◎シンエンペラー、食い込んで3着! 日曜の予想結果 | NAKAMEの中央競馬重賞予想

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2重賞ですので恙なく回顧の方をやっていきます。

 

 

日曜に行われた重賞は目黒記念とGⅠ日本ダービー。まずは日本ダービーから振り返ってみよう。

 

 

勝ったのは9番人気のダノンデサイル。スタートは五分。割と促して位置を取るような感じの出方になった。戦前からテーマになっていたどの馬が逃げるのか、というポイントは大外枠のエコロヴァルツが行ったことで解決。とは言っても名うての逃げ馬ではないし初コンビの挑戦者という立場。ペースはゆったりと落として1コーナーを曲がる前から手綱を引っ張る馬が多数いた。12.5-11.4-12.4-13.1-12.4と早々4F目に13秒台のラップが出現する5F62秒2というスローで、手綱を引っ張る馬ばかりになるのは当然。過去10年で4F目に13秒台が入ってくるダービーは21年の1度だけで、それだけでも今年のダービーのペースがどうだったかというのは伝わりやすいと思う。その中でダノンデサイルは横山典弘騎手の得意技、イン3。中山記念でも魅せてくれたがここでもイン3。ペースを思うとインの3番手は絶好ポジションで、位置に関しては言う事がなかった。5Fを過ぎてコスモキュランダとサンライズアースがそれぞれ位置を押し上げ、特にサンライズアースは3角で先頭に並ぶところまで行ったが、それでも中間2Fは12.6-12.7と緩いまま。ラスト5Fは11.7-11.3-11.1-11.2-11.5と11秒台で構成されたが、11.7でも馬場を思えばそれほど速い方ではなく、持続力というよりは本当に最後だけ速く走るような展開。その中で距離ロスなくインで脚を溜め、しっかり弾けたこの馬は120点をあげていいくらいの競馬が出来た。結果だけで言えば恵まれた展開となってしまうが、皐月賞をレース直前に故障で除外となって1カ月でどこまで立て直せるか、という状況の中でダービーを勝たせる偉業は素直に褒め称えられるべきものだと思うし、スローのダービーは人馬で過ごした時間と糧がモノをいう。全てのレースで手綱を握った横山典弘騎手だからこそできるレース運びでもあった。エピファネイアはシアトルスルーやサドラーの血を持つので多くの産駒は胴長に出やすいのだが、反面飛節は割と曲がっている曲飛が多く、ある意味シンボリクリスエスが強い種牡馬。この馬もそういった感じで、広いコース、距離は問題ないが乗り難しいというのをYouTubeの中で言った真意はそこにある。だからこそ余計に鞍上継続というのは大きかった。後で時間が出来た時にまた調べたいと思うが、ストームキャットの血を持つエピファネイア産駒のGⅠ勝ちは恐らくサークルオブライフ以来。他にも最近はマキシがこの配合の勢いがある馬。スペシャルウィークが持つニジンスキーがストームキャットとニアリー構成で割とエピファネイアとキーになるところがある方。これはまあ所謂ライバル配合というところになってくるが、キズナはシンボリクリスエスとニックスで、エピファネイアがキズナが持つストームキャットと相性がいいという事になれば、血が紡ぐストーリーというのは本当に奥が深いなと思う事だろう。本当にいい光景を見ることが出来たダービーだった。

 

本命のシンエンペラーは3着。好位が欲しいところだったが、スタートがあまり良くなく後手を踏む感じで道中は8番手辺りの追走に。スローを好位から競馬するイメージだったのでこのスタートは痛恨だった。道中はシックスペンスを見ながら。善後策としては他に手がない苦肉の策といったところで、外から2頭動いてきて外の自由もあまりなかったから直線でばらけるか、シックスペンスが抜け出すかの2択に賭けるしかないという状況。プランニングが売りの坂井瑠星騎手としては非常にストレスの強い競馬になったと思うが、直線は真ん中から捌いて脚を使った。スピードレンジが高いところにある馬ではないが、脚の使い方なんかはトムフール的で長く続くのではなく瞬間的。それだけに自分から勝ちに行けないところになったのは寧ろ良かったところもありそうで、ペースはとても走りやすいところにあったと思う。パドックを見ても陣営のコメント通り良くなっていたと感じたし、位置が取れなかったこと以外はよく頑張ったと思う。秋は海外に挑戦するとの事だが、あまり日本にはいないタイプのしなやか系なので、どういった結果になるのか今から興味深い。

 

1番人気のジャスティンミラノが2着。パドックではやはり2400の馬ではないなという印象は変わらなかったが、マイラーっぽさを受け継いでいる馬だから見てくれは横の比較では上位。レースでは肝心のスタートがシンエンペラー同様にあまり良くなくて、それでも勇気を出してエコロヴァルツを利用して位置を取った。4角の手応えはあまり良くなかったが、それはもうこの馬の特徴。コーナーで加速しながら回ることが出来ない。今回はそこも明暗を分けたところで、道中はダノンデサイルより前にいたのにコーナーワークで僅かに前に出られた後は抜き返すところまで行けなかった。スローをロベルト的に抜け出したダノンデサイルと、スローをダルシャーン、サーゲイロード的ストライドで加速できなかったジャスティンミラノ。実に対照的な内容となった。強いて言えばスタート後手でリカバリーに費やした労力も考慮するべきだが、このペースでは差は詰まっても逆転までは至らなかっただろう。見た目には1800ベスト型という印象だから毎日王冠に出てきたら普通に勝ち負けするだろうが、となると秋は菊花賞よりも天皇賞秋を目指す路線の方が良さそう。後は友道厩舎がどう育ててくるか。

 

レースを動かしたサンライズアースが4着。過去のレース映像などを見た上での動きだったとは思うが、テン乗りで大胆に動いて父のような展開に持ち込んだのはお見事。レイデオロはステイヤーとまでは行かないが長い距離に適性を見せるような傾向ではあって、だからこそ自分から勝ちに行く、潰しに行く競馬だと実にしぶとい。京都向きな感じではないけども、秋に向けて距離を延ばすこと自体は面白い要素になりうると思うし、時計が掛かってもいいので将来が楽しみ。5着レガレイラは今回も差しの競馬となったが、ストライドでズドーンと差す馬だけにラストだけの競馬は分が悪く、そこに内枠で外に出せないままと持ち味を完全に殺された。スワーヴリチャード、イクイノックスが抜け出しで負けた時と同じような負け方とも言え、ピッチがストライドを制す流れに対応できなかった。道中も前にダノンエアズロック、ジューンテイクに並ぶ隊列はかなり良くなかったし、ペースから位置から結果まで、いいところはなかった。5着まで来たのは能力。まだ奥があると思うし、GⅠ級かはさておいて、距離はこれくらいでいいだろう。6着コスモキュランダは弥生賞や皐月賞を見てもわかる通りコーナーで加速できる馬で巡行戦に強く、このペースは合っていないから動いたこと自体は良かった。ただ欲を言うと中途半端な動きになった感じもあって、サンライズアースのように一気に並びかけるところまで行った方が良かった。まあここはどうしようもなかったレースだった気もするけど、現状では適条件が狭い。9着シックスペンスは1着2着馬を見ながら進んだが、4角で前と離されてそこから伸びず。ペース自体は良かったと思うし6枠から前に馬を置ける位置に収まった入りもとても良かった。その中でこの結果となると距離としか言いようがない。全体的にテンションが高めだったし、まだGⅠ級の仕様に耐えうるフレームではないのだろう。成長を求めたい。11着アーバンシックはパドックでもまだ未完成だなという印象が強かった。レースでは折り合いもちょっと苦しくて、レガレイラと完全同血ではあるが牡馬の分かフィジカル的でもあるからスローの2400だと若干苦しいのかも。将来的には2000くらいの馬になってきそうだが、この血統だし長い目で成長を待つことになりそう。距離が苦しいという点では14着ダノンエアズロックも同様で、位置も変な所になったし力負けとはちょっと違う。東京自体は現状合っているモーリス産駒だから、天皇賞秋やドバイターフというワンターン中距離のGⅠが最終的な目標になる馬だろう。

 

 

続いて目黒記念。

 

本命のクロミナンスは3着。スタートはまずまずというところだったが、割と意識的に位置を取りに行って道中は4,5番手辺り。このメンバーでスローになるから位置を取っておこうというのはあっただろうし、実際に5F通過は速報値で61秒9でダービーとほとんど同じ。ただ一番の意図は内のサトノグランツに自由を与えさせず、スローの中で内に閉じ込めておきたいというのがあったのではないか。道中も少し並びかけるくらいで見ながら動かないならこちらからいくぞ、動くなら追いかけるぞという位置だったと思う。全体的にケチをつけるところがないレースを出来たと思うが、それで3着となるとペースが落ち着き過ぎた分かなという印象。やはりハイペリオン大増量特別価格みたいな血統だからもう少し流れた方が持ち味を発揮できただろう。力負けではないので、アルゼンチン共和国杯でお待ちしております。

 

勝ったシュトルーヴェはクロミナンスより1㌔重い斤量を後ろから差し切ったのだから着差以上に強さは見せている。正直言ってダラっとジワっとした脚を使う馬ばかりが揃ったレースで、スローを抜け出せるピッチの馬がいないところに助けられたところはあるが、だからこそ現状の充実ぶりが目立つとも言える。祖母がアンチョで速力は受け継いでいる方。その辺も良かったのかなと。GⅠで通用するかはわからないが、いかにも中山2200っぽい印象の馬で、オールカマー辺りに出てきたら面白い。それにしても5歳世代は層が分厚いですね。

 

2着シュヴァリエローズはこれで2400以上では3着2着と馬券を外していない。母父はキンシャサノキセキなんかも出る牝系ではあるが、3代母がトウルビヨンの3×4。母方自体はフランスの中距離血統でそこにディープだから徐々に適性が長いところに出てきたのだろう。西村騎手はスローの前受けは中々得意でもあるし、斤量や展開でもハマったところはあっただろう。こういった結果を受けて恐らく夏や秋も長いところを狙っていくだろうが、夏の北海道辺りは更に出番があっても。4着サトノグランツはパドックを見る限りではそんなに悪い印象はなかったし、帰国初戦でも状態は上げられていたのではないかと思う。神戸新聞杯だったら差し切っていた流れだっただろうが、ハンデと古馬との力関係が最後は出たか。その点では日経新春杯と比べてあまりが変わりなかったかな。ハイペリオンっぽい成長曲線になってくると見ているので長い目で見てみたいが、今年はもう阪神開催がない。京都だとコーナーで置かれそうだからそこがネック。5着マイネルウィルトスは中団で控えたが、ナイトインロンドンが少し動いたところでニュートラルに位置を押し上げても良かったかなという感じはあり、ロベルト飛節で数少ない瞬間加速系でもあっただけに勿体なさが残った。7着ヒートオンビートはクロミナンスに付いて行けば進路が出来るだろうという運び方に見えたが、同じ脚を使うような馬ばかりで中々有効なスペースが出来ず、結果追い出しが遅れた。なので結論で言えば後手を踏んだことが敗因なわけだが、その割には前のクロミナンスとの差は詰まっていなかった。59㌔だった事を考慮する必要はあるが、パフォーマンス的にはスムーズでも微妙だった可能性も。スロー過ぎて良さを出せなかったというより、位置が少し後ろ過ぎて持ち味を出していないという表現が近いかも。例年の流れだとこのまま休養して秋に始動となるだろうが、牝系からして京都がダメという事はないので良馬場であれば京都大賞典でもう少し内容の前進があってもいい。11着ナイトインロンドンは持ち味を活かすという意味では動いたことがダメとは思わないが、気持ちの面なのか走りが集中できない馬で、どうしてもやめてしまう。その辺が解消されてこないことには内容の前進が期待できない。12着ジューンアオニヨシは母がセクレタリアトとサーゲイロードを持っている馬だから京都実績は頷けるところで、東京適性自体は期待できる血統。ただ重馬場で勝っていたり、ビュンビュンキレキレな脚を使う方ではないのでペースや位置はあまり良くなかったかも。まずはOPを使ってこのクラスに慣れてくるところから。

 

ダービーが終わって来週は安田記念。そして2歳戦。頑張りましょう。