Sounds of joy250 | 愛すべき櫻葉の世界

愛すべき櫻葉の世界

甘々櫻葉と翔ちゃんへの愛を甘くおしゃべりしてます♡



出ていってくれ。

俺の言葉に父ちゃんも翔ちゃんも反論しようとしていたけど、母ちゃんの怒鳴り声に2人は黙り、そして出ていった。


翔ちゃんは泣き出しそうな顔をしながら何度も俺を振り返っていたけど、俺だって泣きたいんだ。

そんな翔ちゃんの顔を見ていることすら辛かった。


そして俺が床に落とした枕を母ちゃんが拾ってくれ、そのまま母ちゃんも部屋を出ていった。


足が動かないかもしれないってなんだよ。

これから大学に通って獣医学を学んで、獣医師になって翔ちゃんと肩を並べるはずだったのに。

なんでこんなことになってるんだよ。

俺の足を返せ!!!


「...くっ...ふっ、ううう...ひっ、うっ...」

涙が止まらない。

嗚咽を我慢することなんて出来ない。

起き上がって自分の足を叩きたい。

叩いてその感触を確かめたい。

だけど今は起き上がることすら出来ない。


遠い遠い昔の翔ちゃんもこんな気持ちだったんだよな。

俺と同じだったのかな。


くっそ!!!


「うあ、ああああっ...っ!あああああっ!!」


ただただベッドに横になりながら涙を流すことしか出来なかった。

明日からどうすればいい。

大学は。

仕事は。

俺と翔ちゃんの未来は。


分かんねぇ。

何もかも分かんねぇ。


誰か教えてよ。

誰か...。

誰か...。


しょ、ちゃ...ん。



「しょ、ちゃ...しょ...ぅ...うぅっえっ...」



出ていってくれと言っておきながら俺は翔ちゃんの名前を呼び続けた。










そしていつの間にか泣き疲れて眠っていたみたいだ。





ん?


手があったかい。

この温もりは...。

この温もりをくれる人は世界にたった1人しかいない...。



ゆっくを目を開けると、オレの手をしっかり握ったままベッドに伏せて眠るたった1人の愛しい人がそこにいた。






いつからそこにいたんだよ。



翔ちゃんの頬には涙の跡が残っていた。

その涙の跡に気づいた瞬間、また俺の目からボロボロと涙が溢れ出した。