苦いデビューにしては、周りの方たちのお陰で楽しめた。 | なごみカルチャー

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永年培ってきた「伝統文化の知恵と工夫をいまの暮らしにー」をテーマにしてイベントやセミナー、講習会を行っています。その内容を楽しく伝えていくブログです。

先週の日曜日、恒例の各流派のチャリティー合同茶会が大阪美術倶楽部で開催された。いつもなら三席ほど気軽に立ち寄り、一服楽しませていただくのたが、今回はそうはいかなかった。

初のお手前に加えて水屋からのお運びをすることに。お客様の誘導とか裏方の荷物運びならそれなりにこなせるのだが、宗匠から業務命令としてお沙汰が下ると新人には有無が言えない。

本番の3日前に、今回デビューする人たちだけの稽古があった。私たちの「易社」グループからは2人。他のグループからも集まり8名位でお手前とお運びの稽古を繰り返し行った。

さて、本番当日、私は午前中用事があり午後からの入り。会場に到着すると、仲間は午前中、すでに何席か済ませ初舞台を踏んでいた。到着するや否や「次は渡邉さんのお手前の番ですよ」と宗匠から声がかかった。
「そんな無茶な!」と心の中で叫んでみたものの出るしかない状況に置かれた。

お手前の席に付くと、お手前の順番を思い出していた。
「一煎、さしあげます」。という言葉掛けを忘れ手がすでに動いていた。が、一煎目を入れたときに、半頭が側に来て二煎目の湯をとっててください、と小声で指示をしてくれた。

二煎目を急須に注ぎ、半頭が急須を取ってお客様のところへ。しばらく待った。美味しかったのか、どうなのかお客様の反応が全く見えてない。様子を窺う余裕がない。二煎目の茶碗が戻ってきた。これで終わりだとホッと胸を撫で下ろしていると、席主の宗匠から茶碗を伏せて最後の言葉を、という声がかかった。

そうだ忘れていた。思い出したかのように「お退屈様でした」を発して席を立った。苦い苦いデビューだった。

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