※本ブログはシリーズ物になっている為、ぜひ最初からお読みください。
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※前回の記事の続きです
ところで、ル・ボンの『群衆心理』を読み、
「ル・ボンは民衆を蔑視しているのではないか」
という見当違いのヒューマニズムを振りかざして、
ル・ボンを軽視ないしは無視する『専門人』がいるらしい。
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【教養と財産を持たぬものとしての大衆、
という十九世紀前半の大衆観からル・ボンはすでに自由になっていた。
専門人たる社会学者たちはこの点を見逃しにして、
ル・ボンに単なる民衆蔑視のみをみようとする。
この専門人集団における自己防衛の態度が社会学にあってル・ボンが軽視されることになった最大の理由だと私は思う】
西部邁/思想の英雄たち 保守の源流をたずねて/角川春樹事務所/105ページより引用
※読みやすくする為、一部改行あり
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戦後日本の偉大な保守系論客である西部邁は、
著作『思想の英雄たち 保守の源流をたずねて』において、
ル・ボンを「思想の英雄」として取り上げ、
上記のように述べている。
大仰に西部邁まで持ち出して、
あえて言及するのも馬鹿らしいことではあるが、
当然ながらル・ボンは民衆を
愚かで程度の低い者たちとして見下し、マウントをとってドヤ顔をしたいが為に『群衆心理』を発表したのではない。
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【実際、この優秀な人物も、
すべての人が所用するこれらの凡庸な性質を結合させ得るにすぎない。
群衆はいわば智慧ではなく凡庸さを積み重ねるのだ】
ギュスターヴ・ル・ボン 櫻井成夫訳/群衆心理/講談社学術文庫/32ページより引用
※読みやすくする為、一部改行あり
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実は筆者の父は数学において博士号を取得しており、
─筆者は典型的な文型人間なので凄さがイマイチわからないのであるが、母や親戚に言わせれば、
それなりに凄い人らしい。
博士様なのだから、
ある程度の知性は持ち合わせているはずなのだが、
父はマスメディアに簡単に騙され、
恐怖によって「心理的群衆」に合流してしまい、
恐怖の集合夢に突き動かされてワクワクを打ち、
命を落としかけた。
ル・ボンのことばを借りるが、
「優秀な人物」も暗示的恐怖によって容易に群衆に埋没し、
「智慧ではなく凡庸さを積み重ね」てしまうのである。
(続く)
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