坂本花織が自分の性格や人となりを自分自身でしっかり理解した瞬間がある。己を知ることで坂本はぐ~んと強くなった。それは2022年のグランプリファイナルである。
2020年~2021年シーズンに入る以前の坂本は2017年の四大陸選手権で優勝はしているものの、そのほかの主要な大会は4位、5位、6位など、いまひとつパッとしない成績だった。
が、前回オリンピックシーズンである2021年~2022年シーズンは飛躍のシーズンとなった。オリンピックは個人銅メダル、日本選手権は3年ぶりの優勝、世界選手権でも初めて勝ち、世界女王になった。それだけに、いわゆる燃え尽き症候群のようになり、翌シーズンは前半、なんとなくズルズルと参戦している感じで戦っていた。目標を見失った小鳥のように。
そのシーズンのグランプリファイナル、そう、先に書いた2022年のグランプリファイナル、結果は6人中5位。日本女王が、そして世界女王がぶざまな試合をおこなった。坂本はショックのあまり大泣きに泣いた。悔し涙を流したあと、心機一転、心を入れ替えた。己を見つめ直したのだ。
自分は確かな目標を掲げてやらないとモチベーションが下がる一方なんだと、やっと気づいたのだった。
そこで坂本は世界女王の座を死守することを最終目標にした。すると、練習もいっそう身が入ったし、成績も上向きだしていった。まず、日本選手権を優勝し2連覇、代表入りを一発回答して気合は上向きに上昇、そして世界選手権を2連覇することができた。
女子シングルシニアカテゴリーのエースという自覚を持った坂本はそこから常勝娘になった。
2番でもいいやという弱い心は消えた。翌2023年~2024年シーズンは坂本の全盛期シーズンだ。グランプリシリーズは2連勝で満点ポイントを獲得、ファイナルも優勝し、完全優勝。全日本は3連覇、世界選手権も3連覇した。チャレンジカップなど含めて6戦全勝という輝かしい成績を残したのだった。
翌2024年~2025年シーズンに入るとき、坂本は目標を2年後のミラノ・コルティナオリンピック個人金メダルとした。そのための準備期間として、この1年は苦手なルッツジャンプの克服、タンゴリズムの習得など、2年かけての挑戦に挑んだ。なので、成績は若干、落ちた。グランプリシリーズは制するものの、ファイナルは3位だった。が、代表入り一発回答は卒なくこなして全日本4連覇した。世界選手権はアリサ・リュウが復活し、女王の座を明け渡した。が、2位にとどまって、3枠確保の責任は果たした。
そして今シーズン、ファイナルは3位、日本選手権は5連覇、代表入りオリンピックの切符を手に入れて金メダルめざしてミラノ入りしたのだった。金メダルが目標だったから、アリサに持ってかれた直後は悔し泣き、でも、目標を団体個人銀メダル以上と自分で宣言していたことも思い出して笑顔をとりもどしたのだった。
マスコミは、これで坂本の演技は見納めのように描いている。坂本自身もこれで現役終わりのような発言・・・、
おいおい! まだ世界選手権が残っているぞ!
代表なんだから、最後まで責任持ちなさいよ!
忘れてたんじゃないだろうな! と思わせるような最近の発言、それは、オリンピックのフリー演技、ひとつのミスで優勝を逃した、とても満足できない、世界選手権に出てみたくなったな・・・と。
つまり、世界選手権は棄権するつもりでいたということ。で、ここにして出場するか迷っているらしいこと。
さんざん、これで見納めのような発言してたから、いまさら、もう一回、大会出させてくれませんか? は厚かましいか・・・? とか思ってない?
そんな遠慮など必要ない。出るんなら出るべきだ。しっかり来シーズン3枠確保して、後輩へのお餞別とするべきだ。引退するなら、それくらいの責任、果たしなさいよ!
中井亜美がやってくれそうだから? それはわからない。オリンピックで躍動した中井と千葉百音の2人が世界選手権も調子が良いとは限らない。何よりも坂本がいたから伸び伸びと演技できたようなものだから。
が、一方で、1カ月も切っているのに出場を迷っていることが心配。この文章の前半に書いたように、坂本はモチベーションをつくるのに時間のいる選手だから、出ることになっても、ピークをつくることができるのか・・・中途半端が一番いけない・・・坂本の性格を考えるとそこが心配なのだ