診療所からそのまま華と陽縁、縁翔の病院へ向かった。
ハンドルを握りながらも鼻歌が止まらないし、ふと目線をバックミラーに向けるとニヤニヤを隠せない自分がいてちょっと笑えた。
ナースステーションで挨拶をして病室へ行くとすでに荷物をまとめ終えた華がベッドに座って足をぷらぷらさせて俺を待っていた。
「潤。おかえり」
「ただいま、華」
なんなんだ。その足をぷらぷらさせるとか。
結婚して半年以上経つのに可愛すぎるだろ。
俺をどうしようってんだ。
この仕草は翔も華も全く同じでちょっと面白い。
そんな華に吸い寄せられるようにしてベッドに向かった俺は華の顎に指を添えてねちっこいキスをした。
初めのうちは抵抗していた華だけど、すぐにふにゃふにゃになって俺の首に腕を回して甘えながらキスのオネダリを始めた。
自分から仕掛けたこととはいえ、ブレーキが効かなくなって危ないな、これは。
ちゅぱって音を立てて唇を離すと黒目の大きな瞳を潤ませた華がいるし。
帰ったら徹底的に甘やかしてやる。
...っていっても産後2週間の華を抱くのなんてありえないから腕の中にしまい込むだけだけどな。
「帰ろっか」
「うん」
「帰る前に陽縁と縁翔の顔見ていこ」
「うん」
NICUのガラス窓から保育器に入っている陽縁と縁翔を見た。
可愛いな。
ちゃんと生きようとしてるんだよな。
生きる力に満ち溢れた2人の姿を見る度に泣きそうになる。
この子たちのために。
華のために。
強くなろう。
強くありたい。
トンと俺の体に寄り添う華の肩を抱きながら陽縁と縁翔に毎日会いに来るよと心の中で伝えた。
あと数週間で2人を家に迎える。
賑やかになるだろうし、忙しくなるだろう。
俺のお袋や華のお袋さんに手伝ってもらうことは多くあるだろう。
「みんなの力を借りながら2人を育て上げていこうな」
「うん」
陽縁と縁翔を病院に残していくことを寂しがる華の手をしっかり握ってからナースステーションで挨拶をして車に乗り込んだ。
「ただいまーーー!あー、やっぱり自分の家って落ち着くわーー!」
「だよな?2週間も入院してたもんな?」
「そのわりにはめっちゃ綺麗にしてるじゃない」
「馬鹿言え、昨日慌てて掃除したんだぞ」
ケラケラ笑う華を玄関でひょいと姫抱きしながらそんなことを言いつつソファーに座らせた。
「おかえり、華」
「ただいま、潤」
おでこをコツンとしながら言うと、不意打ちに照れた華が「ひああああ////」って変な声を出した。
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明日05/26の12時に短編をアップします。
毎年恒例のひろちゃんのお宅の櫻の木(翔ちゃんの木)で素敵な画を送ってくれたのでそのコラボ的なお話です。どうぞお楽しみに🌸🌿