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自筆証書遺言で財産を譲るときに使われる言葉として「相続させる」「遺贈する」「譲る」「与える」「渡す」「分ける」「所有させる」など、いろいろな文言があります。これらの言葉は、遺言者の財産を特定の人物に譲るという意味合いは同じですが、相続手続きにおいて違いがあります。
今回はこのうち、よく用いられる「相続させる」と「遺贈する」遺言のケースをご説明します。
1. 不動産の相続登記
不動産の相続登記をする際に、「相続させる」遺言であれば、遺言により財産を貰った相続人が単独で登記申請ができます。
一方、「遺贈する」遺言により相続人が財産を貰った場合には、その相続人と、他の相続人全員または遺言執行者とが共同で登記申請をしなければいけません。他の相続人が遺言内容に同意して登記申請に協力してくれれば良いのですが、協力を得られない場合には家庭裁判所にて遺言執行者の選任手続きをするなど、手間がかかることになります。
ただし、相続財産の全部を包括名義で贈与する遺言で、処分を受ける者が相続人の全員である場合には、所有権移転登記は「相続」を登記原因とします。(昭和38年11月20日民事甲第3119号・民事局長回答)
2. 登録免許税
相続登記における違いとして、登録免許税があります。
「相続させる」遺言であれば、固定資産評価額の0.4%です。
登記原因が「遺贈」の場合、登録免許税は固定資産評価額の2%になります。ただし、「遺贈」を受ける者が法定相続人である場合は、登記原因が「相続」の場合と同じ固定資産評価額の0.4%でよいです。
3. 農地
農地を「遺贈する」遺言の場合、包括遺贈の場合を除き、農地法3条の許可が必要です。農地を遺贈された者が農業従事者以外で許可を受けられないと、遺言があっても農地を取得することができなくなります。
一方、「相続させる」遺言の場合は、農地法の許可は不要です。
以上のような違いから、「相続させる」遺言の方が処理がスムーズに済むので、法定相続人へ財産を譲る場合は「相続させる」文言を使ってください。
冒頭にあげた「譲る」「与える」「渡す」「分ける」「所有させる」などの文言は、ケースバイケースで「相続」と「遺贈」に解釈がわかれトラブルになることもあるので、使わない方がよいです。
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