車の中でめっちゃねちっこいキスをした。
やべぇ。
このままどこかへ入らないとオレも雅紀も限界が近い。
だけどとりあえず冷静になってレンタカー屋に連絡を入れた。
急遽で申し訳ないんだけれども契約延長が出来ないかと。
『その車種の次の予約は入っておりませんので延長は構いませんが…いつになさいますか』
「あ…えっと…ごめんなさい。2日後に返却というのは?」
『お待ちください…あ、大丈夫です。当店にご返却頂けますか?』
「はい。お借りしたそちらへ返却します」
『では明後日の夕方19時ということでよろしいですね?』
「はい。すみませんがよろしくお願いします」
オレとレンタカー屋のやり取りを助手席で聞いていた雅紀がキョトンとした。
車の返却は明日ではないのかと。
いやいや、別に明日でもいいけどさ、また気分が変わったら何度も電話するのが申し訳ないだろって言うと、それはそれは嬉しそうに幸せそうにくふふふふーーーって雅紀が笑った。
そんな顔すんなよ。
もっともっとと甘やかしたくなるだろ。
ばああああーーか!!
むっちゅううううーーーー!!!
ってタコみたいな唇で子どもみたいなキスをしてからエンジンをかけた。
「さて、行きますよ?」
「はーい!」
勝浦タンタンメンの店の駐車場を出て、なんとなく気分が向いた方へ車を走らせた。
やっぱり千葉まで来てるんだから外房の方がいいよな。
でもあいにく世の中はお盆休みで行く先行く先のホテルのフロントで部屋が空いていないか聞いて回ったけどなかなか空きがない。
でもチープなラブホみたいなところは避けたい。
だって初めての2人きりの旅行だもんな。
途中でふと思い立って2人分の下着を買った。
ついでに今日を含めてあと2泊を視野に入れてるから着替えも。
さすがに「いや、安いのでいい」って雅紀は遠慮気味だったからそこは甘えさせてもらったけども。
はっ!?そうだ!!
海がダメなら山側へ行くか。
思いついたオレはハンドルをきり、養老渓谷方面へ車を走らせた。
養老渓谷は外房と内房のほぼ真ん中であり、そもそも房総半島の中央に位置する。
海の次は山を楽しめばいい!!
「すげぇー。めっちゃ綺麗じゃん」
「すげぇー!!!」
窓から見える景色にオレも雅紀も思わず声を上げた。
そしてここでも数件のホテルや旅館で問い合わせをした結果、奇跡的に1部屋空いているホテルにチェックインできた。
「翔ちゃん、ワガママ聞いてくれて…叶えてくれてありがとう」
「何言ってんだ。こんなのワガママじゃねぇよ。もっとオレを困らせてみろ…な?」
ソファーに座ったオレの肩を抱き寄せながら雅紀がそんな事を言うから、オレは迷わず押し倒しながら唇を奪った。
困らせてみせろよ、雅紀。
もっと困らせてみろ。
オレはなんだって叶えてみせるから。