大宮さんの妄想bl小説です。
色々、大丈夫な方のみお読み下さい。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。
玄関で靴を履く涼介の後ろ姿。
「じゃあ、失礼します」
帰っていく涼介を、扉の外で見送ってた。ごめんなって、何度も思う。
もうあと少しでエレベーターホールってとこで、涼介が振り返った。
目が合って、小走りに戻ってくる。
俺の前に立つと同時に、抱きしめられた。
「大好きでした。本当に。一回だけ、キスしても良いですか?」
泣きそうな顔して、じっと俺を見る目に、こくんと頷いた。
涼介、お前のこと本当はかなり好きだったよ。ごめんな、俺、ふらふらしてて。今度はちゃんとお前のことだけ見てくれる人、探せよ。
初めて触れた涼介の唇は、柔らかくて、温かかった。
好きって気持ちと寂しさが、一緒に流れ込んで来るような、たぶん一生忘れられないキスだった。
「ありがとうございました。今度は、後輩として遊びに来ます」
唇を離した涼介は、良い顔してた。
「おう、また来いよ。待ってるから」
今度こそ、エレベーターホールに向かって歩いていく。手を振ってニコリと笑ったから、俺も笑い返した。
玄関に入ろうとして何気なく外を見たら、暗い空に月が光ってた。
そうなんだ。
俺は、結局あの月のようなあの人から離れることなんて出来なくて。
こうして月が、いつだって空に在るように、俺の心にはあの人が存在してる。
「好きだよ、おーのさん」
呟いて部屋に入った。
知らなかったんだ。
エレベーターホールの端っこ、壁で仕切られた休憩スペースに、おーのさんが居たなんて。
涼介とのキスを見られてたなんて。