「『学力』の経済学」(中室牧子著)から、「日本人の9割が知らない遺伝の真実」(安藤寿康著)へ | 名古屋市,愛知県の弁護士・税理士|より良いサービスを目指して経営品質を学ぶブログ

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2018年11月から2019年1月にかけて、この2冊の本を読み、さらに行動遺伝学あるいは行動経済学的な本数冊を読みました。

このように読み進めたのは、「私の『人』への理解不足」を痛感したからです。

中小企業経営者の悩みの大半は、売上と人事です。しかも、この2つは密接に関連しています。
そして、その基礎にある問題が経営者の「『人』への理解不足」にあります。

私は、意識するか無意識かはあるとして、多くの中小企業経営者は多くの経験と悩みを抱えて、この難問題を乗り越えて成長していくものと思います。

 

 

ところで、これらの本を精読するに至ったきっかけは、「教育に科学的根拠を」と提唱する教育経済学者 中室牧子氏(慶應義塾大学総合政策学部准教授)の講演が中部経済同友会で2018年11月にありました。

私も会員ですが、普段は欠席が多いのです。が、事務所の人材育成を考えるに、また子どもの育て方を含めて今まで人の育て方にあまりに無知であったことから、真面目な気持ちで講演を聞いてきました。

その後、中室牧子氏の著書の「『学力』の経済学」(2015年6月18日)を購入して精読しました。

中室牧子氏の講演内容は、この著書に添う内容で、家庭で行うべき教育方法と日本がとるべき教育政策について述べられました。

講演も著作も、海外で実際に行われた実験結果というエビデンスを根拠にするもので説得力の高いものになっています。

内容の一部をご紹介すると

 

  • 『テストでよい点をとればご褒美』と『本を読んだらご褒美』ーどちらが効果的?
  • 『頭がいいのね』と『よく頑張ったわね』ーどちらが効果的?
    • 『あなたはよく頑張ったわね』と努力を称賛するメッセージを伝える。
    • 子どもをほめるときには、もともとの能力ではなく、具体的に達成した内容を挙げることが重要
  • 『勉強しなさい』はエネルギーの無駄遣い
 

一歩学校の外へ出たら、学力以外の能力が圧倒的に大切だというのは、多くの人が実感されているところではないでしょうか。

著者が重要と定義する非認知能力とは、IQ や学力テストで計測される認知能力とは異なり、「忍耐力」「社会性」「意欲」「自制心」などの生きていく上で必要となる力です。

  • 非認知能力は、①学歴・年収・雇用などの面で、子どもの人生の成功に長期にわたる因果効果を持ち、②A教育やトレーニングによって鍛えて伸ばせる。

非認知能力を鍛える方法では、しつけを受けた人は年収が高く、しつけは勤勉性という非認知能力を培う重要なプロセスだということです。

そのため、非認知能力を過小評価してはいけない、その例として、目の前の定期試験のために部活や生徒会などをやめさせることには慎重であるべきです。

 

ところで、中室牧子氏の著書「『学力』の経済学」(2015年6月18日)に対抗するかのように、同じ慶應義塾大学の文学部教授の安藤寿康氏が「日本人の9割が知らない遺伝の真実」(2016年12月5日)を出版されていました。

安藤寿康氏は行動遺伝学者です。行動遺伝学とは、見えにくい能力や性格への遺伝の影響を明らかにする科学です。

誰もがある一定の教育を受けている現代、個人の能力の差が遺伝による影響を大きく受けている、能力、病気、収入に至るあらゆるものに遺伝が影響しているということについて、この書籍では伝えています。

まず、非相加的遺伝効果を説明されてから教育論を展開されています。

相加的遺伝というのは、1つ1つの遺伝子の影響は小さいけれど、それらが累積すると効果が大きくなる、そういう遺伝パターンのことです。一方の非相加的遺伝は、相加的遺伝では説明のできない遺伝パターンを指します。

ポリジーン遺伝(Polygenic inheritance)は、沢山の遺伝子による要因が一つの形質に影響を与えることを指す生物学用語。 多因子遺伝とも呼ばれています。

 

非相加的遺伝やポリジーン遺伝

この遺伝様式は、進化の過程でなぜ適応に不利になるような遺伝子が今に至るまで生き残っているかを説明する1つの可能性を示唆しています。

アフリカや地中海沿岸には鎌状赤血球貧血症という遺伝病があります。これは一対の遺伝子のペアが「aa」のときのみ発症し、「AA」だと発症しません。

発症すると成人までに死に至るほどの重い病気です。そんな重い病気にかかわる遺伝子ならば、進化の過程でこの「a」は淘汰されてなくなってしまいそうなものです。

ところがなぜ今も残っているのか。

それは「Aa」という組み合わせでaが使われると、この地域に多いマラリアにかかりにくくなるからなのです。

非相加的遺伝効果、鎌状赤血球貧血症の遺伝子は、同時に抗マラリア遺伝子であるわけです。

まさに評価が白黒正反対になる場合すらある。

適応に不利な遺伝子かと思っていたら、それが組み合わせによっては、適応に有利な遺伝子としての働きのほうが強くなるのかもしれない。

 

環境と遺伝

年齢が上がるにつれ、その共有環境(家庭)の影響はどんどん小さくなり、かわりに遺伝の影響が大きくなって、最も働き盛りになる45歳くらいが遺伝の影響のピーク(50%程度)になり、共有環境はほぼゼロになるといいます。

親の七光が通用するのもはじめのころだけで、だんだん独り立ちして自分の実力が問われるようになるにつれて、その人自身の遺伝の影響が強くなる。

環境が形質に与える影響はあくまでも一時的であり、長期的な持続性は遺伝の影響の寄与が大きいと考えられるのです。

 

遺伝的才能を開花させるための経験

(中室牧子氏が著書で引用して展開している)ヘックマンが示したのは「地道」で「まじめ」な生き方への効果です。

私たちの社会は、子どものときに見出すことのできる個人の傑出した才能だけで成り立っているわけではありません。

社会に出て他人と協力しあい経験を積みながら、その中で出会った一見目立たない細部の中に自分の遺伝的才能を見出して、それをし続けることでなにかをなしとげることの方が圧倒的に多いのです。

 

このように、遺伝の影響はとても大きく、それも大人になるに連れて、年を取るほどに大きくなるとのことです。

子どもの頃にどれだけ英才教育をしても、それが生かされるのは若いうちだけであり、大人になるにつれて遺伝の影響が色濃くなり、その人の本質的なところが強く出てきます。

そのため、子育てをする上で一番大切なことは、子どもの頃からいろいろなものに触れ、たくさんのことを経験させる中で、その子にはどういう才能があり、どの部分を伸ばしていくのが良いのかをきちんと見出し、それを開花させることだそうです。

 

 

この 2 冊の本を読むと、人間の生涯の豊かさを決めるのは、「遺伝」,「適性」でもあるし、「教育」、「研鑽」でもあることがよくわかります。

人の育成について、そして、人についてずいぶんと考えさせられ、人の理解にはとても良い本でした。

私は、常に変化する社会の中でこれからを担う人材を育てるため、そしてそれぞれ個々の力を引き出すために、その人の仕事・職務との適性さも望まれるし、また、自己成長するためには「教育」「研鑽」も求められていることは確かであると思います。

「遺伝」「性格」「能力」と「適性」を考えながら、『各人のオーダーメードの人材育成法』を考えながら適切柔軟に対応して、人の育成に尽力していくことが必要と思いました。

そのために、人の育成には、根気がいること、時間をかけることと、適切な担当者・コーチと予算が必要だということを強く認識しました。

 

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