Hackney Picturehouseで『関心領域/The zone of Interest』(2023) を観たのは1週間前。でも、どうにもブログに書く気になれなかった。実は友人とイースターあけにポーランドの古都クラコフとナチスの強制収容所アウシュビッツに行くことになったので、その「予習としてこの映画は必須」と言われたから月曜割引で観賞したのだが…予想外の展開で「???」と疑問符が並ぶシーンの連続。「鈍感で映画の意味が分かってないのかも」と帰途につく間に考えて、やっと「今の世界を痛烈に批判していたのか!」と気づいたのは約一時間後だった。さて、あらすじは…


   アウシュヴィッツ所長ルドルフ・ヘス (クリスティアン・フリーデル)とその妻ヘドヴィヒ (サンドラ・ヒュラー)は、収容所に隣接する家と庭で家族のための夢の生活を築こうと努めている…

  ヘス家の日常をただただドキュメンタリーのように追う展開なので特別なドラマは無いし、あらすじは簡単。でも、淡々としているのではっきり言って退屈。「隣に座る人には迷惑」と思いながらも十回くらい欠伸をしてしまった。「このシーンの意味は何?」と考えさせられるけれど、その回答は居たたまれないものばかり。そして背後で流れる発砲音や悲鳴、不気味な明るさの広大な庭…アカデミー国際長編映画賞(音響部門も)授賞の際に監督のジョナサン・グレイザーがウクライナとパレスチナに言及したのも、当然だ。この映画で監督が突きつける刃は観客に直接向かうので重い反省を促される感じ。こういう手法があったか、と言う意味で忘れられない映画。でも、ある程度ナチスの強制収容所に関する予備知識がないと何が何だかさっぱり分からない可能性もある(例えばヘドヴィヒが試着する毛皮のコートは裕福なユダヤ人から没収したもの)。

 

ヘドヴィヒ役サンドラ・ヒュラーは『落下の解剖学』(2023) の主役である作家も演じている。彼女の放つドイツ人的強さが印象的

 

ジョナサン・グレイザー監督はジャミロクワイのMVや『Under the Skin』(2013)も手掛けた