むすーっとしてるさとしの唇をつまむ。
「もー。そんな口尖らせないでよ」
「尖るわ!尖りまくりだわ。」
「そんなに俺のこと好きなの?」
怒ってるさとしを笑わせたくて、ふざけて言った言葉。
ほんの数秒見つめ合った。
次の瞬間には、さとしの顔は真ん前にあって。
「当たり前だ」
低い声で囁きながら、唇が重なった。
「かず.....好きだ...好きだよ」
口づけながら囁かれる愛の言葉は、俺の頭の芯を溶かしていく。
痺れるように愛が身体中に広がって、立っていられなくなるから、さとしの背中に手を伸ばして、シャツを握った。
さとしの手は、俺の腰をしっかりと抱いてて俺は、さとしにもたれかかってるような状態。
もう、抵抗なんて出来ない。
俺の唇に触れるさとしの唇だけで、その甘い声だけで満たされていく。
「っ!おーちゃん!」
「なんだよ」
「もう頼むから、帰ってやってくれへん?」
「ああ...そうだな。帰るぞ、かず」
「は?今すぐ帰るんかいっ」
「当たり前だろ。こんなかず、見せられるか」
ふわっとさとしのマフラーを顔を隠すように頭からかけられて、さとしに抱き寄せられる。
「相葉ちゃん、おいらの荷物とコート取ってくれる?」
「はいはーい。これね」
「ありがとな」
「おーちゃん、あんまりヤリ過ぎちゃダメだよ?」
「おう。じゃあ、帰るな。みんなお疲れ」
さとしは、みんなのじゃあねー、またねーって、声におうって返事をして、戸惑う俺の手を握ったまま玄関を出た。
ガチャンとドアが閉まって、2人だけが夜の中に放り出されたみたい。
いつの間に呼んでいたのか、マンションの下で待っていたタクシーに乗り込むと、さとしは2人の部屋の住所を告げた。