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診療所の電話がうるさいくらい鳴り響いた。
夕方の診療を終えてやっと電子カルテ整理も落ち着いてきた頃に電話が鳴り響いたんだ。
「誰か出られる?」
「翔、ここは俺が対応するから。相葉くんの受験が終わったんだろ?早くカルテ整理を終わらせて一刻も早く行ってやれ」
オレの問いかけに対して智くんもニノも手が離せないというリアクションをしていた中、斗真が電話対応をしてくれた。
オレは斗真の気遣いを嬉しく思いながらパソコンに目を落とした。
「え?はい、はい...。ええ、大丈夫です...はい。分かりました。今すぐに行きます。いえ、私が彼を送りますから。はい、はい...」
なんだか深刻そうな声で斗真が話してる。
急患かと思って白衣を持って立ち上がると、斗真がオレの肩をガッシリ掴んだ。
そして電話を切ると早口で告げた。
「相葉くんが事故に巻き込まれた。今すぐ車に乗れ。相葉総合病院に送る」
「...は?」
「電話は相葉院長からだった。今すぐお前に来て欲しいって。アイツのそばにいてやって欲しいって。命は大丈夫だ。だから安心しろ」
「...なに、言って...ん、の?」
手が震える。
足がガクガクする。
自分の体温が急降下するのが分かる。
「翔ちゃん。何か分かったら連絡して」
「翔やん、落ち着くまで診療所は大丈夫だから」
「行くぞ、翔。歩けるか?」
「ああ...だい、じょ、ぶ」
嘘。
大丈夫なんかじゃなかった。
大声をあげて叫び出したくなるのを必死に押さえていた。
だってそうだろ。
受験が終わってさ、ここに来るって言ってたじゃん。
オレがあげた白衣を着て聴診器を持って大学に通うんだろ。
事故ってなんなんだよ。
何があったんだよ。
斗真に肩を支えられながらどうにか斗真の車に乗った。
そして車のラジオをつけると電車の事故の報道が流れていた。
踏切で立ち往生していたトラックに電車が突っ込んだらしい。
トラックの運転手も電車の乗客にも死者はいなかったけど、怪我人多数とのことだった。
そして相葉総合病院をはじめ近隣の病院に次々と怪我人が運び込まれている。
病院に運び込まれた雅紀を見てお父さんは処置を終え、診療所へ一報を入れてくれていたんだ。
麻酔から覚めて朦朧としながらもオレの名前を呼び続ける雅紀のために、オレを呼んでくれたんだ。
雅紀。
雅紀。
雅紀。
今行くから。
待ってろ...!!