車もどうやら嫉妬するようだ。そろそろ乗り換えようかな、などと他の車のカタログを見ていると今の愛車が駄々をこねるように言う事を聞かなくなる。
神秘的なことだよね、機械なのにって言っちまえばそれまでのことだし、合理主義全盛の時代さ、ないと言われればないのかもしれない。
ただあれとは誰よりも素晴らしい景色を一緒に観てきた。マシーンのクセに誰よりも俺と一体だった。20万キロ以上乗ったのはアイツと俺のひとつの誇りだった。
自分、あまり色んな車を取っ替え引っ替え乗るような人間じゃないのでね、それなりの愛着を持って永く付き合ってゆくタイプさ。ましてイヤイヤ運転してるんじゃなくて好きな車ならなおさらさ。
不良中年も家族を乗せなければいけないのでね、いつまでも2シータースポーツクーペを足代わりにとはいかない。
愛車もここのところトラブル続きだった、故障したり、踏んだり蹴ったり。
ただ、間違いなくアイツと最高のドライブをしている時、幸せだった。いつまでも愛してる。
