1978年放送の「未来少年コナン」。NHKが初めて放送した国産アニメ。映画監督として活躍される以前の宮崎駿さんの初めての演出・監督作品だ。宮崎駿さんの作品や経歴、解説等を語るのに不可欠な作品。私もいくらでも語れるが、ここは我慢してひとつだけ。
物語は近未来。超磁力兵器という核兵器を上回る悪魔の兵器による世界大戦で地球の地軸はねじ曲がり、大津波によって5つの大陸はことごとく海に沈んだ。世界が終わった後の生き残った人々のお話。自然を利用して平和に共同して生きていこうとする人々がいる一方で、昔の強大なエネルギーを手に入れて世界征服をたくらむ勢力も。その邪悪な権力は、年老いた科学者たちを集めてエネルギーの再開発と独占を狙っている。が、もっとも有能だった科学者・ラオ博士は彼らのたくらみを見抜き、世界を滅ぼした自省もあって行方をくらました。世界征服をたくらむレプカは、女戦士・モンスリーに彼の孫娘・ラナを拉致せよと命令。ラナはテレパシー能力を持っており、さらえばラオ博士が現れると画策したのだ。
逃げたラナが残され島と言う小さな島の岸辺に漂流したところからアニメの物語が始まる。残され島におじいさんと2人きりで暮らしていた10~11歳くらいの少年コナンは浜辺に倒れているラナを発見、女の子というものをはじめて見るのだった。
男の子と女の子の出会い、それを印象深く描くのが宮崎作品の手法。だが、やがてモンスリーたちが襲ってくる。その後、いろいろ事情を知ることとなり、コナンはラナを悪の手から守ることを誓う。以降、それを基本にお話が急展開していく冒険活劇だ。まあ、だいたいそんな内容。
さて、それで本題だが、
主人公の少年コナンが一生懸命になって少女ラナを助ける。そのちょっとした動きをオーバーに見せることで、私たち視聴者は感情移入して、コナンを応援したくなる。たとえ、あり得ない動作であろうと自然に見えてしまう。
ラナを連れ去ろうとするモンスリー一味。飛び立つ飛行艇の翼の上にしがみつくコナン。モンスリーは振り払おうとする。コナン、飛ばされそうになるも、なんと、足の指で翼を挟んで抵抗、飛ばされない、落ちないのだ。絶対あり得ないことなのだが、私たちは「コナン頑張れ!」と手に汗握って見てるので、コナンの大げさぶりにクスッと笑えるのだ。上品なユーモアとなって感情移入され違和感がなくなる。
また、よく有名なシーンとして挙げられるのが、何十メートルも高い塔から飛び降りるシーン。ラナを救い出し2人で逃げる。が、高い塔の壁をつたって逃げるハラハラしどうしの場面。万策尽きて飛び下りることに。何十メートルもの下にだ。コナンの判断、決意だ。そして飛び下りた!
手をつないで2人同時に飛び降り、空中でラナをひき寄せ、お姫様抱っこしてそのまま地面に。全身にしびれが走ったがラナもコナンも平気。まるで階段を数段飛び降りただけの感覚で描かれた。アニメならではの表現だ。「なんで死なないの?」という素朴な疑問を聞く子どももいたが、当時、嘘だ~なんていう批判はなかった。コナンがあまりにも一生懸命なので違和感なく受け入れてしまうのだ。まさに宮崎マジックだった。
宮崎駿さん初の演出作品「未来少年コナン」。キャラクターたちが一生懸命にやることでちょっとしたオーバーな仕草がクスッと笑いを誘う、それはアドリブ演技に生きる萩本欽一さんの考えと共通していたと思う