【再読】 ロバート・マッシュ『恐竜の飼いかた教えます』序文リチャード・ドーキンス 新妻昭夫・山下恵子訳 平凡社
大人が読んで楽しい本です。絵本というか、図鑑というか。
タイトルも中身もツッコミどころ満載。
現代社会に恐竜が存在していることを前提に書かれた、文字通り「恐竜を飼育するための手引書」です。著者は間違いなく私達とは別の世界線に住んでいます。絶妙にリアリティがあるのがまた面白い。何なら冒頭のドーキンスの序文からもう愉快です。イギリス人のユーモアセンスが爆発してます。
それでは早速、内容について書いていきたいと思います。
以下、内容についての記載あり。未読の方はご注意ください。
恐竜を飼うためには、新鮮な餌や飼育場所の確保は勿論のこと、医療器具や拘束具、防護用のヘッドギアや頑丈な革手袋など、実に多くのものが必要になります。獰猛な肉食種や巨大種、翼竜種などを育てる場合には特に、犬猫を飼うよりもずっと気を遣うことになりそうです。
この本では恐竜の基本情報(全長と体重、見た目の特徴)に加えて、食性や飼育場所、繁殖方法や入手方法などの情報が細かく記載されています。イラスト付き。ネコや人とのサイズ比較もあるので大きさが分かりやすいです。
排泄のしつけができるもの、定期的なブラッシングを必要とするもの、子供を食べてしまう恐れがあるものなどはアイコンでそう示されています。とても見やすく親切な仕様です。
初心者向けの恐竜として紹介されているのは「コンプソグナトゥス」「エウパルケリア」「コエルロサウラヴス」の三種。中でも一番飼いやすそうなのはエウパルケリアでしょうか。イグアナに似た小型の恐竜です。室内で飼うことができ、エサもキャットフードや残飯でOKとのこと。飼い主にもよく懐いてくれるそうです。大抵のダイノマートで購入できるらしいですが、残念ながら私の家の近所にはありません。どこに行ったらいいんですかね。
羽毛のある恐竜は抜け毛が凄いようなので、室内で飼うのは少し大変そうです。始祖鳥とか多頭飼いしてみたいんですけどね。
大型の種は飼うのに放牧場が必要になるので論外だとして、あまり獰猛なものも近くに置きたくはないというのが本音。デイノニクスとかヴェロキラプトルとかを育ててみたい気持ちはありますが、あの立派な鉤爪を切ってしまうのも勿体ないですし。(危険なので鉤爪を切ることが法律で義務付けられているそうです。どこの国の法律かは知りませんが)
ここに載っているもので私が一番飼ってみたいのは「コエロフィシス」。小さい頃から大好きだった恐竜です。第五章【警備のための恐竜】の中で取り上げられています。
全長三メートル、体重二十キロほど、知能が高く器用で、俊敏さが特徴的な種類です。肉食ですが、卵や魚、キャットフードやミューズリー、コンビーフなども食べます。好き嫌いが少ないのはありがたい。危険なので幼児やペットからは遠ざける必要があります。
繁殖も割と容易。飼育に広い場所と柵が必要、というのだけがネックです。
アメリカのコネティカット州、コエルロサウルス・トレーディング・センターや、ニューメキシコ州アビキューのゴースト獣脚類牧場で入手可能だそうです。本当かなあ。
その他、革や羽毛、肉や卵などを利用するための畜産恐竜や、個人所有には不向きのテーマパーク用恐竜なども紹介されています。
恐竜バーガーなんて単語はこの本でしか見たことがありません。イグアノドンの肉が豚肉とロブスターの中間のような味、というのは本当なのか、著者に直接聞いてみたいところです。
テーマパークや動物園向きの恐竜は巨大種が主となっています。首の長い竜脚類やステゴサウルス、トリケラトプス、そしてみんな大好きT−レックス(この本ではティランノサウルス表記)。
いやあ、やっぱりカッコイイ。エサについては、【体重4.5tのティランノサウルス1頭の1年分の食餌として、体重68kgの法律家292人が必要とされている。しかし、誰が考えても楽観的にすぎる推定値だろう。】と書かれています。
どんな計算だ。確かに分かりやすくはありますけど。
一番最後には世界各地の恐竜ショップ案内がついています。
参考にはなりません。
本当に良いセンスしてると思います。
ディスカバリーチャンネルの『恐竜再生』を見て育った身としては、この本は本当に好みドンピシャです。恐竜好きのツボを的確に押さえに来てます。何度読んでも最高。
興味のある方はぜひ。
それでは今日はこの辺で。