【夏嵐】~大宮~ | 大宮さんと一緒 。。。

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大宮さんの妄想BL小説です。
色々、大丈夫な方のみお読み下さい。

にのちゃん大好き♡嵐さん大好き♡

大宮さんに癒されて、ドキドキして、毎日幸せ。

嵐のみなさんずーっと、幸せをありがとうございます!





~風見鶏~




「あ.....」

「どうしました?大野さん」

「...ん、何でもね」




ロケで行った工房の帰り道、ちっちゃな洋館の屋根に風見鶏がゆらゆら揺れてた。



久しぶりに見たなぁって思ったら、昔かずと見たのを思い出した。





あれはまだ俺たちがデビューして間もない頃。


早めにダンスレッスンが終わった日。

合宿所に帰るもんだと思ってたかずが、今日は実家に帰るって言い出して、なんとなくついてっていいか?って聞いたんだ。


ちょっと寂しそうな横顔が見えて、放っておいちゃダメな気がした。





「なんにも面白いことないよ?」

「いいよ」

「変なの」

「なにが?」

「おーちゃん、俺のことそんなに好きなの?」

「おー、好きだぞ」

「おーちゃんのバカ...」




かずの町まで、乗った電車。
いつもと違う景色が見えた。



駅からまっすぐ家まで帰ると思ったら、かずは散歩しよって言い出して、川沿いの土手の上を2人でゆっくり歩いてる。



綺麗な横顔に見とれてたら、ポーンと靴を飛ばしたかず。


飛んでく靴の向こうに、風見鶏が見えた。



何してんだ?って思った時にはケンケンしながら靴を取りに行こうとしてて、途中でズルっと転んだ。



「かずっ!」

「いったぁ」

「どっか怪我してないか?」

「うー、どうだろ?わかんない」



手や足を持って、傷が無いか確かめてた俺に



「ね、おーちゃん。俺の靴取ってきて?」



可愛く小首をかしげて甘えてくる。

本当にコイツは.....。



「仕方ねぇな」


口ではそう言ったけど、こうやって甘えられるのは好きだった。


コイツは誰にでも距離が近いけど、あんまり甘えたりはしない。


たまに他の奴に甘えてるのを見ると、何故かムカムカしてその後かずを俺の隣に座らせてた。



「ほい」

「ありがと」


靴を履かせてやって、手を取って立たせた。

こんな時かずはされるがままで、それがやっぱり俺を少しイライラさせる。


俺以外のヤツにも足とか触らせてんのか?



そう考えて自分の思考がおかしい事に気づく。



ありがとって笑ったかずが、この町の景色に溶けて、俺の知らない色になる。



俺が出会う前のかずはどんな少年だったんだろ?


どんな風に笑って
どんな風に泣いて
どんな風に過ごしてきた?



夏の夕焼けはキレイな茜色で
かずの瞳はキャラメルみたいで


俺はかずが好きで




なぁ、お前は?

俺のこと好きだよな?





土手に咲く花を見ながら階段を降りて、かずの通った中学校にコソッと入る。




校庭の隅っこにある鉄棒は少し低いような気がするけど、ぼそぼそ話すかずの中学生活が目の前に流れるような。




「かず、キスしていい?」

「なんで」

「好きだから」



パッと耳まで赤くなったかずが可愛くて、返事を聞かずにそっとキスをした。




「おーちゃんのこと...好きだよ」




ふわりと笑って空を見上げた。




やっぱり俺の知らないかずになった。




切なくて愛しくて

初めての本気の恋は、夏の風になった。








あの時、風見鶏の揺れるのが俺みたいだって思ったんだ。


懐かしくて、校庭の鉄棒の錆びた匂いを思い出す。





「かず、今から行っていいか?」








おしまい♡