Sounds of joy322 | 愛すべき櫻葉の世界

愛すべき櫻葉の世界

甘々櫻葉と翔ちゃんへの愛を甘くおしゃべりしてます♡



「松本さん。赤ちゃんに会いに行きましょうか」

「はい!!」

病室に朝食を下げに来た看護師さんに声をかけられた私は飛び跳ねる勢いで返事をした。


「そんなに慌てたらダメよ?興奮しすぎて傷口が開いたら退院が遅れるわよ(笑)」

「すみません。でも嬉しくてたまらなくて」


「そうよね。そうは言っても私も自分が産んだ子を初めて抱いた時の感情を思い出すだけで飛び跳ねたくなるもの」

「そうなんですか?」


「そうよ?この手に触れた瞬間のことは一生忘れられないわよ。松本さんも絶対に…ね!」

「ふふ。楽しみです」


看護師さんとお喋りをしながら手伝ってもらい車椅子に座ると、新生児集中治療室(NICU)へ連れて行ってもらった。

そして手指の消毒をしてマスクをしてガウンを着て。



「ほら、見える?」

「小さい……でも生きてる……産まれてくれてありがとうね……これからよろしくね……」

保育器の中の陽縁と縁翔に声をかけた。

眉のしっかりして意志の強そうな所が潤にそっくりな兄の陽縁。ちょっと眉が細くて柔らかな表情で私と翔に似ている弟の縁翔。


小さな小さな私の王子様。


こうして会えるだなんて幸せ。


「触ってあげてください。まだ抱っこするにはもう少し大きくなってからになってしまうけど、ここから手を入れてお母さんの温もりを分けてあげてね」

「はい」



保育器の中にそっと手を入れた。

小さな小さな指に触れると、陽縁も縁翔も私の指をキュってしてくれたような気がした。



涙が止まらない。

そうか。

母親になるってこういうことなんだ。

この小さくて大きな命を守り抜くってことなんだ。

守り抜いて育てていくことなんだ。

潤と2人で。

パパやママの力を借りながら。

お義父さんとお義母さんに支えてもらいながら。

何よりこの子達の存在に支えてもらいながら親になるんだ。


ママが「子どもが親を育ててくれる」って言っていたのを思い出した。

親は子どもがいないと親になれない。

そして子どもは親の愛を受けないと成長できない。



強くなるよ。

ママは強くなるよ。

大好きなあなた達のパパと一緒に強くなるよ。

だから力を貸してね。

お願いね。


ポロポロと涙を零しながら保育器の中の2人の温もりを感じていた。


潤。

ねぇ、潤。

この子達がもう少し大きくなったら一緒に抱っこしよう。

ね。