『夜のたわむれ』@中原昌也への白紙委任状 | dramatique

『夜のたわむれ』@中原昌也への白紙委任状

自分で「中原昌也への白紙委任状」@アテネフランセ文化センターのことを推しておきながら、1日も行かなかったなんてシャレにならないよなあ…と思って、今回の中原さんイチオシという作品を観に行くことにした。

17時50分売り出しは時間的に無理だったので、えいやっと午後休にして駆けつけたら、例年通り階段沿いにうねうね行列が続いていたものの、一応落ち着く端っこの席を確保。



↑写真は閑散として見えるけど、ぐるりと上から下まで続いていて、中原人気を物語っている。



夜のたわむれ
Night Games / Nattlek

1966年|105分|35mm
監督:マイ・セッタリング

スウェーデンの女優、小説家、監督でもあるマイ・セッタリングが小説を執筆し、監督を務めた本作は、過去に取り憑かれながらもそれを振り払おうとする青年ヤンと、彼を支える婚約者のマリアナを中心に物語が展開する。イングマール・ベルイマン作品の常連だったイングリッド・チューリンが出演している。

スウェーデンの女性監督を代表する存在ながら、長らく観る機会を奪われ続けていた傑作。プリントでの上映は貴重で、今回もっとも期待の一本。(中原昌也)

プリント提供:国立映画アーカイブ



…で、観始めたら、とんでもない感じの映画で、しかも字幕が読み難くて、途中睡魔と闘いながらの鑑賞になってしまった。

とんでもない…というのは決して悪い意味ではなくて、主人公がエキセントリックな母親や屋敷にまつわる過去に囚われている状況のせいもあり、過去と現在が入り乱れ、脈絡のない支離滅裂な飛躍が多かったりする。

ただ、この作品だけが突出しているというより、当時の映画作家が好む傾向と言って差し支えないノスタルジーが漂っている…と言うこともできそうだ。

上映後ゲストトークは中原昌也 × ジム・オルークだったのだが、ジムは見る機会がほとんどなかったこの映画を、よくわからないながらも物凄くたくさん観るほど好きみたいで、やはりうつらうつら観ていたという中原さんは「どうしてそこまで?」と突っ込んでいた^^;

途中から好きな映画や嫌いな監督の話で盛り上がっていた。



中原さんがなぜこの作品に興味を持ったのかというと、ジョン・ウォーターズが取り上げていたから気になっていたからなのだそうだ。


ジム・オルークという人は、ある種の天才タイプなのだろう。話し方が天然すぎて、聞き取りながら話の内容についていくのが大変なのだけど、中原さんが自分のタッチで受けとめて対話を進めているのがナイスだった。


だから「いや、まあそれは…」と、ぼかしたりしないで、悪口スレスレの発言ももっとぶちかまして欲しかった(このご時世では難しいのだろうけどね)。


でも、中原さんに『ジョーカー』についての取材が来た時に、「安倍政権よりまし」と言ったら何も掲載されなかった、というエピソードは痛快だったな。




コクトー「帰りが遅いと思ったら、こんなところに寄り道してたんだね黒猫




ルナ氏「大目に見てあげなよ、コクトーネコ




これでも黒猫コクトーのことが心配で、かなり時間が遅くなってきたこともあり、残念ながら途中退場したのですよ。


「中原昌也への白紙委任状」は、今日土曜日が最終日。

気になる方はぜひ足をお運びください。

他では体験できない貴重なひとときを過ごせることでしょう。


Bon Voyage★