本日は、仙台支店で新薬の研修と試験
この新薬が出る頃には私はオサラバしている予定なんですが、一応真面目に勉強しています。
で、私も研修中に思っているし、
ドクターとお話ししても思うことなんですが、
医学に絶対という言葉はありません。
よく、新聞の下の広告欄に
「◯◯で糖尿病が良くなる!」
とか
「◯◯で癌が消えた」
とか
「医者は知らない◯◯の治療法」
とか
全部ひっくるめて…
まあ、治ることも稀にあるでしょう…
稀にね(医学用語の稀というのは発生頻度が0.1%以下の事を指します)
でも、逆に言うと「その治療法で絶対に治らないというわけではない」のです。
「ある」というよりも「ない」といいうことを証明する方が難しいですからね
今勉強している脂質異常症(高コレステロール血症や高トリグリセリド血症などの総称)も
LDLコレステロール値140mg/dLを越えると脂質異常症と診断されるし、
脂質異常症の患者さんは、この140mg/dL以下を目指して治療をします。
じゃあ、この140mg/dLを下回れば心筋梗塞や脳梗塞が起こらないか…というと
起こります
コレステロール値の140mg/dL
糖尿病の126mg/dL、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)6%
高血圧の140mmHg
全てこれらの基準以下だからといって、
絶対に脳心血管疾患が起こらないわけじゃないんです。
起こらない確率が統計学上 高い…というだけで、
絶対に起こらないとうわけじゃない。
逆に、基準値以上では、起こる可能性が高いですが
絶対に起こるわけではないのです。
「医学に…というか、人体に絶対に…ということは存在しません」
なので、いわゆる西洋医学を否定したい人は
「◯◯を飲んで治療したけど治らない場合がこんなにある(そらあるだろうな)」
でも
「治らなかった人が△△を飲むと◻︎◻︎を実践すると治った(まあ、治ることもあるだろうね)」
って仰いますが、
それを実践した人がどれだけいて、同じ条件で実践しなかった人と比較して、どれだけの確率で良くなったのか…が大事なんです。
「稀に治ることもある」
その程度です。
絶対ではありません。
医療は公共の福祉サービス
という側面があります。
公共の ということは、
どれだけ多くの人が
より健康的に生活ができるか?
ということが大事ですし、
特に健康保険というシステムを持っている多くの先進国にとって
限られた原資である保険料を
いかに効率よく分配するか
いかに多くの人に健康で過ごしてもらえるか?
これが大事なのです。
この時期になると必ず出てくる
インフルエンザをはじめとする ワクチン不要論。
確かに、効果がないと結論付ける論文もあります。
それをもって 声高にワクチンは効かない、不要だとする方もいらっしゃいます。
まあ、その急先鋒のドクターは保険医を剥奪されてますから 高額な自己負担金を支払い来てくれる顧客や、自身のサイト経由で健康食品を買ってくれる顧客を喜ばせればいいんでしょうが....
しかし、ワクチンが有用であると結論付けている論文は山のようにあります。
この相反する結果はどうして導かれたのか?
効果が出るのに 特定の条件があるのか?
それを論じるのが医師をはじめとする
科学者の矜持ではないか?と私は思うのです。
科学的証拠 といわれる試験方法にも
ランキングがあります。
一番ランキングが高く
信憑性がある試験方法として挙げられるのは
同じ疾患、同じ治療に対する論文を複数集めて
統計学的に条件を調整し
本当にその治療法が効果があるのかどうかを調べる『メタアナリシス』という方法です。
相反する結果はどうしてもたらされたのか、
何か結果を大きく左右する因子があるのではないか?
このメタアナリシスのように、
いろんなデータを調べて、
相反する結果も踏まえて、
この方がいいですよ
と提示してくれるドクターと
自分の考えを支持する論文のみを持ち出すドクターと
どっちが信用性が高いか?
どう思われますか?