ふにゃふにゃの顔で俺を抱きしめたさとし。
赤ちゃんみたいな甘い匂いに、昨日の名残のオトコの匂いが混じってる。
ズクっと腰に痺れるような感覚が蘇って、無意識に顔が赤くなったのが分かった。
恥ずかしくてちょっと身をよじったら、さとしが俺をぐっと自分の方に向かせる。
「なんだよ、その蕩けた顔」
「ばっ!違っ、そんなんじゃ.....」
「そんな顔してたら、またシたくなるじゃん」
「や、それは、無理.....」
「あー、うん。ハジメテだったんだもんなー。無理させるわけにいかないかんな」
「も、恥ずいから...」
「赤くなるなよ。可愛くて困るわ」
なんなんだコレ。
この人って、こんなに甘かったっけ?
素直な人なのは知ってたけど、ここまで?
恥ずかしくてどんな顔していいのか分かんないし、だけどこの人の腕の中が気持ち良くて、この人の匂いだけでオトコのこの人を思い出しちゃってワタワタしてる俺とは正反対。
俺のこと好きで、大事って分かっちゃう。
指先に入った力が俺はこの人のもんだって言ってる。
そっと見上げた先に、それこそ蕩けそうに甘い目のさとしがいる。
「っ......」
恥ずかしすぎて、顔を見られないように咄嗟にさとしの胸に顔を埋めてしまった。
ダメだ......。
さとしの匂いでいっぱいになる。
唇から漏れる息が熱くて、それを知られることも恥ずかしくて、本当にどうしたらいいのか分かんない。
無意識にもぞもぞしてたら、頭の上からさとしの声が降ってくる。
「お前。本当に勘弁しろよ。あんまり可愛いことされると我慢出来るか自信ないぞ」
ぎゅっと抱きしめてそんなこと言わないでよ。
「がんばる.....」
「お前.....」
「気をつけるっ」
「マジでか.....」
「え?ダメ?あ、あの、ごめ.....」
困ったようなさとしの声に、慌てて決意表明してみたけど、ごめんなさいは言わせてもらえなかった。
柔らかい唇で唇を塞がれて、ふわふわと押しつけられて、それだけで気持ちいい。
「ふ.....んっ.....」
漏れてしまった声を合図のように離れていく唇を見てた。
「あー、ダメだ。起きるぞ」
「え?あ、うん」
起き上がったさとしに手を引かれて、抱きとめられる。
「今夜、覚悟しとけよ」
耳元で囁かれて、なんにも言えずに頷いた。