逢いたくて 9 | 大宮さんと一緒 。。。

大宮さんと一緒 。。。

大宮さんの妄想BL小説です。
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繋がれていた手を離して部屋へと向かう。

「明日は午後イチでお迎えに来ます」

帰っていくマネージャーに挨拶をして、車を降りた。



「荷物、キッチンで良いですか?」

「ああ、うん。ありがと」


俺が、自分の鞄を寝室に置きに行く間に、キッチンで夕飯の準備が進んでる。


「山ちゃんさ、さっきの... 」

「和也さん、それ止めてください」


俺の言葉を遮った山ちゃん。
真剣な目をしてる。


「俺のこと、山ちゃんなんて呼ばないで下さい」

「あ、ごめん。山ちゃんって呼ばれんのやだったのか?」

「違います。本当に、激ニブですよね」

「は?なんだよそれ」

「俺は、和也さんが好きだから、もっと特別な感じで呼んで欲しいんです」


なんだよ...... こっぱずかしいこと。

だけど、素直に言われるのって悪くない。


「和也さん、耳、赤いですよ?」

「うるさい、バカ」

「バカって... 。本当に子どもみたいなとこありますよね」

「うっせ。で?なんて呼べばいいの?なんかあるんだろ。これが良いみたいなの」

「あります。涼介って名前で呼んで欲しいんです」

 
すごい真っ直ぐな目、してんじゃん。


「涼介って呼ぶの?」

「嫌ですか?」

「嫌じゃないけど、なんか照れるわ」

「ありがとうございます」 


ずるいわお前。

計算も何もなく、俺を好きだって気持ちだけで俺を見る目。

本当に、思い出すんだよ。

あの頃、おーのさんしか見てなくて、おーのさんが全てで、大好きで、隣にいるだけで幸せだった頃。

 
おーのさんも、優しくて、時々、熱い目をしてた...してるように見えたから、告白したんだ。


あれから、ずっと側にいる。


だけど、永遠に手は届かない。


ずっと誰にも揺れなかった。


ずっと諦めきれなくて、未練がましくあの人に笑いかけてきた。

そんなの、もう、止めようか。



俺はこいつの、涼介の手を取っても良いのかな。