、今後の計画の抜本的な改革を期待します。見解を伺います。
 続いて、外郭団体への補助金や委託費をもっと減らせるのではないかという観点から質問します。


 株式会社世田谷サービス公社は、このたび新社屋の建設を予定しているとのことです。事業報告書を見ると、この一年だけでも剰余金一億円を上乗せし、社屋建設積立金として七億も積み上がっています。このほかさらに、新規事業開発積立金五億、経営安定化積立金十億など、多額の積立金があります。新規事業開発積立金といっても、これまで一度も新規事業は開発されていないとも聞いています。


 今回、サービス公社は、キャロットの指定管理者の公募に応募しましたが、プレゼンの結果、民間他社がサービス公社を上回る得点で受託しました。施設維持管理やレストラン事業などは、担い手となる民間事業者も多数ある中で、二十二億円の埋蔵金を持つ会社を区が支援する必要があるのでしょうか。ほかにも介護保険の事業収入がある社会福祉事業団などでも、基金を一億積み増ししています。こういった現状を踏まえ、補助金、委託費のあり方の見直しを行うべきと考えます。区の見解を伺います。

 外郭団体についてもう一点、最後に指定管理者の公募について質問します。


 今定例会には、区営住宅等の指定管理者の指定について、財団法人世田谷トラストまちづくりを特別の事由で選定する議案が上がっています。私は平成二十年九月の定例会でも、区営住宅等の指定管理者について他区では公募をしているのに、本区では公募を行わずに同法人を選定する議案が出されたので質問をしました。そのときは、公募を行わない理由として、居住者が高齢化しており、福祉との連携が必要という答弁でした。しかし、それは他区も同じであるため納得がいかず、議案に反対したという経緯があります。


 トラストまちづくりは公益事業を多くやっています。ことし四月を目途に公益財団法人への移行を目指していましたにもかかわらず、いまだ移行できていません。公益財団法人の認定には、公益事業比率が五〇%以上という決まりがありますが、区営住宅などの管理が公益事業として認められるかどうか、審査に時間がかかっているということです。


 一方で、社会福祉協議会は今回ふじみ荘の指定管理者の公募に応募しませんでした。前回は適格性審査でしたが、今回は老朽化した施設の維持が困難になっているという理由もあり、社協のやるべき仕事なのかどうか、民間でもできるのではないかと考えた結果、応募を見送ったそうです。公募を行えば、外郭団体がより公益性の高い事業に重点化したり、今回のキャロットのように、サービスの向上が期待できる民間企業が選定されるなどメリットは明白です。区営住宅等の管理について、区は指定管理者の原則公募を徹底すべきと考えますが、見解を伺います。


 次に、土木費削減のための明確な目標設定についてお伺いします。
 前区長は土木関連に関しては、みどり率三三%の達成、道路整備を二倍のスピードで進めるなど、明確な数値目標を掲げて取り組んできました。しかし、みどり予算の中には二子玉川公園用地取得など、大型公共事業と一体化した土地取得があったり、道路整備については十分な合意が図れないうちに性急に進めようとしたために、地域住民に対立を生んでしまい、議会に陳情が出されるといったこともありました。


 保坂区長が当選された背景には、前区長が進めてきた大型公共事業、土木偏重の区政を脱却してほしいとの期待があると思われます。土木費の中には道路、建築以外にも河川や緑の関係など、いろいろなものが含まれていますが、優先順位の見きわめや、不要不急の事業の見直しが必要と考えます。
 道路については、財政難のため、実際にはこれまでもかなり先送りをしており、未着手のままの主要生活道路の計画が多数あります。地元意見を十分に吸い上げた上で、例えば主要生活道路新規着工数何%削減などといった、ぜひ明確な削減目標を上げていただきたいと考えます。


見解を伺います。


 我が会派からの歳出削減案として、最後に、補正予算における商業振興策について質問いたします。


 今回の補正予算では、プレミアム付商品券の発行に約六千万円の予算が組まれています。プレミアム商品券は、多忙な区民にとっては買う機会が持てず、購入者はリピーターが多いと聞いています。幅広い区民にメリットが行き渡っているかどうか、その実態はいまだ掌握されていません。手数料分は商店側の負担になるということもあって、すべての商店街や商店主が歓迎しているわけでもないようです。


 区の単費で負担も大きく、震災関連などの他の補正予算と比べても、今なぜ補正を組んでやるのかが違和感がある内容です。一部のほぼ決まった人たちしかメリットが還元できないおそれもあるプレミアム商品券の発行を、区はいつまでやるのでしょうか。
 以上、我が会派の考える歳出削減のための質問と提案を述べさせていただきました。それぞれ答弁を求めます。


 区長は招集あいさつの中で、厳しい財政状況の中でも優先的に対応すべき喫緊の課題として、防災、環境、福祉などと挙げておられました。我が会派からも、それぞれについて順次質問してまいります。
 初めに、防災の分野について、災害時要援護者支援のための環境整備について伺います。


 区では、災害時に自宅や避難所での生活が困難で、介護等のサービスを必要とする方のために二次避難所を開設することとしています。この二次避難所は、基本的に特別養護老人ホームを指定しているため、高齢者等の数に対し絶対数が足りない現状です。また区内の特養ホームは偏在しているため、北沢地域と世田谷地域から玉川地域にわたって大きな二次避難所空白地帯となっています。


 京都府木津川市では、福祉避難所確保のため介護つき有料老人ホームと協定を結んでいます。本区でも、世田谷地域から玉川地域の一帯には、介護つき有料老人ホームが多くあるので、協定を結んではどうでしょうか。


 災害には日ごろからの備えが大事です。区でも震災後、具体的な災害発生状況をイメージした発災対応型防災訓練などに力を入れており、参加者が増加傾向にあるようです。しかし、地域の方々からは、防災訓練をいつどこでやっているのか知らず、参加できなかった。一度行ったことがあれば、もう参加しなくていいのではないかといった声も聞いております。


 災害時要援護者支援の仕組みも、対象となる方が制度を知らずに登録されていない状況もあるようです。持病や飲んでいる薬など、医療に関する情報がわからない状況で避難所生活になれば、適切な医療につながらず命にかかわることもあります。災害に備えた準備や訓練、周知を日常的に、さらに充実して行うべきと考えます。区の取り組みを伺います。


 次に、再生可能エネルギーの具体策とエコタウンの推進について伺います。
 先日、成城ホールで行われた区長がコーディネーターを務められた、再生可能エネルギーに関するシンポジウムに出席してきました。前半はまず、南相馬市の桜井市長が南相馬の被害状況、現状とこれからの課題をお話しになり、市民全員の心の再建をしたいと訴えていました。次に、環境エネルギー政策研究所飯田氏から、世界がどれほど脱原発傾向にあるのか具体的にお話しいただき、日本がいかに脱原発途上、もしくはそれすら至っていない段階にあるのかがわかり勉強になりました。


 しかし、シンポジウム全体を通して具体的な再生可能エネルギーとして言及されたのは、太陽光、太陽熱エネルギーくらいでした。近年では、太陽光以外にもマグネシウム発電、CO2を抑制し石油燃料を産出できる藻類――藻というのは海藻の藻でいわゆる藻のことです――などさまざまな再生可能エネルギーの研究がされています。


 例えばですが、東北と区内の大学との連携で技術支援をし、南相馬で藻類の養殖を行って、産出された石油燃料を世田谷区民も使用できるようにすれば、南相馬の農業にかわる雇用創出の一助ともなり、自治体同士のきずなも一層深められるのではないでしょうか。


 これは一例ですが、再生可能エネルギーの普及開発について、太陽光だけでは限界がありますので、太陽光以外にも調査研究をしてはいかがでしょうか。
 また、今後、梅ヶ丘病院跡地を医療福祉の拠点として整備予定ですが、施設の性質上、非常時の電源確保が極めて重要です。梅ヶ丘跡地を蓄電、売電なども可能な本区のエコタウン、スマートタウンの拠点としていくことはできないでしょうか。見解を伺います。


 次に、福祉分野について、自立と尊厳を支える新たな障害福祉サービスの確保についてお伺いします。
 発足後、二年たった民主党政権の一つの成果として、障害者自立支援法の一割負担から応能負担への変更があります。現在、同法の廃止に向けてメンバーの過半数を障害の当事者とする内閣府の障がい者制度改革推進会議において、新たな障害者総合福祉法(仮称)の検討が進められております。
 新たな仮称障害者総合福祉法では、インクルージョンの考え方に基づき、障害の種別、軽重にかかわらず、尊厳のある生存、移動の自由、コミュニケーション、就労等の支援を保障し、差異と多様性が尊重される共生社会の実現が目指されています。区としても、これからの障害者施策を考えるに当たっては、この趣旨を踏まえて以下につき取り組みを求めます。
 まず議会でもたびたび取り上げられた、人工呼吸器を利用していて二十四時間の介護が必要な重度障害者のホームヘルプについて、上限十七時間というのはおかしいので、大至急生活実態に見合った支給に改善すべきです。その後の進展と今後についてお答えください。


 移動サービスについては、透析患者などにとっては災害時に病院に移動ができないと即刻命にかかわるという問題もあります。そとでるを拠点に、区とのさらなる連携を求めます。
 現在、聴覚障害の当事者の方々がグループホームの整備を検討しているとのことです。生涯にわたってコミュニケーションの支援が保障されるよう、区としても支援を求めます。また、区からは家賃の補助のみで、職員の人件費などが持ち出しになっている、ひかりについてもさらなる支援を検討していただきたいと思います。それぞれ見解を伺います。
 これらの課題やニーズに対応し、増大する社会保障費の支出を抑えるため、区民の医療費負担軽減につながるがん対策の推進について質問いたします。
 先日、国民健康保険料が急激に高くなったと地域の方からお怒りの電話が来ました。これは算定方法の改正によるものですが、所得の少ない高齢者の方にとっては大きな負担増です。近年の医療費の伸びの背景には、実は高齢化以上に医療技術の進展があると指摘されています。特にがん領域は、新薬や機器など技術革新が激しく、この十年間医療費全体の伸びが一割なのに対し、がんの医療費は四割ふえているとのことです。


 抗がん剤は高いので、高額医療費制度での払い戻しはあっても、経済的な理由で抗がん剤をあきらめる方も少なくないそうです。生活保護だと、医療扶助で無料で抗がん剤治療ができることを考えると、非正規雇用など少ない収入や年金から国民健康保険料を払っていて、職場での受診の機会のない方々は、せめてがんを早期発見、早期治療し、できる限り体と治療費の負担を減らせるよう、区の健診を利用していただきたいです。


 日本人に一番多いのが胃がんですが、前年は検診受診率が微増したものの、五%程度にとどまっています。胃がん検診はレントゲンを撮るため、このところ被曝を心配する問い合わせが来ているとのことですが、今年度の実績はどうでしょうか。レントゲン等の被曝に対する正しい知識の周知と受診率向上の取り組みを求めます。また、多くのがんに関係している喫煙対策についてもさらなる拡充を求めますが、区の見解を伺います。
 最後に、子どもの人権、いじめ問題等への取り組みについて一点質問いたします。


 福祉保健常任委員会では、川西市の子どもオンブズを視察させていただきました。子どもたちの信頼を得て、一定の成果を上げておられるようでしたが、子どもたち自身が希望しない限り、悩みの原因となっている学校や周囲に話したり、働きかけたりはしないということなので、かえって子どもとオンブズのほうで問題を抱え込んでしまうことになるのではないかと懸念されました。
 子どもの人権やいじめの問題は、学校と大きくかかわっているものですが、区で策定中の世田谷区教育ビジョン第三期行動計画の中で、この問題についてどう対応していくのか、いま一つ明確に見えません。我が会派では、子どもの人権、いじめ問題については学校、教育委員会の改善こそが重要と考えております。区長のお考えをお伺いいたします。
 以上で壇上よりの質問を終わります。


   〔保坂区長登壇〕

◎保坂 区長  中塚さちよ 議員にお答えをいたします。
 まず、平成二十四年度予算編成に向けた予算の削減に当たって、どういう方針をとっていくのか、ご質問をいただきました。
 区の財政は歳入減が続く一方で、行政需要が増大を続けています。本年一月にお示しした財政見通しでの三十四億円余りの財源不足の予測額から、今年度は税収見込みがさらに下振れしたことにより、五十億円を超える財源不足への対応が大きな課題になっているところでございます。一方で、平成二十三年度の特別区交付金は、当初予算に比べ約三十九億円の増という金額が提示をされておりますが、東日本大震災等の影響により、これは下方修正される可能性もあり予断を持てない状況です。
 行政改革の取り組み項目の検討、決定に当たっては、さきにお示しした区政運営方針に加え、昨年度実施した全事業を対象とした政策点検結果を踏まえて、施策事業の必要性、有効性、優先度の見直し、民間でできることについての民間への移行、施策事業の効率化と質の向上、適正な利用者負担の導入、あるいは税外収入確保等の推進を基本方針とし、今後、行政経営改革計画の素案をお示ししてまいります。この素案に基づいて、区民の意見をパブリックコメントなどでいただくとともに、議会でも活発なご議論をいただきながら、行財政経営改革を進め健全な財政運営の維持を目指していきたい
と考えております。


 次に、子どもの人権、いじめ問題についてのご質問をいただきました。
 川西市のオンブズパーソンについて見てこられたということでございます。このいじめについての見解を私から述べれば、実はいじめはどの子どもたちの間にも、あるいはどのクラスにも起こり得る問題で、私たちが注意しなければならないのは、このいじめが潜在化、固定化し長期にわたっていわば悪化をしていくこと、あるいはそのいじめの手段がエスカレートし、最悪の場合は子どもが死に追い詰められる。あるいはその寸前で、大変精神的に傷ついて外に出られなくなる、学校に行けなくなる、あるいは学齢期が終わっても外に出られなくなる等の大変な打撃が与えられるわけです。


 たとえいじめが起きても、児童生徒の間で修復機能が働いて、問題を表面に出していく中で、このいじめの最初の段階における解決、解消が図れる子どもたちの力を育てることが大事だと思っております。


 学校現場の取り組みは大変重要であり、教育委員会ではいじめの未然防止を図るための取り組みを強めていて、万一いじめの兆候があった場合には、学校と教育委員会が組織を挙げて、その芽を早期に摘むための体制づくりを進めていると聞いております。なかなかいじめの発端、状況が見えないというのが子どもたちの世界であります。相談の秘密は守る、余分な行動、指示はしないなどの原則をもって世田谷区で実験され、現在全国に広がっているチャイルドライン等、民間の取り組み、これらとの連携も大変重要なポイントだと思います。


 今回、教育ビジョン第三期行動計画では、不登校やいじめ問題への取り組みの充実を位置づけて、いじめは絶対に許さない、起こさせないという強い決意のもと、学校、教育委員会が一体となっていじめの防止、迅速な対応に取り組むと聞いておりますので、私自身のこのいじめの問題への取り組んできた経験も踏まえながら、この一層の取り組みを教育委員会とともに進めてまいりたいというふうに考えております。


   〔板垣副区長登壇〕

◎板垣 副区長 私からは、外郭団体のさらなる改善についてをご答弁申し上げます。



 区の外郭団体は、さまざまな分野で専門性を生かしながら、区が行います施策の一部を担い、区民サービスを拡充する役割を果たしてきております。区では、平成十七年に策定いたしました、外郭団体改善方針に基づき外郭団体への財政、人的支援などの見直しなどを進めてきておりますが、各団体におきましても、それぞれが改善計画を策定し経営の改善、効率化に取り組んでおります。


 現在、平成二十四年度と二十五年度の二カ年の外郭団体改善計画を取りまとめているところですが、改善計画にはこれまでの取り組みを踏まえた上で、昨年度から取り組んでおります区の全事務事業の点検結果を受けての対応や、今年度実施しております外郭団体の自主事業の総点検の結果などを反映できるように工夫してまいります。

 議員のお話にもありましたが、さいたま市の例として統廃合の件がご紹介されましたが、まずは、今後二カ年の改善に向けた取り組みを計画的かつ着実に行いますとともに、中期的課題や外郭団体のあり方等につきましては、新たな基本計画とあわせまして、次期仮称外郭団体改善方針を策定する中で検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


   〔秋山副区長登壇〕


◎秋山 副区長 災害時の要援護者などの支援の仕組みや訓練の充実についてでございます。
 災害時に要援護者への支援を迅速かつ円滑に行うためには、要援護者本人、家族、地域住民の一人一人が、災害時における自助、互助、共助についての重要性を認識し、日ごろから災害に備えた準備を行うとともに、情報の共有を図ることが必要になってまいります。

 区では、災害時要援護者の支援の取り組みを進めるため、冊子「災害時要援護者支援の進め方」を作成いたしまして、関係団体への配付やホームページでの公開などにより、支援の仕組みの周知を図っております。また、この協定を締結した町会・自治会では、医療情報や服薬している薬の情報などを含む個別支援カードの作成などにより、情報共有を進めることとしております。
 さらに、実際の災害時に円滑に支援を行うた
め、要援護者支援を想定した実践的な防災訓練を各地域で進めるとともに、今年度二次避難所の図上演習訓練も実施し、マニュアルの検証を行うこととしております。


 今後もさまざまな機会をとらえて、地域住民への防災意識の普及を進めるとともに、要援護者支援を想定した避難訓練の拡充など、災害時要援護者支援の取り組みを図ってまいります。


 以上でございます。

◎宮崎 政策経営部長 私からは、外郭団体の改善につきまして二点ほどお答え申し上げます。


 まず最初に、委託費と補助金の見直しの関係でございます。
 例にございました委託費の関係ですが、サービス公社を例に申し上げますと、区民会館や区民センターなど、区民利用施設の維持管理、清掃を初
め、さまざまな業務を委託しております。他の民間企業と同様に、仕様書に基づき委託内容、金額を十分精査しておりますが、二十三年度予算では厳しい財政状況に対応して一層の削減を図った結果、二十二年度契約額に対しまして、約一割の減額をしております。今後も委託施設などの適切な利用環境を維持しながら、最小限の経費とするよう、さらに取り組みを強めてまいります。


 また、外郭団体の補助金でございますけれども、行政経営改革計画や政策点検方針に基づきまして、団体経営の効率化や自主財源の活用といった観点から見直しを行っておりまして、当初予算でございますけれども、平成二十一年度の補助金総額三十九億円に対しまして、二十三年度当初予算では三十二億円とマイナス七億円、約一八%削減の状況となっております。
 平成二十四年度に向けましては、各外郭団体に改めまして自主事業の総点検をお願いしているところでございますが、区の厳しい財政状況を踏まえまして、二十四年度から当面、二カ年の団体に対します財政支援基準を作成いたしまして、団体の収支や繰越金の状況などを総合的に勘案して、さらなる補助金の精査を図り二十四年度当初予算に反映させていく考えでおります。
 次に、指定管理者の関係でございますけれども、まず私のほうからは、全体の原則論についてご答弁を申し上げます。

 区では、地方自治法の改正によりまして、多様化する区民ニーズに対しまして、効果的、効率的に対応するため、民間の能力を活用し、公の施設の適正かつ効率的な運営を図ることを目的に、指定管理者制度を積極的に導入しております。指定管理者の選定に当たりましては、指定管理者制度運用に係る指針に基づきまして、施設の設置目的の適合性、施設の効用の発揮度合いや良質なサービス提供などの事業効果、管理経費の縮減等の運営への効率性、事業の安定性や実績などの基準を設けるとともに、事業者間での競争意識の向上による経費削減等の効果が期待できることから、原則公募といたしております。


 一方、事業者の専門性や地域との連携、施設にかかります安定した区民サービス提供等の効果が期待できる場合は、特別の事情として選定できることから、指定期間の更新の際には、経営の効率化等を初めとするこれまでの実績や、区民サービス等が効果的に行われていたかなどを改めまして検証した上で、施設ごとの選定委員会において選定基準に照らし、公募、特別の事情の適否を十分検討し、選定手続を進めております。
 以上でございます。

◎中杉 都市整備部長 私からは、トラストまちづくりの区営住宅等の指定管理についてお答え申し上げます。
 平成二十四年四月からの区営住宅等の指定管理者については、条例に定める特別の事情の規定に基づきまして、公募によらず指定管理者の候補者を
選定するという選定委員会の判断を経て、適格性の審査を実施し候補者を選定いたしました。


 特別の事情に該当する理由といたしましては、当該候補者が心身状況に応じた迅速できめ細やかな指定管理業務を行うなど、居住者の信頼を得ていること、また、通算して十二年継続して管理運営業務を行ってきた実績とノウハウを有していることが挙げられます。


 区営住宅等の管理に当たりましては、福祉と連携したサービスの提供やコミュニティー形成、良好な居住環境の整備など、区の施策と一体となった維持管理を適正かつ安定的に行うことが求められております。当該候補者は、引き続き管理運営業務を行うことで、居住者に混乱を生じることなく、安定したサービスの提供ができると判断いたしました。
 今後とも、指定管理者の選定につきましては、指定管理者制度の趣旨を踏まえ適切に進めてまいります。


 以上でございます。

◎山口 道路整備部長 道路事業の見直しについてのご質問をいただきましたのでお答えいたします。
 先日の区民意識調査におきまして、区政の取り組みのうち、主要な生活道路の整備について約七五%の方からよい取り組みだと思うと評価をいただくなど、区民の皆様からは道路整備を着実に進めることが求められていると感じております。道路が避難路や延焼遮断といった役割に加え、さきの東日本大震災では、救出活動や救援物資の輸送においても大きな役割を果たしたことを、多くの区民の皆様が実際の情
報の中で、そのように感じられた結果ではないかと考えております。


 また、道路を整備し、バス路線の拡充による公共交通不便地域の解消や、歩きやすい歩道の整備を進めることは、高齢社会が進んでいく中、区民の皆様が安全かつ安心に暮らすための時代の要請でもあると考えております。
 しかしながら、一方では、区の財政状況は引き続き大変厳しい状況が予想されております。道路事業につきましても、基本的には防災面、そして人に優しいという視点から検討を加え、事業効果の高いものを優先的に整備する必要性があると考えております。


 今後とも区民生活の向上を目指し、道路事業の推進とあわせて適切な維持管理にも努力をしていきたいと考えております。
 以上でございます。

◎杉本 産業政策部長 プレミアム商品券につきましてご質問をいただきました。


 プレミアム商品券の発行は、地域経済の活性化や区民生活の支援を図るとともに、平成二十一年度から区の緊急総合経済対策の一環としまして実施しており、区は発行経費の一部を支援しております。本事業は、商品券を購入された方が、区内で期限内に消費されることにより、区内経済の循環が活発に行われることが期待されるものでございます。商品券を購入された方や、商品券が使用された店舗だけでなく、区内の消費需要を喚起することを目的とし、また地域経済の活性化に一定の効果を上げていくものと認識しております。
 また、販売につきましては、七十五歳以上の高齢者を対象にした予約受け付けの実施や販売日を土曜日に変更するなど、区商店街振興組合連合会では、さまざまな工夫を行いながら販売していると聞いております。

 平成二十年に発生しましたリーマンショック以降、東日本大震災による影響もあり、区内の景気の状況はいまだ厳しい状況が続いておることから、今般、追加の発行支援のため補正予算案に必要経費を計上しているところでございます。今後の継続につきましては、これからの景気の動向を十分注視するとともに、区議会のご意見などを踏まえながら検討してまいります。
 以上です。

◎堀川 地域福祉部長 二次避難所空白地域について、介護つき有料老人ホームと協定を結んではどうかとのご質問にお答えいたします。
 区におきましては、現在、学校三カ所、障害者施設二十一カ所、高齢者施設二十一カ所、合わせて四十五カ所の施設と二次避難所協定を結んでおりますが、さらにより多くの施設において二次避難所が開設できるように準備しておくことが必要と認識しているところでございます。


 ご提案いただきました介護つき有料老人ホームにつきましては、区といたしましても地域の資源ととらえ、区との連携協力や地域貢献をお願いしているところでありますが、事業者との意見交換等の際には、災害時の協力の意向をお持ちの事業者もいらっしゃいます。こうしたことから、介護つき有料老人ホームにつきましても、災害時の協力について事業者との協議を進め、二次避難所協定の締結も視野に入れて検討しまして、災害時要援護者支援の環境整備に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

◎齋藤 環境総合対策室長 私からは、再生可能エネルギーに関しましてお答えいたします。


 まず太陽光以外の研究についてでございますが、再生可能エネルギーには、太陽光のほか、風力、中小水力、地熱、バイオマスなどがあり、その活用方法につきましては国や大学、企業によって研究が進められているところです。現在のところ、区といたしましては、CO2の排出抑制につながる太陽光発電システムを普及するため、区民向けの補助を行っております。
 また、現在策定中の世田谷区地域温暖化対策地域推進計画の中におきましても、太陽光を中心として、再生可能エネルギーの導入促進を重要な施策に位置づけております。今後の計画策定の中で、区民、区議会を初めパブリックコメントや環境審議会など幅広いご意見をいただきながら、世田谷区にふさわしいエネルギーの利用につきまして検討してまいります。
 続きまして、梅ヶ丘に蓄電、充電の可能なエコタウン、スマートタウンをつくれないかというお尋ねでございます。


 現在、国では省エネ技術を結集いたしました環境配慮型の都市、いわゆるスマートシティーの構築に取り組んでおり、例えば神奈川県藤沢市や千葉県柏市での実証実験が始められると聞いております。スマートシティーへ至る第一歩といたしましては、今回の節電を契機とした電力使用状況の見える化が重要だと考えております。世田谷区の望ましいあり方を探るため、再生可能エネルギーに関する推進PTを設けまして、その中で関連情報の収集について努め、検討してまいります。
 なお、梅ヶ丘病院跡地につきましては、現在、担当所管で取得する方向で検討していると聞いております。
 いずれにいたしましても、区施設におきます非常時の電源確保につきましては、重要な課題であると認識しておりますので、今後の検討とさせていただきたいと思います。
 以上です。

◎藤野 保健福祉部長 障害福祉サービスの確保について、四点ご質問いただきました。順次ご答弁申し上げます。
 初めに、重度障害者のホームヘルプサービスでございます。
 区は、この間の区議会におけるご議論も踏まえ、個々の介助の状況やご本人の障害や生活実態などを把握した上、認定審査会からのご意見も伺い、月五百二十七時間、一日当たり十七時間を超える支給決定を四名の方に対して行ったところでございます。今後も区分六で月五百二十七時間のホームヘルパー派遣サービスを利用されている方を対象に、ご本人の障害や生活実態等に応じた支給決定をしていく予定でございます。
 区といたしましては、自立支援法にかわる新法の法制化の状況等、国の動向を注視しながら、重度障害者の方が二十四時間地域で安心した生活を継続できるよう、さまざまな地域資源の活用等、総合的支援をしてまいりたいと考えております。


 次に、福祉移動サービスでございます。


 区は、福祉移動サービス利用者の利便性とサービスの質の向上を一体的に図るため、平成十九年度に福祉移動支援センターそとでるを開設し、現在NPO法人ハンディキャブを走らせる会が運営しております。センターでは区の支援のもと、サービスの利用相談、配車、運転手の研修等を行っております。
 事業開始から四年半が経過し、介護タクシー三十九事業者及びNPO法人八事業者にご参加いただき、登録者も千百人を超えるなど、福祉移動サービスの拠点機能を果たしていると認識しております。災害時の対応等につきましては、事業者との連絡会の場などで検討していきたいと考えております。
 続いてグループホームでございます。
 障害者が住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、第二期障害福祉計画に基づき、計画的な整備を進めております。区では、より質の高いサービスが提供できるよう、二十三年三月に障害者グループホームの整備、運営に関する基本的な考え方や助成策を示した、障害者グループホーム・ケアホーム整備・運営の手引を作成いたしました。現在、主に身体障害者、知的障害者を対象としたグループホームの整備、運営事業者を公募中であり、事業者から聴覚障害者グループホーム開設の応募があれば審査していくこととなります。
 第三期障害福祉計画素案にもお示ししているとおり、障害者が地域で安心して暮らせるよう、障害者の多様な住まいを主要テーマの一つとして位置づけ、障害の種別にかかわらず、重度であっても対応できるケアホームの充実に取り組んでまいります。


 最後に、ひかりについてでございます。


 ひかりはNPO法人わんぱくクラブ育成会が主に障害者施設に通う成人の知的障害者を対象に、平日の夕方や土曜日に交流、音楽活動、調理、外出等の活動を行っております。同一日に複数の施設利用ができないこと、事業所機能が基準を満たしていないことなどから、障害者自立支援法が適用できないため、区では平成二十年度より区単独事業として、施設借り上げ費の補助を開始したところでございます。区といたしましては、障害者の地域生活を豊かにする活動の一つとして、今後とも支援をしてまいります。
 以上でございます。

◎西田 世田谷保健所長 がん対策の推進ということで、がん検診の受診率向上及び喫煙対策についてお答えいたします。
 区は本年三月、世田谷区がん対策検討委員会を設置し、総合的ながん対策について検討を開始したところでございます。あわせて今月取りまとめました「健康せたがやプラン」第二次の素案におきましては、四つの重点施策の一つとして、新たにがん対策の推進を掲げております。
 お話のありました胃がん検診の状況です
が、四月から現在までの受診者総数は、昨年と比べ二割強の減少となっております。これは議員ご指摘のように、被曝の心配から受診を控えた方もあるのではないかと推測しておりますが、次第に回復する傾向にあります。


 今後とも、がんの早期発見には検診が有効であること、エックス線の被曝量は健康に影響を与えるレベルでないことなど、検診のメリット、デメリットなど正確な知識の区民周知に努めてまいります。あわせて、商店街への働きかけなど受診率向上を図ってまいりたいと考えております。
 また、喫煙対策につきましては、がん対策を進める上で大変重要な取り組みになると認識しております。区としては、がんの一次予防として受動喫煙防止協力店の登録促進など、喫煙対策を初めとして適度な運動、バランスのとれた栄養、十分な心身の休養を取り入れた生活習慣の大切さについて、普及啓発を推進してまいりたいと考えております。


 以上でございます。

中塚さちよ  議員) それぞれご答弁いただきましたが、再質問については二点に絞っていきたいと思います。
 まず外郭団体なんですけれども、世田谷サービス公社については、委託料を一割減額したということですけれども、まだ世田谷区の庁舎がお金がなくて建てかえをしないでいる中で、新社屋を建てかえるというぐらいの資産があるわけですから、最初の段階でここを区が出資をしていると思うんですけれども、今余っているお金というのを区に返していただくということは可能なのかということを、仕組み的にどうなのかご答弁をいただきたいと思います。
 それから、あとトラストまちづくりの件なんですけれども、これは福祉の関係もあって、区の施策と一体化した管理が必要ということが、特別な事由で選定をしているということで、それが適切だというご認識なのかと思うんですけれども、一方で公益財団法人に移行するに当たって、そのあたりで時間がかかっているというのは、ほかの財団法人が皆移行できているということですから、やはりどうなのかなと思うんですね。
 前に、平成二十年の九月の定例会で、この指定管理者についても質問した後に、十一月に上北沢一丁目アパートの四十七戸というのを、区は実は公募をしています。本当にこれが特別な事由でどうしても区の施策と一体化して指定管理を適格性審査でやらなくてはいけないのであれば、どうしてこの平成二十年十一月の上北沢一丁目アパート四十七戸というのを公募したのか、やっていることが矛盾しているんじゃないかと思うんですけれども、このあたりのご答弁をお願いできますでしょうか。

◎宮崎 政策経営部長 サービス公社の基金の関係で再質問いただきました。
 新社屋の関係につきましては、これを例えば区のほうで返してくださいといって返せるというものではないと思います。やはりサービス公社は別法人でありますので、そこでの決定が必要になると思います。
 ただ、これにつきましては、サービス公社のほうも、今改善のいわゆる計画をつくっている最中でございまして、それらについて区のほうと真摯に向き合っていただきまして、さまざまな工夫策等を含めまして、今検討している最中でございますので、それらについてしかるべき段階でご報告できるものと思っております。
 以上でございます。

◎中杉 都市整備部長 上北沢一丁目のアパートの移管の件ですけれども、これは都のほうから区に新たに移管された住宅ということで、先ほどおっしゃいましたように四十七戸というちょっと小さな規模のものでございまして、当時公募しました結果、トラまちのみが応募したというような結果もございます。新たに今移管されたアパートを公募したということでございます。
 以上でございます。

◆十六番( 中塚さちよ  議員) 新たに移管されたものだから、ここは、じゃ、福祉の問題で区と一体化してやる必要がないという判断になるのか、ちょっと理解ができない状況ですが、今後また議論していきたいと思います。
 あと要望になりますが、障害者、重度障害のホームヘルプなんですけれども、十七時間を超える支給をしているということですが、在宅で人工呼吸器を使って療養しているということは、息が、皆さん何分とまって生きているかということもわかっているかと思いますが、二十四時間本当にいないと、実際、ちょっと目を離したときに呼吸器の管が外れるということは現場でも多々あることなので、ぜひこれは二十四時間に向けて今すぐにでも改善していただきたいということを要望いたします。


 では、続きはまた決算特別委員会でやっていきたいと思います。