高3になって、俺はそろそろ辞め時だと思ってて、智くんも社長にもう辞めるって言ったって話してた。
カズも智くんから辞めるって話を聞いてて「俺も裏方の方に興味出てきちゃった」って、社長に今年いっぱいで辞めるって言ったなんてこと話してて、ここを辞めたらカズに告白してみようなんて思ってた。
それなのに、その夏俺たちがデビューする話が持ち上がって、カズを家に呼んで泊まり込みで対策を練って、翌日社長に断りに行ったりした。
残念ながら社長は居なくて、嵐って書いた紙を見つけて、抱き合ってため息ついたのも、昨日のことみたいに覚えてる。
なんだかんだで、俺たちは嵐としてデビューして、辞めるって言ってた智くんと、俺の後をついてまわってた潤と、カズの親友の相葉くんと5人でずっと歩いてきた。
俺はずっとカズが好きで、だけど智くんとカズの関係も気になって、告白できないまま何年か過ぎて。
ある日、カズと智くんの会話を聞いてしまったんだ。
その日、俺は早めに楽屋について、みんなが来るのを待ってる間にソファーで寝てしまって。ボソボソと誰かが話す声に意識が覚醒し始めた時、聞こえた言葉で、一気に目が覚めたんだ。
「なあ、かずなり」
「なんですか」
「お前、いつになったら好きって言うんだ?」
「言いませんよ」
「なんでだ?」
「しょーちゃんは、俺のこと可愛い弟くらいにしか思ってないもん」
「いや、お前には甘いぞ」
「そんなことないですよ」
「あるよ」
「はいはい」
「言えないなら、おいらにしとくか?」
「しません」
「大事にしてやるぞ」
「けっこうです」
ふふふって、笑いあう大宮の声。
どこまでが、本気の話なんだ?
智くんは、カズが好きなのか?
マジか。
もしも、智くんがカズを好きなら、しかもあんな風に、大事にしてやるなんて言われてるのに、付き合ってないってことは。
そうゆうことなのか?
俺にチャンスがあるってことなのか?
聞きながら、汗が吹き出すような。
今すぐ言いたい。
お前が好きだって言って、抱きしめたい。
だけど突然起き上がるなんて出来なくて、結局寝たふりをしたままで、そろそろ起きてって潤に起こされるまでソファーで動けずにいた。