八海山(1778m) | 杏下庵

杏下庵

ブログの説明を入力します。


上越国境の三国山脈を清水トンネルで超えてきた上越線が、越後湯沢駅に到着する。川端康成の『雪国』の舞台である。ここから列車は大きくカーブしながら魚沼川に沿って下る。次の石打駅手前で、越後三山の一つ、八海山が見えてくる。続いて、八海山と対照的になだらかな山頂をみせてくれる越後駒ケ岳(魚沼駒ケ岳)がその右手奥に現れるが、山頂がはっきりわかるのは大沢駅手前のわずかな区間である。大沢駅手前では、前山の陰から中ノ岳がひときわ大きく現れ、三山全てを見ることができる。越後三山とは、八海山 (1778m)・越後駒ヶ岳(2003m、魚沼駒ヶ岳とも呼ぶ)・中ノ岳 (2085m)の総称である。塩沢駅ではすでに、駒ヶ岳が八海山の裏に入ってしまい、六日町駅では手前の坂戸山に全山隠れてしまう。次の五日町駅に近づくと、前山を従えて八海山が大きく現れる。ここまでくると、駒ケ岳は裏に入り、中ノ岳もたんなる稜線上のこぶのようにみえる。
ところが、次の浦佐駅まで行くと左から駒ケ岳、中ノ岳、八海山となり順番が変わってくるのである。越後三山は、直線上ではなく、水無川源流を囲むように位置しており、一番奥にある中ノ岳を頂点として、二等辺三角形のように八海山と越後駒ヶ岳が位置している。したがって、越後湯沢から大沢駅付近では、左から八海山、奥にある駒ヶ岳、中ノ岳という順番で見えるのだが、五日町駅を過ぎると、駒ヶ岳が一番左手に来るようになり、中央奥に中ノ岳が見えるようになる。このように、上越線でもその位置により、三山の見える位置が次々に変わるというこの変化を楽しむのは、鉄道の旅の一つの楽しみでもあろう。ここでは日本百名山である越後駒ケ岳でなく、八海山を取り上げたのは、鉄道に近く、特に五日町駅付近からは頂上付近の岩峰が険しさを強調している。