結局、頰っぺにチューを見られちゃって、相葉さんには散々「甘々だねえ」とか言われて。
極めつけは翔さんが
「2人はお互いのこと大好きなんだよね。見てるだけでも分かるもんね」
なんて言って。
恥ずかしいから寝たフリをしたらそのまま眠ってしまって、優しく起こされた時には、さとしの膝枕で眠ってた。
「和、そろそろ起きれるか?」
「もうすぐ着くよ」
「ニノちゃん、年越しそば食べようね」
さとしの声で目が覚めて、声のした方を見たら相葉さんが笑ってた。
「お。和起きたか」
「さと.....おはよ」
「よく寝てたな」
さとしを見上げたら、またあの優しい顔しててなんか泣きそうになる。
「ニノちゃんおはよー。お蕎麦だよー」
振り返った相葉さんに元気に言われて、そういえばお弁当は初日の出を見ながら食べるって言ってたなあって思い出す。
バタバタしてたから、ちょっと忘れてた。
まあ、冬だし悪くなるようなものは入ってないから大丈夫だよね。
器も少し保温機能があるし、そんなに冷たくはならないはず。
「前に来た時に食べたら、すごく美味しかったんだよね。雅紀も俺も2人にも食べさせたくて」
「ねー!本当に美味しいんだよ」
お蕎麦屋さんの話を楽しそうにしてくれる2人。翔さんって食べることが大好きだから、きっと美味しいお店なんだろうな。
程なくして車が停まったのは、舗装もしてない土が剥き出しの駐車場。
山の麓に一軒だけぽつんとあるそのお蕎麦屋さんは、知る人ぞ知るお店らしく大晦日の夜も予約でいっぱいらしい。
車も何台も停まってて、人気のお店なんだってわかった。
「和」
さとしに手を引かれて車から降りて、茅葺き屋根の昔ばなしに出てきそうなお店の暖簾をくぐった。