アクアラインを渡り、館山で海の幸を堪能した。
「ほら、翔ちゃんの好きな貝だよ♡」
「うあああ♡うまそーーー!!」
「はい、あーーん」
「あーーーーーーーーー♡」
「おっきなお口だねぇ」
「んっまーーーー!!!!」
「兄ちゃんたちは仲良しだねぇ」
「仲良しっすか?」
「ふはは。そう見えます?」
「いいねぇ。松葉杖の若いカレシ、その可愛い兄ちゃんのことを守ってやんなよ!」
「はーい!」
「まさきまさき、まだ食いたい♡」
若干酒を飲んでいるであろうおじちゃんにからまれつつも、おじちゃんが言ってることは半分スルーして目の前の網の上で焼かれ続けている魚介たちにオレの目は釘付けだ。
魚介類を堪能してからはゆっくりと海岸線を走りー風景を楽しんだ。
「すげぇ夕焼けだなぁ」
「な。すげぇーよなぁ」
「絵葉書みてぇー」
「うんうん、絵葉書みたい!」
はるか遠くに見える水平線は緩やかな弧を描き、地球は丸いんだなと改めて思う。
そしてこの大きな地球の上にいるオレたちはすごく小さな存在に思える。
小さな存在であるオレたちの悩みや苦労なんて地球規模からしたらとんでもなくちっぽけに思える。
思えるけど、ちっぽけだからといって雑に扱う訳にはいかない。
昨日を積み重ねて今日がある。
今日を積み重ねて明日がある。
明日を積み重ねて未来がある。
だからオレは今を生きる。
昨日に笑われないように。
明日、もっと笑えるように。
「雅紀。一緒に生きていこうな、これからもずっと」
「ああ」
「約束だぞ」
「ああ」
「毎日を一緒に重ねていこうな」
「ずっとずっと一緒にいよう……」
オレたちはどちらかともなく近づき、そっと唇を重ねた。