カズを好きになって4年目のカズの誕生日。
この間から、楽屋で聞いてしまった大宮の会話が頭の中でぐるぐるしてて。
思いきって、ふたりで飯に行こうってカズを誘った。
とんでもなく可愛い顔でうんって答えたカズ。
親父の車を借りて、カズを横浜の洋食屋に連れていく。
めちゃくちゃ上手いチーズハンバーグを食って、夜景の見える穴場の駐車場に車を停めた。
「すごい!ここ、すごいね」
「だろ?地元の子しか知らない穴場なんだって」
「うん。キレイだね」
「俺も人から教えてもらったんだよ」
「......そう」
楽しそうだったカズが突然トーンダウンして、気分でも悪くなったのかと心配になる。
「カズ?どうし...」
「しょーちゃん、今日ありがとね。ここ、彼女さんとくるんでしょ?俺、連れてきてどーすんのよ」
俺の言葉を遮って、まるで口を尖らせて挟むタイミングを作らないとでも言うように、話すカズ。
「彼女なんていないよ」
「え?」
「彼女いないよ」
「じゃあ....なんで?こんなところ....」
「カズに見せたかったんだ。カズを連れてきたかったから、大学のツレに聞いた」
「ど....して?」
「好きだから」
「嘘だ....」
「本当だよ」
「もう一回言って?」
「好きだ」
「もう一回」
「好きだ」
「もういっか....」
耳を真っ赤にして、潤んだ目で俺を見てるカズ。
茶色い目に、無数の光が映ってキレイで、堪らなくなってキスをした。
助手席のカズの後頭部に手をかけて、俺の方にグッと引き寄せて、ゆっくりカズの唇を味わった。
ペロッと唇を舐めると、ビックリしたように口を開けたから、舌を射し込んでカズのを絡めとった。
初めて味わうカズの舌は甘くて、止められなくなりそうだったから、ギリギリで堪えて唇を放した。
「急にこんなの....ズルい」
真っ赤な顔で睨んでるけど、可愛いくてもう一度キスをしようと引き寄せたら、腕を伸ばして抵抗する。
「俺、まだ言ってない」
「なにを?」
「しょーちゃんばっかりズルいよ。俺も、俺だって、しょーちゃんが好きだもん」
もう涙が溢れ落ちそうなほど潤んだ目。
堪らなくて、何度も何度もキスをした。
「好きだ。好きだよカズ」
背中に回された、カズのハンバーグみたいな可愛い手が、俺のシャツを握ってた。