「は!?」
「いや、だってさ。俺、初めて付き合ったのって翔ちゃんなんだよ」
「…うん、それは…ありがと」
「俺の初めては全部翔ちゃんなんだよ」
「…////」
「だからさ、そういうとこって行ったことないのよ」
うん。
そうだよな。
分かるよ。
中学生になった雅紀はオレとの過去のことを思い出してただひたすらオレが雅紀とのことを思い出すまで待っていてくれたんだ。
何もかもがオレが初めてってことは知ってた…。
「だからさ、一度でいいからラブホって行ってみてぇ…ダメ…かな?昨日はラブホはダメだってなったけどさ、やっぱ行ってみてぇのよ…お願い!」
「ばぁーか。オレがお前にダメだっつったことねぇだろ」
くすっと笑って雅紀のサラサラの髪の毛に指を滑らせながら頭を抱き寄せた。
「その代わり…ちゃんと抱けよ?」
「んっ」
「オレ、しつこいぞ?」
「くふふふ」
オレの腕の中でふわふわと笑う雅紀にキスをした。
それはそれはねちっこいキスをした。
大きく口を開けてはお互いの口ごと飲み込んでしまうような熱いキスを交わした。
窓の外から見られてもかまわねぇ。
むしろ見せつけるように求め合うキスを繰り返してた。
・
・
・
ラブホはありきたりの手続きだ。
駐車場からそのまま部屋へチェックインだ。
機械が相手だから同性カップルであろうとなんであろうと誰も何も気にしない。
部屋に入ると悪趣味だなぁと思うくらいギラギラとした異様な空間だ。
そしてソンナコトをするためだけに入ってくる客のためにありとあらゆる設備が整っている。
ごくり。
隣で雅紀の生唾を飲む音が聞こえた。
…スイッチ…入ったな…コイツ…