2024新種牡馬のご紹介-前編- | NAKAMEの中央競馬重賞予想

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早いもので今年もダービーウィーク。クラシックシーズンも一区切り。となると次のテーマは2歳戦に移っていくわけですが、2歳馬と一緒にデビューするのが新種牡馬。最近は新種牡馬がいきなりGⅠを勝つこともありますからね。しっかり予習をしておこうという事で、曲がりなりにも(相当曲がってますが)血統から予想をしている中目黒さんが新種牡馬のお話をしようというおせっかいコーナーを今年も2週にわたりやっていきます。

 

2024新種牡馬の中で最も話題を集めているのはエピファネイア、リオンディーズの弟にあたるサートゥルナーリア。父はロードカナロアで母がシーザリオ、母父がスペシャルウィーク。オーソリティも親戚にあたる。現役時代は10戦6勝。GⅠ勝ちはホープフルSと皐月賞の2つだが、現役時代の存在感はそれ以上のものがあった。4歳秋に天皇賞秋へ向けて調整する中で怪我を負い、その後もすったもんだあって引退。シーザリオ牝系にありがちな体質の弱さを露呈する格好となった。1つ上の世代のステルヴィオ、アーモンドアイと同じくヌレサドニアリーを持ったカナロア産駒で、その中でもカナロア産駒でもこのニアリークロスなら距離が持つというのを確立させた1頭と言ってもいいだろう。ロードカナロアはセクレタリアト、サーゲイロードと同じ牝系出身だが、母シーザリオは母方にハビタットを介してサーゲイロードの血が入っている。ともすればサイズの小さい非力な馬になりそうなものだが、この馬は馬体重が500㌔あってサイズが出ているのは種牡馬としても一つ武器になる。さて、本題のどういった馬が走るかという事に関してだが、配合の観点から見ると、やはり気になるのはヌレサドニアリークロスを継続させるべきか否か。3/4同血の兄リオンディーズは代表産駒のテーオーロイヤルが母父マンハッタンカフェで母父も母母もノーザンダンサーの血を持っていない。母父マンハッタンカフェがキンカメ系で成功しているのは非ノーザンダンサーというのも一因で、交流重賞3勝のサンライズホークも1/4非ノーザンダンサーという形。こういった事を踏まえるとヌレサドニアリーの継続がサッパリダメという事はないだろうが、そこに重点を置きすぎると鈍重なパワー偏重型に出る可能性はありそうだ。となるとサートゥルナーリアの場合でもノーザンダンサーを薄めていくという観点は必要になりそう。母父マンハッタンカフェは当然良いと思うしクリスエスを入れてエピファネイア風味にしていくのもリオンディーズではハマっているので、シンボリクリスエスとの相性も見込める。母父ディープインパクトではやはりサイズ面が気になるところだが、前述の通りサートゥルナーリア自身は馬格のある方だったので、450前後で落ち着いてくれればいいかなという感じ。母父ディープだとセクレタリアト≒サーゲイロードを継続する形になるので平坦大箱向きというタイプは多くなりそうだ。クラシックを狙っていくなら母方からマイラーっぽさは受け継いだ方が良さそうな印象で、ある意味母方が出やすい種牡馬と言えるかも。他にはトニービン持ちとも相性はいいはず。リオンディーズは活躍馬が気持ち牡馬に偏っているところがあるが、これはキンカメにも見られた傾向で、その点この馬も若干牡馬の方が活躍馬が出やすいという可能性はあるかもしれない。

 

2024新種牡馬で最も種付け数を集めたのは223頭のルヴァンスレーヴ。最近はダート系新種牡馬は割と人気を集める傾向があって、モーニンなんかも初年度の種付け数が多かった。父はシンボリクリスエスで母父がネオユニヴァース。親戚にはドバイでも活躍したチュウワウィザードなどもいる。現役時代は10戦7勝でチャンピオンズCなど重賞5勝。56㌔でチャンピオンズCを勝った3歳馬は今のところこの馬だけだ。天賦の才は目を見張るものがあった。サートゥルナーリアはノーザンダンサーが煩いと書いたが、逆にこの馬の場合は父も母父も非ノーザンダンサーで4代母の父ノーザンテーストが持つだけ。比較的ノーザンダンサーが薄いし、全体的に見てもやや淡泊というかクロスは薄目。体型としてはネオユニ曲飛を受け継いだタイプで、飛節に関してはネオユニは本当に影響力が強い。そこにロベルトのクロスを持っていたので1周するコース、小回りが本質的にはベストだったのではないか。三つ子の魂百までならぬネオユニ曲飛百までと考えるなら産駒にも曲飛が伝わる可能性は十分あるし、ロベルトもどちらかと言えば曲飛寄り。こういった産駒が増えてくると必然と好走ゾーンも1周中距離になってきそうだ。産駒の配合に関しては母のクロスが煩い方がハマりそうな印象はあり、デピュティミニスターを入れてノーザンテーストのニアリークロスを作る形はある程度結果を残していきそうだ。他にはIn Realityの継続クロスでパワー的に仕上げる形や、ルファビュリューを入れてWordenを介しWild Riskの底力を強化するパターンも良さそう。そういう意味ではフジキセキとの相性の良さが見込め、エンパイアメーカーでもアベレージを残していきそう。スピードが若干足りない血統構成だからある程度母方からスピードを貰う形はベターになるだろう。ボリクリ×ネオユニというところだけ見れば芝でも走れそうな格好だが、もし芝で勝ち上がれる馬を狙うならサンデーのクロスやストームキャット、ゴーンウエストなどのしなやか系のスピードが欲しいか。特にゴーンウエストはネオユニを介しMixed Marriageのクロスとなるからある程度走ってきても驚きはない。シンボリクリスエスはビックリするくらい活躍馬が牡馬で凝り固まっているが、これはロベルトの特徴でもあってロベルトはどちらかというとコルトサイアー。この馬も牡馬に活躍馬が寄る可能性はあるだろう。

 

前編の最後に取り上げるのは輸入種牡馬からフォーウィールドライブ。父はアメリカンフェロー(綴りが違うので○フェロー×ファラオ)、母父がモアザンレディ。ミスプロのクロスを持つという点からもカフェファラオと配合の要点は酷似している。現役時代は4戦3勝で2歳限りで引退。主な勝ち鞍にフューチュリティSやBCJターフスプリントで1000M、1200Mで好走した。日本では初めてのアメリカンフェローの後継種牡馬で初年度から種付け数は100頭を超えたところも、GⅠ未勝利の輸入種牡馬というやや箔の薄い実績でも期待を集めている。父はエンパイアメーカーの孫産駒だが、アメリカンフェローもその父パイオニアオブザナイルも強いクロスを持っていない。エンパイアメーカーはアンブライドルドの血を強化するような強い構成になっていたので、それを薄める配合だったと言えるわけだが、フォーウィールドライブは逆にウッドマンなどを通じてバックパサーを弄るクロスに持って行った。つまるところ、エンパイアメーカーを弄りに行く形がアメリカンフェローでは成功した形だ。ではこの馬が種牡馬に回ってどうなるか。アメリカでは短距離の芝馬だったが、カフェファラオはダートのマイラーだったし、エンパイアメーカー自体が日本ではちょっとじり脚で時計の決着が…という産駒の成績になってしまっていた。エンパイアメーカー的な面を狙ってアンブライドルドに掛かるクロス、ニアリークロスを狙う手は有効になるだろうが、そうなると現役時代の成績よりも好走レンジはやや長い距離になってくるかもしれないし活躍舞台はダートだろう。父似の快速馬に出すにはアンブライドルドを弄るよりもストームキャットからクロス、ニアリークロスを入れる方向の方がハマってきそうで、カフェファラオが芝のマイルGⅠで3番手から運べたのはストームキャット、サーアイヴァーの速力というのがとても大きかった。この馬の場合は母方にStop the Musicの血が入っているのでヘイローやサーアイヴァーとの相性の良さの下地が詰まっている。なのでマイラーやスプリンターが出るとしたら、ストームキャットとヘイローを弄り倒すような配合の馬だろう。

 

 

こんな感じで前編は終わり。来週に後編でまた3頭ほど取り上げてお話したいと思います。