2024新種牡馬のご紹介-後編- | NAKAMEの中央競馬重賞予想

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後編があるという事は、前編がございます。前編はこちらからよろしくお願いします。そんなわけで後編もやっていきましょう。

 

 

今回のトップバッターはアドマイヤマーズ。父はダイワメジャーで母父がメディシアン。母はフランスのマイル重賞勝ち馬。兄弟にフレッチアがいる。現役時代は13戦6勝。GⅠ勝ちは朝日杯FSとNHKマイルC、香港マイル。ダイワメジャーらしくというかキッチリとマイルGⅠを3勝しているわけだが、ダノンキングリーに肉薄した共同通信杯が負けて強しのベストレースと呼ぶ声も一定数存在している。母がヘイロークロスでシングスピールの血も入るからマイラーと呼ぶには母方が中距離的な血に溢れてるとも言え、この馬もダイワメジャーの割にはゴリゴリマイラーという感じとはちょっと違っていて、時計の掛かる馬場は問題ないがイーブンペースで走破するのはやや苦手な面はあった。そこが種牡馬になってどうなっていくかというのが一つ産駒の傾向を左右しそうだが、牧場での種牡馬評的な所では、やはりダイワメジャーというイメージより中距離馬に近い感じの柔さ、という声も聞こえてくる。となると種牡馬としてダイワメジャー的マイラーを出すにはまずイメージをマイラーから1800型中距離馬に変える必要がありそうで、母がマイラーの方が逆にメジャーっぽい馬になっていきそう。兄のフレッチアはダンシリ産駒のOPだったが、これを見る限りではデインヒルとの相性の良さは見込めるし、デインヒルを入れれば順当にマイラーになっていきそうという見立ても出来る。逆にヘイローを継続させていく形になると中距離馬のような1800、2000ベストタイプが出てくる印象で、こういう馬はマイルよりも皐月賞狙っていく事になりそうだ。つまるところサンデーのクロスを持つ馬は中距離に出やすい可能性が高まる。またダイワメジャーはブラッシンググルームとの相性がとても良かった。この馬はRed Godの血は持っているがブラッシンググルームは入っていないのでこれを狙う手は有効かもしれない。ダイワメジャーにブラッシンググルームが有効手だったのはRed Godとワイルドリスクの存在が大きかったからだと思うが、特にワイルドリスクは底力に優れた血統でこれを孫産駒の代でも弄っていく配合は有効手だろうという考えが個人的にはある。この馬もそうだが、ダイワメジャーは欧州重厚系と相性がいいので、孫産駒の代では北米血脈を入れた方がバランスがいい。北米血脈のワイルドリスク的底力を伝える血統といえばアンブライドルズソングなどでお馴染みのアンブライドルド。実際にダイワメジャー産駒でもシュガーショックから2頭のOP馬が出ているし、これもアドマイヤマーズとは好相性の組み合わせになるのではないかと見ている。血統登録頭数は60頭ちょっとと新種牡馬の中でも少なめではあるが、十分活躍は期待できる種牡馬になるだろう。

 

続いてはナダルを取り上げたい。父はロベルト系のブレイムで母父がプルピット。近親にはアーリントンC2着のリッカンバッカーがいる。現役時代は4戦3勝でアーカンソーダービーを制覇。その後骨折が判明して引退となった。新型コロナがまさに蔓延し始めた時期の活躍馬で、スケジュールがずれ込んだ中でのGⅠ制覇でもあった。何せ4戦で引退してしまったのでどういうタイプの馬だったのか判然としないが、映像を見る限りでは好位追走から押し切るという北米競馬らしい形の運びで勝っていた。この辺りはロベルトの突進力というところもありそうで馬体も非常に立派でサイズもある。ロベルトっぽい馬だった可能性は十分あっただろう。一方で母方はプリンスキロを中心にスタミナ的な要素も十分あって、現役を続けていれば2000も守備範囲だった可能性もあったかもしれない。種牡馬としてどうなるかという事についてだが、まずロベルトにシーキングザゴールドを持つ父でそっちの影響が強かった見立てで予測すると、レイデオロのようなタイプに出る可能性はありそうで、コルトサイアーの急坂周回向きという産駒は増えるかもしれない。血統面の売りはやはり非サドラー・ヌレイエフでサンデーも入っていないという使い勝手の良さで、キンカメやサンデーなどの飽和した血を薄める役割を担えることだろう。母父プルピットは割とクロスが煩い方だが、母方自体はアウトブリード気味。なので繁殖相手はキンカメを介しヌレサドが煩い血統やサンデーのクロスが入った馬をあてがうのがベターか。ブレイムはspecialの牝系でもあるからここを狙ってニアリーを狙うというのも定番化するかもしれない。印象としてはプルピットなど、母方を狙うよりもブレイムを狙った配合というのが成功しそうな感じで、その点成功パターンは多岐にわたると思っている。その中でも一つ気になるのは母父ハーツクライ。父の父アーチは世界的名門、コートリーディーの牝系出身だが、この一族の日本での活躍馬といえばアルビアーノだったりアンブロジンを介してノーリーズンだったりと、もう気が遠くなるくらい数多いる。その中でアンブロジンはヴァーチュからワンアンドオンリーが生まれた。またこの一族の種牡馬としてはトワイニングがノンコノユメを輩出しているが、ノンコノユメの牝系はハーツクライが生まれた牝系でもある。大雑把な言い方にはなってしまうが、ハーツクライの牝系であるマイビューパーズと出会うと大物が出ているという見方が出来る。なので母父ハーツクライとの相性の良さというのを個人的には期待したい。

 

最後の〆にはフィエールマンを持ってきたいと思う。父はディープインパクトで母父がグリーンチューン。母リュヌドールは2000MのGⅠ勝ち馬。現役時代は12戦5勝、GⅠ3勝は菊花賞、天皇賞春×2といづれも3000M級のステイヤー戦だった。3歳春のクラシックには間に合わなかったが、凱旋門賞以外は大崩れがなく天皇賞秋でも2着とステイヤーという字面以上に守備範囲は広く、ピュアなステイヤーというよりは守備範囲の広い中長距離馬というイメージの方が実態に近いのかもしれない。種牡馬としてはやはりどうやって春クラシックに持っていくかというところがキーになってくる。何度か書いているし、それこそオークス、ダービーの予想の中でも触れたが、春クラシックに持っていくにはマイラーの血が重要。親戚にマイラーのGⅠ勝ち馬はいるものの、この馬自身はそういった影響を受けていないし、やはりまずはベターにマイラー牝馬や母父マイラーという組み合わせが定番になってくるだろう。特にディープ後継種牡馬はストームキャットやアンブライドルズソングといった黄金配合がハマりやすいので、そういう意味でも奇をてらわずベターに行った方がいい種牡馬かもしれない。フィエールマンはルメール騎手が乗ると能力全開だったようにフランス牝系らしいしなやか斬れがあった馬だが、その一方でエキサイトしやすい面があり、テンションのコントロールに注力するところもあった。フランス牝系では往々にしてある光景だが、フランスの血統で気性難という事で言うとかの有名なワイルドリスクがまず挙げられる。ディープ自身もBustedを介しワイルドリスクの血を持ってはいるが、この馬の場合はやはりフレンチな斬れだから母母父ノワールエトワールが持つWordenの方ではないか、という感じのテンション。ディープ牝系にワイルドリスクな底力でいうとキタサンブラックがまず該当するが、キタサンブラックの代表産駒イクイノックスもこの辺の血を弄った底力で走っていた馬。となるとこの馬の場合でもWordenから底力を弄る形がハマる可能性は考えられる。まあワイルドリスク系となると大概が中距離馬なので配合のバランス的にちょっと難しい理想形ではあるのだが、そういう馬がいたら見逃さず狙いたいところ。ノーザンダンサーが割と薄めなので、そういった馬との相性も良さそうだ。速力を注入できないとクラシックは怪しい可能性が高いので、POG向きかは微妙な所。

 

 

こんな感じで2週にわたり新種牡馬を計6頭ご紹介。今年の新種牡馬はどうなるか、1年間楽しみに競馬を頑張りましょう。