『チャイコフスキーの妻』
先日、これから観たい映画として本作『チャイコフスキーの妻』を取り上げ、確か「面白いに違いない」と書いたような気がするのだが、初日の今日、シネリーブル神戸で観ている間、面白いというよりもしんどかった…というのが正直なところだった
ただ、凄い(オソロシイ)映画であるのは確かで、
世紀の悪妻と呼ばれた彼女が実際のところどうだったのかとか、一般的には「くるみ割り人形」や「白鳥の湖」など夢に満ちたバレエ音楽で知られるチャイコフスキーが実際のところどうだったのか…など気になる人は、興味深く観ることができると思う。
女性の権利が著しく制限されていた19世紀後半の帝政ロシア。ロシアの天才作曲家ピョートル・チャイコフスキーにはかねてから同性愛者だという噂が絶えなかった。ある時、恋文で熱烈に求愛する地方貴族の娘アントニーナに押され、世間体など色々考えて結婚するのだが、すぐに別居することになり、チャイコフスキーを諦めることができないアントニーナの精神は徐々に壊れていく…
冒頭ではただの可愛い子ちゃんなのだけれど、どっこい、何だか変だぞということに気がつく。チャイコフスキーはもともと女に興味がないものだから、うっかり捕まってしまう。
何か1つのことに集中すると方向を変えられなくなり、ずっとそのことばかりに執着する傾向は、精神を病みやすい。
最初は可愛い子ちゃんだったのに、だんだんボロボロになっていく。
自分が音楽を極められなかった分、天才作曲家の妻である自分を失いたくはない。一方、1人の女としての欲望も捨てられない。
周囲を取り巻く裸の男たち、男たち、男たち…(やたらと登場する)
彼女にもっと客観性があれば、つらいことだけれど、チャイコフスキーが自分の音楽と男のことしか頭にないことを受け入れるしかないとわかるだろう。
だが、恨み、呪詛の言葉を吐き、被害者となって堕ちていくことしかできない。
(一言では言い表せない狂気のような)一途な愛とは厄介なものだ…つくづく。
実際には、チャイコフスキーは3カ月ほどで結婚生活から逃げ出し、40年もアントニーナに会おうとしなかったらしい。彼女の最期は精神科病院の中だったという。
Tchaikovsky's Wife
監督:キリル・セレブレンニコフ
出演:アリョーナ・ミハイロワ、オーディン・ランド・ビロン、フィリップ・アヴデエフ、ユリア・アウグ…
2022年/ロシア・フランス・スイス/143分
予備知識なく観た直後に書いているので、また加筆修正しに戻って来るかも。
Bon Voyage★
本日のブック部@自由港書店など
本屋さんには通ってるけど、新しくなった水族館にはまだ行けていない。
自由港書店で手に入れたのは、下の写真の向かって左の2冊。『AM4:07』というZINEと、『猫の木のある庭』。
大濱普美子『猫の木のある庭』は、タイトルにもなったこの作品集の1作目に登場するのだけど、その怪奇ぶりにやられてしまって、2話目はエネルギーを補給してからでないと読み始められそうにない。
真ん中の吉田篤弘『神様のいる街』は風文庫で、右端の鴻上尚史『「空気」と「世間」』はDIY BOOKSで入手した。
小さくて個性的な本屋さんが幾つもあるから、他の本屋さんでも独自の色々な本と出会ってお持ち帰りすることになり、私の削ぎ落とされた小さな書架から溢れ出している。
喜びとしながら、対策も考えないと。
大好きなシフクノオトでランチをいただきながら、本を入れてもらった袋を解体して、ブックカバーをこしらえている。
チョコレートの香りの紅茶が味わい深い。
*
コクトー「くわぁっ」
闘病中のルナ氏の写真をGoogleが思い出させてくれる。
【公式サイトの追記あり】これから観たい映画
最近あまりにも映画館に行けてないのは、突き詰めると、どうしても観たくなるような映画がなかったからだと思う(環境の変化のせいもあるとは思うけれど)。
先日、『時々、私は考える』を観に行った時、劇場に設置されていた上映予定のチラシ類から、観たい作品だけを持ち帰って来た。
『チャイコフスキーの妻』は9/6(金)から、『画家ボナール ピエールとマルト』は10/4(金)からロードショー。
『チャイコフスキーの妻』は、一昨年くらい?に京都で特別上映があった際、ヤングシネフィルらが東京から駆けつけていたので、きっと面白いに違いない。
そして『画家ボナール』。
ボナール好きな私にとって、今まで知らなかったあんなことやこんなことを教えてもらえそうだ
こうして書くと、観に行けなかったりもするのだけれど、現時点でこれから観たい映画であるのは確かだし、いつか観るだろうと思っている。
Bon Voyage★
『DECORATOR CRAB IIKAWA TAKEHIRO』出版記念トーク飯川雄大×森本アリ
昨日は、台風接近の真っ只中、塩屋駅近の「海角」にある「舫書店」で開催された“『DECORATOR CRAB IIKAWA TAKEHIRO』出版記念トーク 飯川雄大×森本アリ”に、決死の覚悟で参加してきたのだった。
暗い帰り道が怖いので、ただでさえ夜の外出は控えていたのに、はずみで決めてしまったのだ。しかも台風の影響甚だしいタイミングで… ←笑い事ではない。
向かって左が飯川雄大さん(アーティスト)、右が森本アリさん(旧グッゲンハイム邸管理人)。
まずは、2015年に塩屋の市民公園で行った作品展示について語り始めた。
そして、六甲ミーツアートで展示した蛍光猫さんについて。
さらに、再び塩屋の公園で展示したピンクの倉庫(コストコで10万円だった倉庫を塗装)。
他にも、美術館の壁にカバンを吊るす試みや、アパートの窓が飛び出す仕掛け、壁を移動させて見る展示など、様々な作品を紹介していく。途中、アリさんとの絶妙な掛け合いが面白い。
ワイヤーをぐるぐる回す技術を活用して、塩屋の「シオヤコレクション」というリサイクルブティックの在庫を天井近くに吊るすアイデアも提供している。
東京でも展示の予定が色々あるらしい飯川さん。
元町でのこんな展示風景を発見。今日が最終日。
大活躍の飯川さんなのだった。
*
今日は、台風のせいか頭がフラフラする(いつもか)中、ZINEの営業に出かけた。
須磨海浜公園の自由港書店という素敵な本屋さんが置いてくれることになった。
嬉しい✨
…どうぞ安全な週末を…
Bon Voyage★
フィンランドの名匠 アキ・カウリスマキの世界(WOWOW)
8/25(日)から8/30(金)にかけて、WOWOWで「フィンランドの名匠 アキ・カウリスマキの世界」が放映されている。『枯れ葉』『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』『マッチ工場の少女』『コントラクト・キラー』『浮き雲』『過去のない男』の全6作品。
今夜は『マッチ工場の少女』。
それにしても、台風がゆっくりしていて、先日の南海トラフ注意報同様、潜在的なモヤモヤ感がつきまとう昨今、気晴らしは重要だ。
…にしても、猫の寝相には、気晴らしなんか無用のリラックスぶりが見て取れる。
早朝から大興奮で大暴れした挙げ句、玄関先でゴロゴロとくつろぐ様は、さながら猫の開きのようである
コクトー「むにゃむにゃゴロゴロ…」