フィクションです。
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幼稚園の年少
担任だったN先生は
3歳だった私に
はじめての理不尽を
教えてくれた人。
今でも感謝しています。
あのときギリギリ
物心つくかつかないか
微妙な時期の私は
N先生からちゃんと
大切なことを学びました。
大人だからと言って
正しいことを
言うとは限らない。
先生だからと言って
公正で公平な判断が
できるわけではない。
自分にとって
良くないこと
だけではなく
自分にとっては
良いことのように
思えたことでも
後々それは
大人として
先生として
どうだろうかと考える
きっかけをもらいました。
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あの日
私は言い訳をしなかった。
悔しくてたまらなくて
ひとりで泣いたけれど
本当はあの子が
悪かったなんて
言わなかった。
それを言うと
本当は自分が悪いと
知っているのに
黙っているあの子と
同じになってしまう
そんな気がしたから。
それを言っても
もしも先生が
わかってくれなかったら
いよいよ私はあなたを
先生だとは思えなくなる
そんな気がしたから。
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そして大人になって
久しぶりにお会いしたとき
あなたはちゃんと
「でしょうね」な仕上がりの
おばさんになってました。
あのころの私に
ストレートな理不尽を
教えてくれたこと
感謝しています。
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フィクションです。