ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』 | 本の虫凪子の徘徊記録

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【再読】  ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』脇明子訳 岩波少年文庫

 

本日はこちらの作品を再読しました。

イギリス児童文学の古典作品です。

ディズニーアニメ版をはじめとして、映像化作品が多いことでも有名ですね。私はディズニーアニメとティム・バートン制作の映画くらいしか観ていませんが。ちなみに私は、実写版は二作目の『時間の旅』の方が好きです。前作よりもアリスがカッコいい。

では、ここからは原作の感想について。

章ごとに簡単に書いていきたいと思います。

 

以下、内容についての記載あり。未読の方はご注意ください。

 

1.『ウサギ穴に落っこちて』。始まりのこの、長い縦穴をゆっくり落下していくシーンが全編通して一番好きです。壁が全て戸棚になっているのが良い。ここは映像作品で見るとより素敵です。それから、その後の小さいドアや「DRINK ME(ワタシヲノンデ)」の小瓶やらも好き。常識が通用するようなしないような不思議な感覚、この不条理さこそが「夢の世界」という感じがして、のっけからワクワクが止まりません。
ちなみに、小瓶の中身はとても美味しいらしいですが(サクランボのタルト、カスタード、パイナップル、七面鳥の丸焼き、キャンディ、バターをぬった熱々のトーストを混ぜ合わせた味)、正直、全く味の想像がつきません。七面鳥が無ければまだ想像できるかも。どんな物なのか、一度実際に飲んでみたいところです。

2.『涙の池』。ネズミをブチ切れさせるアリスには笑います。喧嘩を売っているとしか思えない。
3.『ドードー競走と長い尾話』。ぺちゃくちゃと好き勝手に話す動物たちが可愛い。Q.「濡れた体を乾かすには?」A.「乾くまで走れ」の乱暴すぎる解決策は結構好きです。
4.『ウサギの家で』。お洒落なウサギ宅の中で巨大化してしまったアリス。ウサギからしたら滅茶苦茶いい迷惑ですよね。可哀想に。この辺りからアリスが順応してきて、何か食べたり飲んだりすれば体のサイズが変わるんだな、と理解し始めます。
5.『アオムシの助言』。このアオムシも良いキャラクターです。キノコの上で水煙管を吸う青い芋虫。こんなに特徴のあるキャラも中々いないと思います。「もう年だろうにウィリアムおやじ」は普通に詩として面白い。一節ごとに一枚ずつ挿絵がついているせいで、無駄に完成度の高い仕様になっています。内容はふざけていますが。

6.『豚とコショウ』。イラストを見ると、カエルと魚の従僕は見た目がかなりグロテスクです。そして公爵夫人は随分と貫禄のあるお顔をしています。表情が凄く険しい。そして顔が大きい。アリスの顔何個分でしょうか。湯婆婆みたいな等身です。
チェシャー・ネコは可愛いですが、ニヤニヤ顔はちょっと不気味です。ネコにしては大きいし。

7.『めちゃくちゃお茶会』。帽子屋と三月ウサギ、ヤマネのトリオは作中でも屈指のイカれっぷりを見せてくれます。アリスと会話のキャッチボールが全然できていない。傍から見ているぶんには愉快ですが、現実にいたら絶対に関わり合いにはなりたくないタイプです。

8.『女王さまのクロケーの会』。トランプの兵隊たちとハートの女王。アリスと聞いて真っ先にこれらを想像する人、多いんじゃないでしょうか。特に「首をはねろ!」が口癖の女王陛下。強烈です。ティム・バートン版のヘレナ・ボナム・カーターはまた違った意味で強烈でしたが。クロケーに使われているフラミンゴとハリネズミはちょっと可哀想。
9.『にせ海亀の身の上話』、10.『ロブスターのダンス』。この二つの章は特に洒落が効いているので、読んでいて楽しいです。グリフォンとにせ海亀のコンビは個人的に好きなキャラクタートップ2です。(内容はともかく)会話自体はまともにしてくれるので、作中キャラの中では割と話しやすい方なのでは。

11.『タルト泥棒はだれ?』。ジャックの裁判のはずが、荒れに荒れてもうしっちゃかめっちゃかです。なぜ帽子屋と料理番を呼んだのか。
12.『アリスの証言』。女王だけでなく、王様の方もだいぶ中身に問題がありますよね。ビックリするほど話が通じない。証拠の詩は何度読んでも意味不明でした。

その後目を覚まし、不思議の国から現実世界へと帰還したアリス。寝起きの彼女の第一声は「あーあ、すごく変てこな夢を見ちゃった!」。夢と現実を混同するタイプの女の子かと思いきや、意外とそんなこともないようで、そのまま割とあっさり日常生活へ戻って行きました。
きっとアリスにとって不思議の国に行くことは、そんなに特別なことでもないんでしょう。
あのハチャメチャで愉快な世界は彼女の心そのもの。不思議の国はいつでもアリスの傍にあるものなのかもしれません。実際、アリスの冒険はこれきりでは終わらないわけですし。

ちょくちょく酷い目に遭うトカゲのビルは可哀想でした。アリスはトカゲ苦手なのかな。

最後は、アリスではなくお姉さんの視点で終わります。お姉さんにつられて、こちらまで少し感傷的な気持ちになる終わり方でした。
訳者あとがきが解説も兼ねているので、そちらも読むことでより一層楽しめると思います。

大人になっても、読み返すたびに楽しめる作品です。
それでは今日はこの辺で。
 

 

 

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