遺言執行者が包括受遺者の場合 | 名古屋市の登記専門司法書士 相続・不動産・会社登記ブログ

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遺言執行者を包括受遺者とする遺贈の場合、所有権移転登記の申請人は誰か?

Aさんが
「遺言者Aはその所有する財産全部を包括してBに遺贈する」
「遺言者Aは遺言の執行者としてBを指定する」
という内容の公正証書遺言をのこして亡くなりました。
この場合、Aさんの所有する不動産の所有権移転登記の申請人は誰になるのでしょうか?
※Aさんの法定相続人は兄弟姉妹のみであり、
遺留分減殺請求権を行使される可能性はないものとします。



遺贈による所有権移転の登記は、
共同申請の原則に従い、特定遺贈、包括遺贈のいずれについても、
受遺者を登記権利者、遺贈者を登記義務者とする共同申請によるべきものとされています。
その場合、遺言執行者が遺贈者の代理人となり、
遺言執行者がいないときは、遺贈者の相続人全員が登記申請義務者になるとされています。
受遺者を遺言執行者に指定することもでき、その場合には、
登記の申請は民法108条ただし書にいう債務の履行に準ずべきものなので、
遺言執行者は、登記権利者たる受遺者及び登記義務者たる遺贈者の代理人として、
遺贈による所有権移転の登記を申請することができます
(大9.5.4民1307民事局長回答・先例集上454頁、質疑応答・登研307号78頁)。

つまり、上記の事例では、
Bさんは受遺者(登記権利者)でもあり遺言執行者(登記義務者)でもあるため、
共同申請の形式をとりますが、実際にはBさん一人で登記申請を行うことが可能となります。

遺贈を原因とする所有権移転登記の登録免許税は、
課税価格の1000分の20ですが、
相続人に対して遺贈する場合には、
相続による所有権移転登記に係る税率(1000分の4)が
適用されます。
つまり、上記の事例でBさんがAさんの法定相続人以外の第三者であった場合、
登録免許税率は1000分の20ですが、仮にBさんがAさんの法定相続人であった場合には、
登録免許税率が1000分の4に抑えられることになります。
ただし、この場合、遺言により相続人以外の第三者に遺贈する場合の登記に必要な添付書類に追加して、
相続証明書(戸籍謄本等)が必要となりますのでご注意ください。

参考文献:「設問解説 相続法と登記」 日本加除出版(株) 幸良秋夫




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