雅紀の成人式が終わると次はオレの誕生日だ。
とはいえ、いつものようにオレは雅紀に抱かれて朝を迎えた。
「しょおーちゃん」
「んぅ」
「しょーーおーーちゃん」
「な、に…」
「んふふ。今朝も声がカッスカスだね♡」
「誰のせいだよ…」
「俺ー!俺がおいしくいただいちゃいましたあ♡」
「ばかぁ」
「だって翔ちゃんの誕生日じゃん?めいいっぱいの愛と精を翔ちゃんにあげたよ?」
「知っとるわ…ああ、腹痛てぇ…お前、昨日は掻き出してくんなかったの?」
「ごめん。俺もあの後寝落ちしちゃって…風呂いこ?」
「ん…。自分でシてくる…」
ヨロヨロと立ち上がろうとしたけど、やべぇ。
マジで足腰が使い物になんねぇ。
オレ、どれだけ愛されてたんだ??
半分寝ていた頭を起こそうとふるふるとして目を開けると、部屋の惨劇に愕然とした。
ベッド周りに散らかった服。
そしてティッシュとゴムの山。
青臭い匂い。
ぐちゃぐちゃのシーツは足元に丸められ、なんなら枕も枕カバーも驚くほど遠くへ飛んでいってる。
birthdayイブだよって雅紀が作ってくれたご飯を食べてビールをしこたま飲んでいい感じにほわほわしたところまでは記憶にあるんだけど、まさかここまでとんでもねぇことになってるとは。
たまたま今日が休診日で良かったよ。
つか、ぼんやりこの惨劇を眺めてる場合じゃねぇわ。とにかく腹の中の雅紀の精を掻き出さねぇと…。
ヨロヨロとベッドに手を付きながらようやく立ち上がると、フワリと雅紀に持ち上げられた。
「へ?」
「んふふふー。これが本当の俺からの誕生日プレゼントだよ、翔…」
オレの目の前にある雅紀の笑顔が涙で見えなくなった。
雅紀の首に腕を回してその顔を懸命に見ようとするオレの頬を伝う涙を雅紀の唇が吸い取ってくれた。
そして。
そして。
そして…。
ああ…。
夢みたいだ……。
オレを抱き上げたまま、雅紀がゆっくりと歩き出したんだ…。