VOL86『赤の力をかりて』
ビーズと着物の小粋なカンケイ kaikoのきもの秋便り2019
前回の更新からあっという間に夏をまたいで、秋。
「赤」のチカラをかりたくて、インド更紗のパスケースと小物入れを
肌身離さず(笑)実家との行き来が続いています。
歳月を得てきたこの赤に気持ちをなだめてもらうのです。
台風や大雨の被害が続いて、心が重たい日々。
何かに、あるいは何かを、祈りたくなるような日が、
皆さんにもきっとあることと思います。
心を助けてくれるひと、もの。大事にしたい秋です。
季節をちょっと巻き戻しまして、、、
前回登場したお稽古さん、宣言通り、転勤先の
シンガポールで、ご主人と一緒に浴衣を着て、
写真を送ってくれました!
こういうことがとても嬉しく、励みになります。
というわけで(勝手にこじつけ)、
若く賢く美しい人たち(お稽古さん)シリーズ
第二弾はこの方↓
この夏、おばあさまに教わって浴衣を縫ったお稽古さんです。
見事美事。なんとも涼やか。水際だった美しさでした!
お稽古さんたちに力をもらって、この秋は、
プライベートでもきものを着ます!!
Vol85『私は猫にマークされている』
私は猫にマークされている
実家にいる白ネコ黒ネコの、黒い方。虎柄のたてがみ(!)をもつ、がっしりとした、毛の長い雄猫である。ヤマタノオロチみたいに割れた尾をゆっさゆさ揺らして歩く。これが廊下や机の上に寝そべっていると、アザラシか!モモンガか!とツッコミを入れたくなるようなユニークな形状。体格もよいが、面構えもなかなかな男前。トイレ掃除が必要だと言いに来るし、各ドアノブの開け方も覚え分け、人の目にぴたりと照準を合わせてくる思慮深げな顔を見ていると、何やら、こちらが見透かされているような気にもなってくる。
日中はそれぞれが好きな所にいて、姿が見えないこともある猫たちだが、明らかに、クロの方が母にご執心だ。気付くと、廊下からじっと母を見ている。母にまつわりついて、母の腕を絡め取ったり、かじったり。時折、母の顔をうっとりと見つめるその顔、まるで恋人を見るようではないか。
ついに、確証を得る出来事があった。
「にゃあ」。ほら、ほら、きょうも。母と電話していると、決まってやってくるのである。
この日、実家で問題勃発。4回ほど母とやりとりをした。その都度「にゃあ」がやってくる。
「どっち?」「クロ」「またクロ?」「そう」「クロ来たーっ」。
深刻な話をしているのに、しまいには母と笑ってしまった。忙しいヤツよ。いくら母を好きだからって、4度は異常事態ではないか。
この少し前、妹も母と話したと言うが、クロは現れなかったそうだ。夜遅く寝る前にも母に電話。「んにゃあ」。5度目のクロ登場である。
これでいよいよハッキリした。わたし、クロにマークされてる!
・・・失恋した気分。小さなクロを一目見た時から好きだったのに。もしかしたら、クロもこちらを憎からず思っていて、毎度の「にゃあ」は抗議でなくて、親愛の情だったりしないかしら、と自分に都合よく妄想を膨らませていたが、それはないな。ないんだな。
クロは、わたしから母の心を取り戻しに来る。でもそれだけか。クロは母を守り、寄り添ってくれているのかも。この日の電話だってそうだ。母はうちひしがれていた。時間と安らぎを奪われ続けていると悲観にくれていた。クロは母が好きだから、母の心の波長に敏感なんだろう。
母は何度もやってくるクロに「クロ、おかしいねえ。きょうはどしたの?」と言っていたが、クロこそ「お母さん、きょうはどしたの?」であろう。
わたしはクロにマークされている。それでもいいや。クロがやってくると母が笑う。シロもまたその天然っぷりで母を笑わせている。問題の主(父)もまた、シロクロの姿を見ては目尻を下げている。
実家の小さな安らぎを、このネコたちがつくっているのだ。
ネコは、ニンゲンの思惑の外で、ただネコを生きているだけだとしても。
ビーズとキモノの小粋なカンケイ
~kaikoのきもの便り令和初の巻~
いきなりのラッキョです!美人でしょ?
宮崎のきもの仲間から土地の実りとともに届きました。
料理上手の友人に元気をもらって、
彼女がブログにアップしていた半幅帯の結びを真似してみました。
こんなだったような。浪人結びの変形です。
こちらはかわいいお稽古さんと!
7月にシンガポールへ。ゆかたでニューイヤーを目指す彼女。
それならば、、、とゆかたで新しい出発を祝う会をしたのでした。
初めてのゆかたでお出かけを軽々とクリアする美しい若いひと!
楽しい時間をありがとう。
Vol84『どのように生きたら』
『どのように生きたら』
お稽古さんのおじいさまが亡くなった。
葬儀から戻ってきた彼女のメールにいわく、
おじいさまは、布団の上で座したまま、朝日を眺めながらの最期だったらしい。
「我が祖父ながら、あっぱれな最期。親族皆明るい気持ちで葬儀を執り行うことができました。感謝しかありません!」。
すごいなあ。涙がだーっと出た。
すごいなあ。朝の光に向かって昇っていったじいちゃん。あっぱれと孫に言わせるじいちゃん。残った人々に敬われ、感謝されるじいちゃん。心の底から羨ましい。
どのように生きたら、そのような死を受け取れるのだろう。
どのように生きたら、どのように生きたら。
そんなの、分かるわけないのに、それなのに、愚かにも、そう思ってしまう。
そのような、すぱりとした死を、どうか!と、愚かにも、願ってしまう。
あー、ニンゲン(わたし)は困ったものです。今生きているということに感謝もしないで!
ビーズとキモノの小粋なカンケイ
kaikoのきもの便り 2018年師走の号
先に更新した2019年1月号が、一つ飛ばしのvol85だったこと、
お気づきでしょうか。
2018年をしまい忘れたので、ひと月戻ってvol84です!
昨年は「母のアメリカ行き」が叶い、私は父と実家、妹は母の案内と、
それぞれ大役?を果たした、忘れられない年になりました。
凝り性の妹、すごく素敵なアルバムを作りました。
母はこんな顔をする人だったのか!母自身も驚くような素敵な顔をして写っています。
遺影にする!だって(笑)。涙が出ちゃう。
戻ってくれば、ゲンジツは容赦のないところもあり、お年頃のわたしも、
東京に戻るやギックリ腰やらギックリ首やら、不調続出で消沈しておりましたが、
新年号でも登場したお姉さん(あこがれの先輩できものの友です!)が何かとお誘いくださるので、
きもので一緒に出かけてはお茶道具や絵画を楽しみ、きものときものの縁に守られているような気がしたものでした。
その中の一枚。師走のはじめでもこの紅葉!
これを、しまい忘れた2018年のベストショットに勝手に認定します!
そして、すぐに忘れてしまうけど、今生きていることに感謝します。