弁護士 杉浦 恵一
少し前からですが、ここ数年、相続税が増税されるという話が浮上しています。今のところ、はっきりとは決まっていないようですが、何年も同じような話が出ていますので、相続税の増税は、日本政府の規定路線と考えてもいいのではないでしょうか。
現在では、相続税の基本的な控除額は、「5000万円+1000万円×(法定相続人の人数)」となっています。具体例を挙げますと、父が亡くなり、法定相続人が妻と子供3人であれば、妻と子3人の合計4名が法定相続人ですので、5000万円+1000万円×4=9000万円と計算できます。
この数字がどのような意味を持つかと言いますと、法定相続人が4名いる場合には、父の遺産の総額が9000万円を下回っていれば、相続税がかからず、相続税の申告もしなくていいというものです。
高齢化・長寿化が進み、退職後の生活や介護にお金がかかる昨今、亡くなった際に5000万円を超える遺産が残っている方は、なかなかいらっしゃらないかもしれません。
そのため、現在の相続税の仕組みでは、それほど多くの方が相続税を支払っている訳ではありません。
平成24年に国税庁(名古屋国税局)から発表された、平成22年分の相続税申告に関する資料によれば、亡くなった方のうち相続税が課税されたのは、名古屋国税局管内では約5.8パーセント、全国平均では約4.2パーセントにとどまるようです。
つまり、相続が発生したとしても、大半の方は相続税を申告するまでもないという状況になっているようです。
相続税を申告する必要がなくても、遺産があれば遺産分割をする必要があります。ただし、遺産分割には期限はありませんので、話がまとまらない場合にはいつまでも話合うことができます。
しかし、相続税の申告及び税金の納付は、ひとまず亡くなってから10か月以内に行わなければなりません。
このような違いがありますので、相続税が発生する場合には、余裕がないと言えます。
相続税の問題を考えた場合の遺言執行者については、また次の機会にご説明したいと思います。
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