小池百合子都知事をリコール(解職)請求するには | なか2656のブログ

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(朝日新聞10月22日付より)
1.小池百合子都知事が「希望の党」代表となり「二足のわらじ」に
小池百合子氏は2016年7月31日の都知事選挙で勝利し、同年8月に都知事に就任しました。その後、小池氏は地域政党「都民ファーストの会」代表として2017年7月の都議会選挙でも圧勝しました。そして、その代表を退いた小池氏はつぎに国政政党「希望の党」の代表となり、同年10月22日の衆議院総選挙を戦いましたが惨敗しました。

このようなさまざまな活動のなか、小池氏の都知事としての職務には多くの批判が集まっています。築地市場の豊洲への移転問題にあたっては、最終的な判断を数人の側近とのみで決定しその独裁的な手法が批判されています。またその際の議事録などを一切残していない等、情報公開に極めて後ろ向きの態度も批判されています。

また、小池氏が都知事と希望の党代表を兼任する「二足のわらじ」状態となったことにより、例えば小池氏が「築地再開発検討会議」を冒頭7分で退席して選挙運動に行ってしまうなど、都知事の職務の滞りを懸念する声も高まっています。都庁には9月より、苦情の電話がのべ約750件、メールは千件寄せられているとのことです(「小池氏失速、どうなる都政「二足のわらじ」に懸念も」日本経済新聞2017年10月25日付)。

このように、小池氏の都知事としての仕事ぶりやその資質は、極めて問題が多いといえます。

2.リコール(解職)請求の手続きなど
このような知事に対しては、まず都議会は百条調査権(地方自治法100条1項)や、知事に対する不信任決議を行うことができます(178条1項)。(都民フが多数派の現状では困難ではありますが。)

つぎに、住民は知事の金銭の使い方などに関して住民監査請求(地方自治法242条)や住民訴訟(242条の2)を行うことができるだけでなく、リコール(解職)請求を行うことができます(81条)。

具体的には、住民のうちその有権者の一定以上の者の連署をもって、その代表者から選挙管理委員会に対して知事の解職請求を行うことができます。この一定の者の人数ですが、有権者の総数が80万人をこえる場合は、そのこえる数に8分の1を乗じて得た数と、40万に6分の1を乗じて得た数とを合算して得た数以上の人数とされています(81条1項かっこ書き)。

つまり、現在の東京都の有権者数は約1130万人(2017年9月現在・東京都選挙管理委員会)であるので、約136万人の署名があれば、リコール請求を東京都選挙管理委員会に請求することができます。

ただし、このリコール請求は、知事が就任した日から1年間は行使することはできませんが(84条)、冒頭でみたとおり、小池氏の都知事就任からすでに1年以上の期間は経過していますので、連署が集まれば請求できます。

リコール請求がなされると、有権者による投票が行われ(80条3項、81条2項)、過半数の同意があった場合は知事はリコール(解職)となります。

100万人を超える署名を集めることは困難ではありますが、しかし都民によるリコールの署名活動の機運がもし高まれば、小池都知事を早期に辞任させることができるかもしれません。

■参考文献
・宇賀克也『地方自治法概説 第7版』335頁

■関連するブログ記事
・小池都知事の国政政党「希望の党」の代表の兼務は許されるのか?

地方自治法概説 第7版