Hackney Picturehouseで『Poor things/哀れなるものたち』(ヨルゴス・ランティモス監督、2023)を観たのは大分前の月曜日。しかし、全然おススメではなかったので、ブログに書く気が起こらず…ダラダラして今頃になってしまった。月曜割引でなかったら立腹していたところだ。別の日に観たというイタリア人の友人も似たような感想を述べていて、「何この映画!昔は女性の仕事が無かったからと言って、何も娼婦になるっていう展開にしなくてもいいのに」と怒っていた。恐らくお互いに「誘って見に行かなくて良かった...文句言われちゃうとこだった」と思っていたはず。ギレルモ・デル・トロ 監督『シェイプ・オブ・ウォーター』のようなエログロ系映画は苦手と前から分かっていたのだから、フランケンシュタインの女性版みたいな『哀れなるものたち』なんて止めておけば良かったのに、と後悔した。さて、あらすじは…

 

 ベラ・バクスター(エマ・ストーン)は、型破りな天才科学者ゴドウィン・バクスター博士(ウィレム・デフォー)が生き返らせた若い女性。バクスターの保護の下、ベラは学ぶことに熱中する。自分に欠けている世俗性に飢えたベラは、敏腕で放蕩弁護士のダンカン・ウェダーバーン(マーク・ラファロ)と駈落ちし大陸を巡る冒険に飛び出していく。ベラは時代の偏見にもめげず、平等と解放を支持し目的をしっかりと貫くような女性に成長していくが…

 (IMDbより抜粋)


 女性の「平等と解放」が娼館勤めとは...やれやれ。全裸セックスシーン連続のエマ・ストーンの体当たり演技は認める。でも、どうしてもこの映画に深く深く埋め込まれた男性目線が気になる。『マイ・フェア・レディ』(1964)の下敷きとなったピグマリオンから脈々と続く「男が教育する無知な女」像、あるいは『メトロポリス』(1927)から延々と描かれる女性は半人前というか半分人間ではない(ロボット、アンドロイド、レプリカントなど人造人間)という扱いはどう?もし『バービー』のように監督が女性だったとしたら物語は随分と異なる形になっていたのでは。シュールレアル的な色遣いや建物、客船などのデザインは見所と言えるけれど...リアルな手術など目を背ける場面が結構ある映画はともかく苦手。