卓球の特殊性とそれを超える技術の習得がメダルの色を決める | 名古屋の鈴木のブログ

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今回は長い文章です。でも一気に読んでくださいね

 

(前回のつづき)
 卓球はデータスポーツだ。だからデータに無い奇抜な必殺技、動きには弱い。中国選手でも対応は難しいと思う。対応力抜群の中国選手が立ち直る前に短期決戦に持ち込む・・・それが中国に勝つ方法だ。
だが、それはとてつもなく難しい。なぜ、そう言えるか。
 卓球はあらゆる球技のなかで、もっとも動体視力を必要とする。コート(卓球台)は他の球技と比べて圧倒的に狭く、相手の顔がはっきり見える。まさに近い! だ。
その至近距離の間を球が往復する。ラリーになったとき、高速で球が往復する。美宇ちゃんたち国際大会で活躍する選手たちのラリーは目にも止まらない速さで往復する。世界卓球の実況アナが0.34秒という数字を挙げていた。片道0.34秒なのか往復で0.34秒なのかは聞き取れなかったが、いずれにせよ超高速だ。
しかも、卓球の球はくせのある回転を持つ。下回転、上回転、横回転、さらに逆回転。レシーヴのとき、回転に合わせたラケットの向きをしなければ、当たってもコート(盤上)に返せない。どこか別方向の方に飛んでいってしまう。
つまり、高速で向かってくる球をしっかり見て回転を見極め、正しくラケットを向ける・・・それでラリーができる。非常に高い動体視力が必要ということだ。しかも、これでまだ防御一片倒のままなのである。
 ところで、このすばやい反応を維持するには何が必要か。それは条件反射だ。実は球が来てから、いちいち考えてはいない。考えてたら間に合わない。そこで、身体が勝手に動くくらいまで反復練習する。人間の身体は反復することで、考えなくても反射的に動けるようになる。大脳から小脳の動きに代わるのだ。自転車が乗れるようになったのは、考えなくても体重移動がスムーズにでき、無駄な腕の力が抜けてリラックス状態でいられるからで、だから転ばずに走れるのだ。

 卓球のラリーが続いている。この条件反射のままだと防御のままだ。しかし、それではいずれ根負けする。攻撃に転じなければならない。ふいにコースを変えたり、緩急をつけてタイミングをずらしたり、思い切って回転を加えたり。変化あるレシーブを加えることで相手のミスを誘うのだ。
実は、卓球の場合、「ミスをした」というより「ミスをさせられた」と言った方が正確だ。野球の場合だったら、守備でフライを落としたらその人が100%悪いだろう。が、卓球はサーブミスを除いては・・・、レシーブして網に引っかけてオーバーしたとか、当てたんだけど球が大きく上に跳ね飛んでいった・・・というミスが多く見られるが、あれはレシーヴした選手が悪いのではない。相手の球が予測より回転が速くて、あるいは微妙にタイミングを外されてミスをさせられたのである。
攻撃に転じるには、これらを乗り越えて勇気を出して思い切りやらなければ成功につながらない。しかし、それをしなければラリーに勝てない、それが卓球なのだ。
以上が、他の球技にはない卓球の特殊性だ。高い動体視力と条件反射、ミスをいかにさせるか合戦・・・。
 ただ、いま書いたのはラリーになってからの話で、卓球は基本は3球攻撃。サーブレシーヴされた球をいかに打つかで決まる。
だから卓球はデータスポーツなのである。相手はどんなサーブ球を持っているか、動きに癖がないか、弱点は何か前もって頭にたたきこんで試合に臨む・・・戦いやすいからだ。卓球の特殊性からすれば、そうしなければ戦えない。美宇ちゃんたちが試合前に大きなノートをひたすら見ているのは膨大で緻密な相手データを覚えこませているのである。
 前回、書いた秘密攻撃・・・技・技術でもよい、コース取り・えぐいコースを正確に狙う・・・でもいい、美誠パンチのような奇抜な動きでもいい、なんでもいい、データに無いことをすれば勝てる。

パリオリンピックの中国戦までに準備できるかでメダルの色が変わる。早田ひな、平野美宇、張本美和、健闘を祈る