現在の日本社会における結婚に大きな疑問を感ずる | 永築當果のブログ

永築當果のブログ

ブログを8本も立て、“物書き”が本業にならないかと夢見ている還暦過ぎの青年。本業は薬屋稼業で、そのブログが2本、片手間に百姓をやり、そのブログが2本、論文で1本、その他アメブロなど3本。お読みいただければ幸いです。

 現在の日本社会における結婚に大きな疑問を感ずる、この頃です。

 若い女性の皆様方に大きな幸せが訪れるよう、高齢者入りした年寄りの男が結婚観について好き勝手に書き綴ってみました。

 どれだけかでも参考になれば望外の喜びです。


 現在の理想とされる家族形態は、一夫一婦の永久婚のもとに、夫婦とその子たちで構成されるのを基本としている。はたして、この形態は本当に理想的なものであろうか。

 なお、日本社会においては、核家族ではなくて、3世代同居がより理想的とされるが、年寄りの存在を加味すると複雑になるから、2世代家族に限定して考えることにしたい。

 ところで、家族とはなんであろうか。文字からすれば“一つの家に住まう一族”ということになる。となると、大家族制度というものもあるが、これは複数の夫婦が同居したり、夫婦ではない男女が同居したりと、これまた複雑になってしまうが、少しだけ触れておきたい。

 日本における大家族制度は明治まで全国各地に残っており、これは近世においては世界的に珍しいことであるが、基本的には動物生態学上の双系複雄複雌群であった。一つの家で生まれ育った男女とも一生の生活拠点はその家にあり、男は成人すると不特定多数の他の家に夜這いに出かけるというものである。よって、女は誰が父親か分からない子を産むのであり、その子の父親の役は、子を産んだ女の兄弟や従兄弟が共同で当たることになる。なお、子を産んだ女は姉妹や従姉妹と同居しているから、母親としての子育ては彼女らもかなりの部分を行うことになる。


 さて、現在、理想とされている家族制度が将来どう変わっていくかを考えるに当たっては、婚姻形式と子育て方式という2つの観点から見ていかねばならないと、小生は思う。

 ところで、ヒト社会の婚姻形式は歴史上どのように変遷してきたであろうか。諸説あるが、日本社会は非常に特殊である。これは日本列島というものは大陸から隔絶された小さな島であり、幾多の民族が渡ってきて融合されて出来上がった文化が長く続き、その後においても異民族の侵略・支配を受けなかったという、世界史上例を見ない辺地であったからである。

 そうしたことから、大陸では先史時代にしか存在しなかった日本の大家族制度のような婚姻形式がつい最近まで残り得たのである。日本列島における婚姻制度の変遷は非常に興味深いものがあるが、それは過去のものであり、今では大半が忘れ去られていて、将来を語る上でほとんど参考にならないから、ここではあまり触れないでおく。

 現在の日本社会は、敗戦によって、その文化が欧米式に大きく変わりつつあり、こと婚姻制度においては欧米方式にほぼ染まりきっていると言って良かろう。

 そこで、欧米というよりは欧州における婚姻制度の変遷と将来を推測することによって、日本の将来の婚姻形式も見えてくるであろう。

 なお、これより、かなり断定的な物言いをするがために、一部誤った事実になってしまうところが生じようが、ご勘弁いただきたい。


 欧州における一夫一婦の永久婚制度の定着は古い。都市国家アテネが既にそうであった。これは男が働いて財を成したものを嫡出子である男子に相続させる必要が生じたからである。資産家は実際には妾もいて一夫多婦(一夫多妻)でもあったようだが、これは日本の江戸時代の大名の正室・側室の関係と同じであると見なしていいであろう。
 そして、その時代に奴隷制度も定着していた。奴隷は、奴隷の再生産、つまり子をもうけることが義務付けされ、その婚姻形式は支配層のそれを当てはめた。奴隷に一夫一婦の永久婚をさせ、再生産の責任をその夫婦に義務付けしたのである。

 こうして、支配層も被支配層も一夫一婦の永久婚になり、その後においても侵略や民族移動の嵐の連続で、男社会がずっと続き、婚姻制度に変化はなかった。

 男が支配する社会では必然的にこうなるのである。日本においても戦国時代になって武家社会にそのような婚姻制度が確立したのであるが、戦乱の世であっても民は奴隷にされることがなかったから、さしたる変化はなく、民の社会では、豪商などが、これも必然であるが、アテネの資産家と同様に武家社会の制度を取り入れただけであろう。

 なお、江戸時代には幕府が百姓に対しても一夫一婦の永久婚制度を押し付け、戸主を男にし、寺に戸籍管理をさせたようであるが、それは形式上そのように振る舞っていただけのことであって、実態は、資産家の庄屋などは別として、小作人は先に説明した大家族制度のミニ版であったようだ。


 さて、欧州における一夫一婦の永久婚制度の下においては、ずっと男社会であったから、夫婦の財産は基本的に夫に帰属した。それが第二次世界大戦後に大きく変化してきた。それも高度成長後に急激にである。戦後復興してしばらく後に、男女同権が強く叫ばれるようになり、女が一人前の仕事につくようになって蓄財できるようにもなった。資産保有量は男と女が逆転することも珍しくなくなる。少なくとも、夫に頼らなくても子育てを含めて女一人で自立できる経済基盤を持つことがかなり可能となった。そこで、女は政治を動かし、子育て支援策を取らせ、福祉制度を充実させた。

 こうなると、経済的にも男女同権社会に様変わりする。特に、福祉制度が発達した北欧資本主義社会においては、安定して一定の銭が毎年手に入り、子育てを含めて女一人でどのようにも自由に生きていけるようになったのである。

 ここに結婚という制度、今までこれは「男支配の下における一夫一婦の永久婚生活のスタート」を意味していたのであるが、その概念が崩壊を始めたのである。


 そこで登場したのが配偶婚である。この言葉はまれにしか使われないが、動物生態学において「期間限定のペア(一雄一雌)」を指す場合に使われる。

 男女の当事者は永久婚のつもりで夫婦生活に入るが、決して長くは続かない。しばらくして半数は離婚していく世の中となった。また、残りの半数も惰性で繋がっていることが多くなった。

 それを踏まえて、10年ほど前にドイツのある国会議員が、“結婚期間は7年間に限定し、期限の到来時に双方が異議なしとしない限り、婚姻を解消させる”という法案を出そうとしたくらいである。
 これは、動物生態学から見て理にかなっている。結婚して子ができ、両性が協力しての育児が終わるのは、ヒトの場合7年程度のことだろう。

 少子化時代だから、とりあえず1子がもうけられればそれでいい。そして、婚姻の再契約が結ばれたら第2子をもうければいいのだし、また、婚姻を解消し、別の配偶者と一緒になればその2人の間で第2子をもうければいいのである。これで、基本的には人口減少は起きないから、社会的にも何ら問題が生じない。

 是非ともこうした配偶婚制度が作られてほしいものである。これは、とっくに人生の下り坂を歩み始めた小生の身勝手な願望だが、しかし世の中の進みぐあいは、もっと激しい。


 期間限定のペア(一夫一婦)であっても、結婚したとなれば24時間配偶者に縛られる生活になってしまう。異性の友達との交際(肉体関係がないにしても)がままならなくなる。また、長時間にわたって家を空けるとなると、いちいち説明し、配偶者の了解を得ねばならぬ。実に煩わしい。

 そこで求められる形態は、単なる同棲である。肉体関係は固定されていても、自分の仕事なり付き合いなり遊びには相互に干渉しないというものだ。女性が経済的に自立できていれば、これが理想であろう。

 ここら辺りからは女性主導でことが進む。動物が皆そうであるように、雄は雌を囲い込みたがるのに対して、雌は雄を囲い込もうなどとはもうとう考えないからである。この形態を続けるなかで妊娠することがある。たいていは、できちゃった婚へと形態を変えることになる。子育て、特に妊娠後期から出産後1年ほどの期間、女性は育児に縛られることが多くなるので、男のちゃんとした協力を求めたいからだ。

 しかし、女性に経済的余力があり、また、子育て支援制度が充実していれば、今までどおりの単なる同棲でいいのであり、ここにシングルマザーが登場する。

 そして、女性の方から同棲さえ止めてしまうことが多くなるであろう。これも動物生態学からして自然の流れである。メス(女性)は妊娠前にあっては、フェロモンの働きにより血縁関係のない異性が傍にいてくれるのを求めるのであるが、妊娠から授乳終了までは逆にフェロモンの型が似かよった、つまり血縁関係にある異性の傍にいることを好むからである。

 世界広しと言えども唯一日本にだけ残っている里帰り出産の風習は、ここに原因しているとも言えよう。これは、フェロモンに鈍感な種、ヒトではあるが、まだまだフェロモンにどれだけかは支配されていると考えて良い。

(妊娠経験のある女性の方、思い当たる節がありませんか。いつもは血が通った父親や兄弟は嫌な存在と感じていたものが、妊娠・出産・授乳の期間中は、父親や兄弟が傍にいてくれると気分が落ち着くという経験をなさいませんでしたか。)

(ついでですが、フェロモンの働きについては、別立てブログのなかで「フェロモン仮説=男と女はなぜ惹かれ合うのか 」と題して記事にしていますので、お暇がありましたら覗いてください。

 さて、日本ではまだまだシングルマザーは白い目で見られがちだが、西欧、特に北欧ではシングルマザーが増え、彼女たちはちゃんと市民権を得ている。日本の婚姻制度も急速に西欧化し、やがては追いつくことだろうから、シングルマザーも増えるに違いない。

 そうなると、日本には里帰り出産の風習がまだどれだけか残っているから、子育て支援制度が十分に充実すれば、シングルマザーはたびたび肉親と接触する場所に生活拠点を構え、より安心して独身を通すことになろう。これが世の流れというものではなかろうか。


 さらに時代が進めば、またまた変わっていくであろう。どれだけかは先読みできそうだが、それを書くとなると随分な長文となってしまうし、それは、今、高齢者である小生がヨボヨボになって辛うじて生きているかどうか分からない時代のことであろうから、そんなことはどうでもいい。

 今、痛切に願っているのは、アラフォーの娘がいまだ独身であり、子づくりに残された年数は幾ばくもなく、何でもいいから、出来ればシングルマザー出産が一番望ましいのだが、早く孫の顔を見せてほしいし、小生の傍に孫を置かせてもらいたいということである。小生と娘は一卵性双生児のごとく性格が似ていることもあって、両者が発する個体識別フェロモンも極めて類似していると考えられ、よって小生は今は娘から毛嫌いされているが、ひとたび娘が妊娠でもすれば、それは一気に解消し、娘が小生にすり寄ってきてくれるのではないかと期待しているのである。


 なんだ!お前はそれを言いたくて、長々と駄文を読者に読ませたのかと、大変なお叱りを被ることになるであろうが、しかし真面目によーく考えてみるに、シングルマザー形態は、まだまだ残っている日本文化に最適の姿であるといえるのではなかろうか。これにより、女性のますますの幸せが得られようというものである。小生はそれを信じて疑わない。

 いずれにしろ、現在の日本社会における結婚(男支配の下における一夫一婦の永久婚生活のスタート)という制度というものは、これからの時代、男にとってはまだまだ大きなメリットがあるが、働く女性にとっては百害あって一利なしと思えてならない。

 我が娘はまだまだ結婚願望が強いやに見受けられるのですが、彼女よりずっと若い世代の女性の皆様方は、結婚というものをどのように捉えておられるのでしょうか。気になるところですが、…。