また泣けちゃって、さとしはカッコよく笑ってるのに、俺はもう泣けて泣けて仕方なくて。
「泣くなよ。おいらはかずの笑ってる顔が好きなんだから、笑ってハイって言えよ」
もう、なんなのさ。
気持ちが追いつかないよ。
優しく俺を見つめてるさとしを見て、どうしてもハイって言う前に言いたいことがあった。
「どうして?俺、さとしを裏切ったのに...」
一瞬、さとしの眉がピクリと動いて。
だけど、優しい顔のままさとしは言った。
「何があっても、どんな時でも、かずはおいらの大事な人だから。それは絶対変わんねぇ」
「でも俺....」
「言わなくていい」
ボロボロに泣いてる俺の唇にさとしの熱い唇が重なった。
何度も何度もふわりと重なって、はむっと食まれて。
合わさる唇の隙間から、掠れたさとしの声が聞こえる。
「かず....和也、愛してる。おいらの和也、愛してる....」
何度も何度も囁くように言ってくれるから、どんどん身体が熱くなる。
優しいキスなのに息が上がって。
その背中のシャツをそっと握った。
その途端、また強く抱きしめられて何度も何度も名前を呼ばれて。
「さと....」
「和也...俺と結婚するだろ?」
「................ハイ」
もう、強がることなんて出来なかった。
俺なんかじゃダメなんだけど、それでもこの人が俺を欲しいって求めてくれるなら、俺の全部をあげたいと思う。
この人を裏切ったかもしれない俺でも、欲しいってバカじゃないのって思うけど、もっと良い人いるでしょって思うけど、でも俺だってさとしのこと好きなんだ。
自分のことよりさとしのほうが大事で、どうしようもなく惹かれる。
「さとし....好きだよ」
「ん...」
俺の声を飲み込んでしまうようなキスが、俺の頭の中までトロトロに蕩けさせていく。
「かず.....抱きたい」
「.....いい...よ」
「ごめん....余裕ない。ここでいいか?」
「うん」
俺を抱きしめてソファーの前の柔らかいラグにそっと横たえたさとし。
優しく覆いかぶさって俺を見つめる目は、少しだけ涙が光って見えて、さとしの熱い唇が、俺のに重なった。