"The way to know life is to love many things” (人生を知る方法は沢山のものを愛することだ)

 Vincent Van Gogh

 

  金曜日オフィスの仕事のあと、帰宅途中のリバプール ストリートで開催中のThe Van Gogh Exhibit: Immersive Exprience (ヴァン・ゴッホ没入体験展) に立ち寄った。同僚が10代の娘さんと行った後に「とても良かった。是非5ポンド余計に払ってでもヴァーチャル体験を試すべき」と言っていた。ただ、展示物がレプリカである割に入場料が高いので (約25ポンド)よく展覧会に一緒に行く友人が渋り、一人で行くことに。とは言え平日夜の入場料は20%ほど安く設定されているのでオススメ。

 

   昔アムステルダムのヴァン・ゴッホ美術館で数々の名作の実物を鑑賞した時、この画家が自分の気持ちを絵を通じて訴えてくることに衝撃を受けた。特に感動したのは花咲くアーモンドの木の枝。単に綺麗なだけではなく、弟テオに子供が生まれた際の贈り物なので、自分を支えてくれる弟に対する感謝と深い愛情が伝わってくる絵だった。背景のターコイズブルーが暖かく、観るものの心に火を灯してくれる。ヴィンセントの死後、後を追うように6ヶ月で亡くなったテオが兄の墓の隣に埋葬されたのは有名な話だ。ただし何故かレプリカからはヴィンセントの気持ちが伝わって来なくて残念。

 

  その代わり、この展覧会の目玉はヴァーチャル・リアリティー[VR]の街と最後の大ホールで見せるアニメーション。今年指導した修士の学生が卒業論文でこの展覧会のVRをケーススタディに使っていた。また、学部3年生で「メタヴァース」について書いた学生がいたのでゴーグル型のヘッドマウントディスプレイは知っていたが、実際装着するのは初めてだった。ところが、着けてみると視点が自分の背よりかなり高く設定されている(3m位)上に、高速で移動する時に加速度付きなので結構怖い。スムーズなジェットコースターに乗っているか、或いは自分がドローンになったかのような錯覚を覚えた。10分程度と短かったけど空腹だったので気分が悪くなる直前に終わって助かった。それでも、ゴッホが描いたヴァーチャルな街の360度3Dは得難い経験。一方、最後のアニメーションはゴッホの絵を動かすので (一番下の動画参照) 色鮮やかで心地よく「いつまでも見ていたい」と思った。空腹じゃなかったら寝ていたかもしれない。よくイギリス公園や海岸で見かける折り畳み式デッキチェアーもゴッホの絵を布地に使っている。

 

 総じてこの展覧会は行った甲斐があった。世界各地で開催中なので日本にも上陸するかも?角川武蔵野ミュージアムで開催中のデジタルアート展「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」とは違う展覧会らしいので…

 

 

エントランスは自画像だけ      向日葵ばかりの部屋
 
2次元の絵から3次元のゴッホの部屋を再現     精神病院のインテリアを再現
ゴッホの絵の布を使ったデッキチェア

展覧会の予告動画

最後の部屋の動画(圧縮したので解像度低)