潤と姉ちゃんが結婚の報告に来てから1ヶ月後。
「パパ、ママ。翔。ありがとう」
「華、綺麗よ」
「うんうん。潤に幸せにしてもらえ」
「姉ちゃん、潤。おめでとう」
教会で支度を終えた姉ちゃんが親族の控え室に顔を出した。
「みゃあ🎶」
姉ちゃんのドレスの足元にMJが擦り寄った。
「ごめんね。MJ。新しい家に連れて行けなくて。私の代わりにパパとママをよろしくね」
「みあ🎶」
仕事を辞めないまま潤と暮らすことになった姉ちゃんはMJを実家に置いていくことを決めた。
誰もいなくなったらお袋も親父も寂しがるだろうって姉ちゃんは笑ってた。
確かにそうかもしんないな。
「姉ちゃん…」
「なに?」
「ん。なんでもねぇ。潤と幸せにな」
「ありがとね」
静かに式が執り行われた。
姉ちゃんと腕を組みながらバージンロードを歩く親父はボロボロ泣いてた。
自分の腕に絡められた姉ちゃんの手を潤へ届ける時に親父は潤の腕をバシバシ叩いてた。
泣きながら笑ってた。
その仕草を見た瞬間、潤の目からも姉ちゃんの目からも涙が零れた。
もちろん参列している智くんやオレたちの目からも涙が零れた。
ニノなんて嗚咽をもらしてたし、斗真もしゃくりあげて泣いてた。
披露宴も笑顔と涙があふれるあたたかな空間だった。
姉ちゃん。
姉ちゃん。
幸せになれ。
潤と2人で。
赤ちゃんも一緒に3人で。
幸せになってくれ。
「パパ、ママ。今まで育ててくれてありがとう。翔と一緒に産まれてくることができて幸せでした。次も産まれかわったらまたパパとママの所に来ます。もちろん翔と一緒に。飽きたなんて言わないでね。一緒にいてね。約束してね」
姉ちゃんから親父とお袋にあてた手紙が読まれると、親父の涙腺はこれでもかといわんばかりに決壊したんだ。
姉ちゃん。
オレこそありがとうだよ。
また次もその次も何度でも櫻井家の子どもとして一緒に産まれてこような。
約束だ。
『それでは花嫁様からのブーケトスです』
披露宴に参列した出席者に背中を向けた姉ちゃんがブーケを投げた。
ぽすん。
「やっぱりな。次はお前だよ。翔」
「潤…いいのか?」
「ばーか。いいに決まってんだろ?な?華?」
「ええ。もちろんよ」
潤は恐ろしくスマートなウインクをくれ、姉ちゃんは名前の通りに花がほころんだように笑った。
姉ちゃんと潤から受け継いだこのブーケ。
いつか。
きっと。
今は隣にいない雅紀とこれを持って歩ける日が来るといいな。
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華ちゃんの花嫁姿の素敵な画はひろちゃんが贈ってくれたものです。
あたたかくて柔らかくて素敵な画。
心を込めて描いてくれています。
なのでスクショしたり画像保存はしないでくださいね。
ひろちゃん。いつもお話に寄り添った画をありがとう。