キミちゃんに言われて風間くんと会ってくると雅紀から連絡が入った。
ということは晩飯はコンビニで買って帰るか。
今朝はお母さんにタクシーで送って貰ってたから帰りの足がない。
ぅーん。どうすっかなぁなんて思いながら斗真に声をかけるといともアッサリ近くのコンビニまで送って貰えた。
ラッキー。
じゃあなって斗真と別れてからコンビニでお気に入りのキムチとビールとなにやらの弁当をカゴに放り込んで会計を済ませた。
雅紀と暮らすようになってから1人での晩飯はちょっと寂しいな。
雅紀と出会ってから彼にもらったものを眺めながら食事を進めた。
黄色い花に見立てた折り紙が入っている小瓶。
雅紀が書いてくれた婚姻届。
自分の指に嵌めている指輪。
出会った頃は雅紀との過去の記憶が無かったオレに雅紀は過去のことを少しずつ教えてくれていたんだな。
あの頃は雅紀さんが一回り年上だった。
そして今はオレが一回り年上だ。
これもひとつの縁なんだろうな。
雅紀は今頃はキミちゃんと風間くんと会っているだろう。
風間くんにはめっちゃ怒られてるんだろうな。
ふはははは。
帰ってきたらそんな話を聞いてやろう。
ふぁああぁああぁ...。
やべ。
眠くなってきたわ。
帰ってくるまで起きて待ってようと思ってたけど、少し横になるか。
それともソファーで.......。
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「ただいまー。...あれ?寝ちゃってるの?もう。お姫様抱っこしてベッドに連れていってあげられねぇんだっつーの」
「んあ...まさ...おかえ...り...」
「翔ちゃん、ここで待っててくれたの?先にベッドに入ってて良かったのに...」
「んー」
「ほら、起きて」
「やだーねむいー」
「こらこら。連れて行ってあげられねぇっつってゆだろ?自分で歩いてよ」
「んー」
分かってる。
事故に遭う前の雅紀ならひょいと姫抱きにしてベッドに放り投げてくれることも、今ではそれが出来ないことも分かってる。
でも...
ぐいっ
ソファーから手を伸ばして雅紀を強く引き寄せたオレは車椅子からバランスを崩してオレの上に落ちてきた雅紀をしっかり抱きしめた。
「ごめん!重いだろ?」
「んー。こーしてて...」
雅紀の重みを体で受け止める幸せを噛み締めてた。