【超嵐】~大宮~EYES WITH DELIGHT | 大宮さんと一緒 。。。

大宮さんと一緒 。。。

大宮さんの妄想BL小説です。
色々、大丈夫な方のみお読み下さい。

にのちゃん大好き♡嵐さん大好き♡

大宮さんに癒されて、ドキドキして、毎日幸せ。

嵐のみなさんずーっと、幸せをありがとうございます!






「ちょっと待てって」

返事もせずに芝生の上を歩いてく和也を追いかける。
怒ってるわけじゃない。
きっとメロディーか歌詞が浮かんでるんだ。
だって口元がほころんでるから。

子犬みたいな口角の上がった口元は和也の特徴のひとつでもあるけど、機嫌が悪かったり、何かにに夢中になったりすると無意識に尖らせてる。

追いついて横に並ぶと、小さな声でメロディーを口ずさんでた。
ちょっと夢見てるみたいな不思議な眼差しは、きっと頭の中のメロディーと景色を見てるから。
指先がリズムを刻むように動いてる。


こんな和也を見るのは何度目だろう。
俺にとっては不本意な、あのGimmick Gameだって、こんな顔して口ずさんでたんだ。


春にしてはちょっと暖かすぎる気温。
早めの桜が満開で、ソメイヨシノとは違うその花びらが舞う。
ロケの合間とは言え、久しぶりの2人での散歩。
ふわりと吹いた風に乗って和也の匂いがした。

それが、いつかの夏の記憶を呼び覚ます。





あれはまだ俺も和也も今よりずっと若かった頃。
やっぱりなんかのロケの合間というか、機材トラブルでの待ち時間の時だった。

「一応、声の届く範囲にいてくださいね」

今はチーフになった俺たちのマネージャーも、その頃はまだ若くて、そんなに顔の売れてない俺たちは割りと自由にさせてもらってた。

その日も今日みたいな大きな公園でロケをしてて、カメラのトラブルで最悪別のカメラを用意するようなこと聞いたから、結構時間あるかもなって言って和也と二人ロケバスを降りた。

大きな木が沢山あって、葉の重なり合う場所は緑が濃く、その分影も濃くなって涼しさが増すような気がした。
木陰を2人でぶつかるようにくっつきながら歩いて、衣装で被ってたストローハットの頭の上からは煩いくらいの蝉時雨。
小さな声で和也が何かを口ずさんでるけど、それも聴こえにくいくらいだった。

何度目かにぶつかった時、手が触れたからぎゅっと握った。
和也は驚きもせず、俺の方をスっと見るとニコッと笑う。
それからその手を子どもみたいにブンブン振るから、俺も一緒になって振りながら歩いた。

時々聴こえてくる和也の声。
重なる蝉時雨。

何の曲か分からなかったけど、俺も思い浮かんだ曲を口ずさんでみる。
その声が聴こえたのか、また俺の方を見て和也が笑ったんだ。

少し長めの前髪から除くその額に、光る汗の粒。
俺も和也もあんまり汗をかかないけど、真夏の木陰はやっぱり暑くて。
なのに、和也からは爽やかな柑橘系の香りがした。
その黒髪もキラキラと光って見えたんだ。


俺が香水に凝ってた頃、和也はいつも俺の香水をつけたがった。
本番前、控え室を出る前に俺が香水を手首につけると、こいつが俺の手首に自分のを重ねて、あの可愛い顔で笑うんだ。
『一緒の匂いだね』って。
あんまり嬉しそうだから、俺も嬉しくなってそうだなって答えるんだよ。

なんでそんなことすんだ?ってきいたら『いつも、おーちゃんが見ててくれる気がして安心するから』って、お前は俺の彼女かって思うようなこと言ってたけど、俺嫌じゃなかったよ。
あの頃、まだお前は可愛い後輩でメンバーだったけど、それだけじゃ説明できないくらい可愛いと思ってたよ。言わないけど。




「わあっっっ」

そんな昔の事を考えながら歩いてたら、和也が突然抱きついてきた。

「どうした?」
「なんかいる」
「は?」
「ほら、あそこ!」

少し先の土の柔らかそうな所を指でさす。
もこっと少し盛り上がる土。
また、その先にもこもこと続いていく。
それで分かった。和也も隣でわかったみたいで、ふふって笑ってる。


「ね。懐かしいね」
「そうだな」
「あの時、あんなに見つかんなかったのにね」
「だな」


もこもこと進んで行くそれは、きっとモグラだ。
2人で見つけるためにロケに行ったこと思い出す。
案外、可愛かったんだよなぁ。モグラ。


チュッと鼻先に温もり。
目の前には和也の飴色の瞳。


「あん時と同じだね」
ニコッと笑って走り出す。
「あ、こら待て」
慌てて追いかけるのはあの時と違う。


あの時も嬉しかったけど、カメラの前だしどうしていいか分かんなくなって固まっちゃったんだよ。


でもあの鼻キスがきっかけで、俺は和也が好きだって気づいて、あの後付き合いだしたんだ。

和也の気持ち?
俺のこと大好きだったに決まってんだろ。



ほら今だって、少し前を走りながら俺の方を見て微笑んでる。



少しだけスピードをあげて和也に並ぶ。

あの夏の日のようにぎゅっと握った手は、いつものようにぎゅっと握り返された。







おしまい♡